すてきです。ステーキです。

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    鰆の小説をまとめています。感想などもいただけると、とても励みになります。

最近の記事

渦。色は黒色。たまにグレー。

 インターネットで好きな女の子の日記を読むことが、たまにの楽しみです。毎回同じ記事を読む。その文章の鬱々しさに身を浸して、この子がわたしの気持ちを言語化してくれている…だのなんだの。マイヒーローなんかじゃないっつーの。助けられたとかそんな薄っぺらな言葉で表現したくないです。自分の現実世界とあの子の世界を混ぜないように、自戒の念を込めてそう考えるのであった。  雨が降っていた。例によって傘をささなかったので、スマホの画面の明るさに雨粒が虹色に光る。スクリーンショットをしようと

    • いつのまにか、もとの姿に戻れなくなってしまった。

      ディズニーランドが小さくなってしまった。正確に言えば、ディズニーランドが小さくなったのではなくわたしが大きくなりすぎてしまったっていうやつ、である。 敷地内に足を踏み入れたところから、それは始まっていた。 3年前、アーケード街が長く大きく感じていたのは気のせいだったのだろうか。3年前、一緒に訪れたきみは、どう感じていたのだろうか。 遅刻したせいだろうか。友達と開園前から並ぶということをしなかったから、夢の国への愛のような気持ちが欠けていたのかもしれない。 どちらにせよ違和感

      • ある哲学教授の言葉

        無構造でもあってで実際に理性っていうのは理性じゃないの狂気をええ改めて確定することによって狂気を染めたあの相手にすることによって理性が自分自身を確立するってそれは例えば自分の国っていうのを自覚がある意識するために他国との際っていうのを強調するようなそういう考え方にも通じる話をしましたまあそんな中でええ自分の会社っていうのはやっぱりそれでも共存していかなきゃいけないのでその共存するためにはどうしたらいいかっていうとええ存在論的にも認識論的にもええそのええ届かない所があるというこ

        • 明日がきみを苦しめる

          兼ねてから推している子が鬱になっちゃって、心が苦しくなりました。 その子が綴る文章の空気感がいつもよりも脆くて、寂しそうで、ちいさくて、心がキュってなっちゃいました。こめかみのあたりがツンとして、頭にほろほろと靄がかかって。 それと同時に、わたしが心の中に押し込めていたものが溢れてきてしまったようで、とてつもなく心がざわざわして。わたしが心の中に隠しかけていたものは、やっぱり隠せなかった。嘘ついちゃおっかな〜、ができなかった。 手に力が入らないな〜、眉間に力を入れていないと

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          3本

        記事

          小説『ハチゼロ太陽』(下)

           わたしの学校は中間試験の時期に差し掛かっていた。高校に上がって最初のテストは、大体が中学の復習内容だと、同じクラスの石井さんが教えてくれた。石井さんはわたしと同じ英会話部に入っているのでよく一緒にいる。石井さんは姉がこの学校の2年生に居るらしく、情報通であった。 「紗弥ちゃん、この問題解けた?」 石井さんに話しかけられる。石井さんとは一緒にお弁当を食べつつ、数学の小テストの勉強をするのが日課だった。  学校からの帰り道コンビニに寄るとそこには伊織ちゃんがいた。飲み物の棚を

          小説『ハチゼロ太陽』(下)

          日記まとめ『も』『頭が良いから』『小説を書く理由』

          5月14日『も』 「も」は暖かく優しさに満ちている。そう思いませんか。 「も」が秘めている共同性や共感性。あなたとの思い出がその一文字に秘められている。 わたし「も」すき あした「も」会おう 今年「も」よろしく 5月20日『頭が良いから』 頭が良いから、頭が悪いことを自覚する。 頭が良いから、あの子がわたしより先を生きていることを知っている。 5月21日『小説を書く理由』 小説を書く理由、ありますか。 自分をとてもちっぽけな存在だと思い、孤独を感じるとき。自分の持つ物よ

          日記まとめ『も』『頭が良いから』『小説を書く理由』

          記録『3軒ハシゴ記』

          書店を3軒巡った。3軒周るぞ! と意気込んでいたわけではなく、ただぶらぶらと歩いているときの寄り道のためにこれらの書店は存在した。 駅ナカの書店 小さい書店 大きい書店 超ざっくりと言えばこんな感じであった。小さいとか大きいとかは、書店のサイズ感。 ⭐︎駅ナカの書店 もうとにかく眩しい。今話題の作品たちがずらっと平積みされていた。まさに勢いのある本ばかりであり、「わたしを読め! 」と訴えかけられている気分になった。『元彼の遺言状』がいつの間にか文庫化されていたことに気がつき

          記録『3軒ハシゴ記』

          小説『ハチゼロ太陽』(上)

          これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関 「この歌の作者はセミマルって人らしいよ、なんか可愛らしい名前だよね」 伊織ちゃんがかるた札をわたしに見せながら説明してくれる。伊織ちゃんに語りかけられたわたしは札に描かれているお爺さんを見る。「セミマル……」と呟きながら、変な帽子かぶってるけど確かに可愛い名前ではあるかも、と思う。わたしにはかるたの魅力がイマイチ分からないでいるけれども、伊織ちゃんは高校に入る前からかるたに魅了されていて、桜丘西高校のかるた部に入

          小説『ハチゼロ太陽』(上)

          完成されたクズになろう!〜中途半端のためのハウツーnote〜

          中途半端なクズほどダサいものはありません。クズでいる自分が大好きなのであれば、貴方にとってクズという言葉が褒め言葉であるのなら、このノウハウを学ぶべきでしょう! 一緒に完成されたクズを目指して頑張りましょう! 【準備編】 準備が必要です。 以下のことを前提として進めます。 ◯ 相手の気持ちは考えない  相手が傷付くなど、自分にとってはどうでもいいのです。自分の思い通りにならないことは全て相手が悪いと思いましょう。たとえ自身に原因があったとしても、です。 ◯ 自分が大好き

          完成されたクズになろう!〜中途半端のためのハウツーnote〜

          日記まとめ『こんなんだから仕方がない』『ネギネギネギ、ネ』

          5月12日(日) 『こんなんだから仕方がない』 歩いている途中で思いついたあれやこれを、歩いているものだからすぐに書き留められなくて、忘れてしまう。というのを私はかれこれ半年ほど続けている気がする。(記憶を司る脳機能が弱いのだろう) 「今現在を生きるわたし」にとっては数時間前の「過去のわたし」の思考回路を正確に把握できないし、彼女(過去のわたし)とわたしは同一人物でありながら別の世界を生きているようである。 突拍子もない彼女の思考世界をどうしても思い出したいのだ。晩春の風がそ

          日記まとめ『こんなんだから仕方がない』『ネギネギネギ、ネ』

          小説『結ばない靴紐』

           まみちゃんは同じ保育園のお友だちだった。彼女は靴ひもが結べなかった。どうしても絡まってしまうのだ。うまく結べないまみちゃんに、私は毎日手を貸していた。お外遊びの時は、まず私が先に靴を履き、次にまみちゃんに靴を履かせた。  わたしの靴はみずいろのプラスチック製でマジックテープ式だった。マジックテープの部分がピンク色で、端っこにお星様が付いていた。お星様の周りがシルバーのラメで囲まれていて、そのきらきらしているところがお気に入りだった。お母さんが買ってくれた自慢の靴で、泥で汚

          小説『結ばない靴紐』