少し前に読んだ──ジュンパ・ラヒリと大江健三郎、そして楳図かずお
雑事やイベントの準備をしては惰眠を貪る間にどんどん時は過ぎ、街のモッコウバラはしなび始めた。いまは夏バラの盛り。ツツジやサツキもたくさん咲いて5月っぽい感じになってきた。
わたしはこの季節が好き。新緑がつやつやしてるし、日差しが強くても空気が少しひんやりしてて息しやすいから。ずっとこのくらいでいいのよ!
ところで、noteの下書きは…といえば全然進んでいない。言い訳をするといろんなことに追われてて、簡単な下書きすら終わってない。
なので、更新をサボらないための応急処置として気軽なnoteをいくつか更新して当座しのぎます…!
今日は半年前に読んだジュンパ・ラヒリ、大江健三郎、そして数ヶ月前読んだ楳図かずお漫画の感想を出そうかな。
ジュンパ・ラヒリの『思い出すこと』の感想を。
わたしはラヒリの文体が正直そんなに好きではないのだが、詩は好きだった。
この作品は、主婦・ネリーナ(実際は架空)が書き綴った手帳を見つけた筆者が、知人の学者(実際は架空)に依頼して調査してもらうという筋立てが3つの章にまたがって描かれる。ネリーナはラヒリが自身を強く投影した人物だが、構成と着想が優れていて、単なる自伝あるいは詩集に終始してないのは見事だと思った。
そして半年前に読んだ大江健三郎というのは『みずから我が涙をぬぐいたまう日』。表題作とウラオモテのような『ムーンマン』も収録された文庫で。こちらは手元に写真がなかったのでリンクを貼っておく。
とある自称・病人の口述筆記の内容と第三者の視点が溶け合うような文章に最初戸惑って、何度も読み返しながらページを繰ってるうちにどんどんのめり込んだ。天皇制をダイレクトになぞるような親子関係の話にうつっていき、最終的にこの自称・病人の魔術というか幻覚からハッと醒めさせられるような展開……すごく楽しかった。
「◯◯ですが!」って言い方にハマってしばらく真似してた。
それから楳図かずお『洗礼』。
これはU-NEXTで第1巻が無料だったから、第2巻と第3巻も買って勢いのまま読んだ。面白かったから買ったわけで実際最初はのめり込んで読んでたけども、女vs女の強調+男性は正義という構図が段々気になるうちに読了。
ここから結構突っ込んだ感想を書くけど、あらすじを知らない方や未読の方はおのおのご確認してから読んでください。
まあだいぶ昔の作品だから時代背景を尊重してとやかく言うのは差し控えるけど、なんかね、「キャラクターたちに何を怖がらせるか」「何を使ってどう怖がらせるか」って本人の価値観がものすごく滲み出るものなんだろうなと思った。
若草いずみは昭和の女優を複数サンプリングしてカリカチュアしたようなキャラなんだけど、元ネタであろう人たちの名前を挙げるのも躊躇ってしまう。というのは、若草いずみは作中で恐怖の根源としての役割を担わされてるぶん「美しかった反動で若さを強烈に求める」とか「自分より若い男に執着する」とかそういう偏った女性像を強化する感じがあって、元ネタとして思い浮かぶ人たちとそのイメージをくっつけるのは気の毒だと思うから。
あと、「ウーン」って思ったポイントもう一つ。
さくらを庇うわけじゃないけど、バンドマンみたいに結婚隠したり、流されてさくらを都合よく搾取してたくせに最終的に謎解き役っぽく立ち回る担任は何なん??オチ自体微妙だったな……。でもこんなに語りたくなる漫画、読むと楽しい。
ちなみにわたしは中島さん(主人公さくらの同級生)が好きだった。もっと活躍してくれると思ってたら途中であっさり出番が減らされたので、ちょっと残念だったな。
今日はこの辺りにしておこうかな。
明日は暑いらしいから皆さん気をつけましょうね!
それではごきげんよう!