
月と落ちる
昨日から7月頃に引っ越す家に来ている。
前回ここへ来たときより、木苺が大きくて立派なものが多かった。夫が草刈りをするから、庭の木苺を丁寧に探して集めた。ほのかに酸っぱくて甘い。
来るときに、百均でプラスチックの白いリコーダーを買ってもらった。
絵を乾かす合間に吹いた。外れる音も、未だにうまく押せない右手の小指も、なんとなく覚えている指をたよりに吹くのは楽しかった。
折坂悠太さんの揺れるを適当に吹いた。
なんだかはまってしまい、夜はおふろの中で、
庭と、布団のなかでも吹いた。
小学生の気持ちがする。
気にしない音をすごく久しぶりに鳴らした。
夜ごはんは、地元の野菜や魚などを売っている直売所で買ったカマスを炭火焼きした。

とてもとてもおいしかった。
柔らかくて身がほくほくしている。
ごはんは蒸籠蒸しした。いつも蒸してるのに(レンジが壊れてるから)よりおいしく感じて、ふしぎだった。
焚き火が線香花火をまぶしているように綺麗で、雲が風に流れた時に見えた月が丸くて、庭に行こうと思ったらウッドデッキから落っこちた。消えるように。
下が土だったから、擦り傷くらいで済んだけど、
痛かった。
3年くらい前に実家で、丸い月の夜に母と散歩していたら、道路に盛大に転んだのを思い出した。
その時は、全体的に左側を負傷して、左頬も怪我して、まさかの大泣きした。
転けるってびっくりするし、強い痛みから、いろんな箇所がじんじんと痛くなり急に現実を知って
悲しい。絶望する。
母がびっくりするくらい泣いた。封印した記憶がきれいに呼び覚まされた。
今回は、右頬が少し擦った。悲しい。
泣かなかったけど、夫に「男梅の顔をしてる」と
言われて少し笑った。
世の中の大人は盛大に転けたりするのだろうか。