ツインテールとセーラー服

ツインテールとセーラー服

この世で最も愛しい装い

初々しい10代の
わずかな期間しか許されず

その尊さに気づく頃には
柔らかくなったスーツを身にまとい
懐かしんでいる

暖かくなってきたなあ

煙をなびかせながら
春がすぐそこまで来ているのを
ぼんやり感じていたある日

目の前を女子高生が通った

2つに結んだ真っ黒の艶やかな髪が
大きな紺色の襟にかかり

膝下まであるプリーツスカートから
白のソックスを履いた細い脚が
スラリとのびていた

ツインテールとセーラー服

究極の｢可愛い｣だと思った

ツインテールをピシッと分けた
その分け目すら美しく感じた

日本の伝統的な装いといえば
浴衣や着物が挙げられるだろう

しかし最近はその浴衣、着物の着方も
多様化してきている

浴衣にレースやフリルをつけたり

着物にブーツを履いたり

昔では考えられないような合わせ方に
驚く人も少なくないだろう

その点セーラー服は変わらない

むしろセーラー服は
そのままきちんと着た時が1番可愛い

おしゃれにふわっと巻いた髪も
短く切ったスカートもいらない

ツインテールにセーラー服

この装いは
すべての大人に甘酸っぱい記憶を
呼び起こさせるだろう

3月

希望に満ちた彼女たちの
かけがえのない日々が始まることを

まるで祝福するかのように

桜の木が色づいてきた