チェインフェリス-幸せの再定義#1
「僕の夢髙橋雄大。僕の夢は世界中が幸せになることです。明日が生きたくなるような世界になってほしいと思ってます。そのために、社長になってみんなが楽しくなる会社をつくりたいと思います。」
小学生の頃の夢は世界中の人が幸せになってもらうことだった。
「雄大くん!」
「おう!?どうした淳平!」
「あの、、、その、、、」
「なんだよ〜早くドッジボールしに外に行きたいんだけど」
「あのね、、、雄大くんの夢凄くいいと思った!」
「おおお、、ありがとう!」
「僕いつか雄大くんと一緒に会社創りたい!そして世界中の人を
幸せにしたいんだ!」
「まじか!わかった!一緒に起業しような!」
それから月日が流れ昔の夢のことなんてすっかり忘れて俺は大学4年生になっていた。
「かんぱーい!」
「雄大先輩って彼女いるんですか?」
「いねえよ〜」
「モテそうなのに〜なんでいないんですか?」
「1人の女に絞るの勿体ないからかな」
「なんですかそれ〜チャラ〜」
東京の大学で妹と2人暮らしをしていた。彼女を作らない理由?1人に絞れないからじゃない。金がないからだ。うちの両親は蒸発して、里親に預けられていた。俺は夜はホストで働き、朝は新聞配達をしている。高校生の妹(高橋里奈)の学費なども工面しなければならないので、彼女などを作っている暇などはない。大学も奨学金で入学することができており、卒業後は大手外資コンサル企業に勤務することが決まっている。今日の飲みかも大学の先輩が、奢ってくれると言ったので、来ただけだ。
「先輩、僕そろそろ終電で帰らなくちゃいけなくて」
「おう、そうか!じゃあ最後にこれ」
「え?」
「ウィスキー一気飲み。これやったら5万円やるよ」
見下したような目で俺のことを見ている。しかし、この5万で俺ら兄弟の生活が救われると考えると飲むしかない。就職したら、絶対に関わらないことを誓い一気した。
「うぇーーーい!やるじゃん〜」
「ちょっと〜可愛そうじゃん」
さっきまで敬語で話しかけてきた女が見下したような目で見てきた。
「お前飲むスピード遅かったから3万な。次もするから練習してこいよ」
「ありがとうございます。」
苦虫を噛み潰したような顔をしながら、深々と頭を下げてその場から出た。
すぐにトイレに駆け込み先程飲んだ酒を吐いた。
『こんな生活就職して、絶対に抜け出してやる』
そう誓い家に帰った。
家に帰ると妹が、勉強をしていた。
「おかえり!今日も遅かったね」
笑顔で俺を出迎えてくれる妹は俺の天使だ。
「ちょっと!お酒臭い!無理!!!」
「里奈!そんなこと言うなよ〜愛しのお兄ちゃんだぞ。
昔はお兄ちゃんと結婚したいって言っていたじゃないか」
「それほんと黒歴史。」
こんな他愛もない会話で、さっきのイライラは飛んでいく。
「里奈水をくれ〜水」
「はいはい〜」
水をコップについでいる里奈が
「そういえば、お兄ちゃんに手紙届いていたよ」
と言って、手紙を渡してきた。
誰だろうと思いつつ裏をみると『藤﨑淳平』と記載があった。
「藤崎淳平、、、、、あー!久しぶりだなあ淳平か」
そう言いながら封筒を空けて手紙を読むとそこに
『あの頃の約束果たせそうです。一緒に世界を幸せにしよう。』
と書いてあった。
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