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渦。色は黒色。たまにグレー。

 インターネットで好きな女の子の日記を読むことが、たまにの楽しみです。毎回同じ記事を読む。その文章の鬱々しさに身を浸して、この子がわたしの気持ちを言語化してくれている…だのなんだの。マイヒーローなんかじゃないっつーの。助けられたとかそんな薄っぺらな言葉で表現したくないです。自分の現実世界とあの子の世界を混ぜないように、自戒の念を込めてそう考えるのであった。

 雨が降っていた。例によって傘をささなかったので、スマホの画面の明るさに雨粒が虹色に光る。スクリーンショットをしようとして手を止める。写真に撮ったって雨粒の虹色は映るわけないじゃないか。これだからZ世代は、と心の中のお局にちくちく言われているような気がした。どうしようもなく、どうもできないのでこれを目に焼き付けておこうと、スウェット地のズボンで仕方なく拭いた。遠くに見えるきみは、スマホを見せながら後輩たちにしきりになにかを説明している。虹色がお揃いで嬉しいのだった。

 マイナスな発言をしたあと、あの子の明るさに直面して反省する。そうだよね。そうだよ。自分だけが辛いのではないのだけれども、今はどうしても「がんばろう」の言葉を受けつけない。精神が二重構造になって、捻れ始める。捻れ切った後はどうなってしまうのだろう。極限を知るリスクを考えずに突っ走るには、まだまだ、であった。

 あの子が全然やってこないので、みんなは呆れモードであった。私はわくわくしているというのに。

「練習無くなって安心しているんじゃない」
「Aちゃんだって頑張っているのに」

違うの。そうじゃないの。言いたいのに言えなくて。可能性を否定するような言葉たちにわたしは耐えられない。自分が頑張れたって、他人が同じように頑張れるとは限らない。そう言いたいのに言えなくて。

 いつからかグンと気温が下がって、ぬか喜びをしたのも束の間。黒い渦に飲み込まれそうになっている。この感覚が、瞬間的なものなのか、永続的なものなのか。考えても考えても分からない。

そりゃそうである。
未来のことなど誰も知らないのだから。

完璧な未来を描かないために、思考を停止させる。止まった思考に焦りを覚え、また、考え始める。

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