見出し画像

連載「君の見た空は青いか」第9話

朝、変わらない朝。同じように圭太は目覚めた。ただ、変わっていたことがある。
「スクープ!森田マキ!俳優と熱愛」というネットニュースだ。
うそ‥だろ?携帯のニュースを見て驚愕した。
マキさんが‥熱愛?
ファンとネットアイドルの関係ではあるが、熱愛はきつい‥。俺を特別扱いしてくれていた人が、誰かの彼女になる。それこそ辛いことはない。

ファンからも
「まだデビューしたてでこれはない!」
「ファンを裏切りやがって!」
「納得行かない!」
と書かれている。
心無い誹謗中傷が、マキに向けられる。事務所は「本人の意思に任せてあります」と答えるのみだった。

お相手は5年目のイケメン俳優の達也で、深夜のドラマの収録で知り合ったという。後日、週刊誌に写真も出るらしい。圭太は思った「でも、出たての女優が…そんな早くスキャンダルするだろうか?」

マキside
深夜ドラマの収録だ。今回は花屋の娘役だ。収録は2時間で終わった。
マキ「お疲れ様でした〜」
達也「おつかれー!マキちゃんこのあと打ち上げいかない?」
マキ「私‥予定がありますので…」
(帰りたい‥怖い)
達也「行こうよ!」
マキ「いや‥」
達也「ほらいくよ!」
達也はマキの手を引いて出掛けてしまった。
ついたのは安っぽい居酒屋である。 

達也「好きなだけ食べてよ」
マキ「‥。早く食べて帰ろう‥気持ち悪い」
達也「このあとだけどさ」
マキ「すいません。帰ります」
達也「え?俺を相手にしたら仕事増えるよ」
マキ「いや‥結構です。」
走って居酒屋を去るマキ。
達也は追いかけたが、見つからなかった。
達也「なんなんだよあの女…」

後日
マネージャー「マキ‥言いにくいんだけど。仕事キャスティング変更でなしになった。」
マキ「わかりました。」
マネージャー「週刊誌の影響ね。仕方ない。次よ次」
マキ「そうですよね‥」
マネージャー「あとXは打っちゃだめよ。炎上してる」
マキ「でも!でも!事実と違う。私は逃げたのに」
マネージャー「わかるよ。でも今は鎮火するの待とう?それしかないよ。」
マキ「‥。ちょっとだけ…」
マキのXページを開くと
誹謗中傷、マキに対しての罵詈雑言が続いている。やっぱり開かなきゃよかった。私を好きだといったファンでさえ、心無い言葉が書かれている。その中に一人‥
「事務所が本人に任せてるって、本人の言葉を待ちましょうよ!双方の意見が出ていないのに、どうかと思います。」
とレスバしている人がいた。
自分の炎上をかえりみず、戦っている。そのアカウント名は圭太だった。

マキ「圭太…さん」
なみだが頬を伝う。私は被害者なのに、世論は私を悪者に仕立てあげた。だけど、圭太だけはマイノリティ側について孤軍奮闘している。
マキは黙って行く末を見守るしかできない。それが辛かった。でも、マキを守り続けた。

数日後、マキは事務所に呼び出された。
社長「マキさん。今回の記事ですが、事務所としては、守れないので、退所という事で…」
マキ「でも、無理矢理なんです。本当です」
社長「まぁ、今回はね。こうなってしまった以上は?他事務所の達也さんですよね?それは我々は守りきれない。すまない・・・」
マキ「わかりました…」

マキは弁解する余地もなく解雇された。芸能人としての活動を終えた。
ファンも激減。

イベントを行っても席には空席が目立つ。
それでも、コメントで励ましたのは圭太だった。

ファンなら信じて応援しようぜ!
必ずまた報われます!
もう1回!頑張ろう! 

圭太は最高の味方であった。

1度でいい、謝らせて欲しい。感謝を伝えたいと。圭太にDMを送っていた。
                               ※
過去作


いいなと思ったら応援しよう!