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祖母曰く、思考を止める事は絶対悪らしい

祖父は私が産まれるうんと前、
40年くらい前に他界した。

おばあちゃんは60歳の時に未亡人になり、
今年102歳になる。


私が小さい頃、おばあちゃんが祖父の話をする時は
大抵戦争の話も一緒にしていた。

赤紙が来た時の話、上海に出兵した時の話…

でもどんな話でも最後には
「お父ちゃんは非国民と言われても、
どんな時でも戦争に反対していた。」と言っていた。


そして決まって嫌な顔をして、
『国に目を付けられて大変だった。
戦地から帰ってきた後も、何度も捕まるかと思った。』とも。



それから時は流れ、私が中学生になった頃、
私はおばあちゃんに言った。


『ねぇ、おじいちゃんって
本当はめちゃくちゃかっこよかったんじゃない?』と。


祖母は照れたように俯き、
『思考する事は人間の特権だから。昔は自由に意見を言う事すら禁止されてたからね。
今の若い子が考える事を辞めちゃまいね(ダメだよ)』と笑って言った。


戦時中の若者は
言論の自由をどれほど渇望していたのだろう。


祖母は102歳になる今でも
毎朝欠かす事なく新聞を読んでいる。

短期記憶が怪しくなってきてはいるものの、
戦争について、政治について、今も思考し意見を持っている。


戦争という個の意見を一切禁止された時代の中で
それでも思考を巡らし
確固たる信念を持っていた祖父と、

令和の今も誰よりも民主主義を謳歌している祖母。


私はこの2人を尊敬し誇りに思い、
そして愛してやまないのである。


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