見出し画像

"本物"がある場所(イベントレポート)【行政とまちづくり】

少し前のことになりますが、プライベートでこちらの企画に参加してきました。
とてもいい企画だったので、久しぶりにきっちりレポートを投稿します。
長いので関心あるトピックだけでもどうぞ。


1:概要

九州経済産業局主催のこちらに企画。
経済産業省なので商業振興がメインですが、今回の企画では商業に限らず都市・まちづくりに関わる公務員3名が登壇。いずれも30代の、建築・事務・土木の市町村職員。

そのうちの2名、関西政令市の建築後輩と九州県庁所在地の土木先輩は以前からよく知っていて、面識のない二人が同じイベントに登壇、それも福岡市内で、九州経済産業局主催で、とか、新たな化学反応・新たな広がりの可能性をビンビン感じるじゃないですか!
オンライン参加も可能でしたが、一瞬でもいいからお二人に直接お会いしたいため、そしてできる範囲で会場の空気と可能性を感じとりたいため、参加してきました。

入口付近から見た会場の様子

2:イベント内容

少し遅れめで会場に着いたら、ちょうどトップバッターの建築後輩のプレゼンが始まったところ。
気づくかなーと思って目で挨拶するものの、華麗にスルー(プレゼンでいっぱいいっぱいでしたby本人談)。
しかし、8年半前にまちづくりスクールで出会った頃から随分と逞しくなっていて、中身の詰まった堂々としたプレゼンで感嘆。スライドの作りも上手。

2番手、九州町村の事務職さんの話も、初見だったけど面白く、数百人規模の行政組織での、よりローカルでよりプレイヤー寄りの、実践者としての話を聞かせて頂きました。
彼がよく口にする「グレーゾーン」は、本当に実践してきた人にはわかる、覚悟と責任をあらわしたキャッチコピーですよね。小規模組織ならではの職員一人が担う役割とリスクの大きさのバランス感覚と覚悟を感じました。

ラスト3番手はお馴染み、土木の先輩。
もう説明は不要なレベル。ちゃんと職務で来て、ちゃんと仕事のスライドメインに話していました。いつも業務外(B面)の話メインに聴いてるので、やや新鮮。
最年長ということもあり、活動履歴も重厚過ぎるので、ラストに持ってきた主催者の判断は英断でした(いや絶対ラストしかないやろby主催者談)。

その後は、木藤さんのファシリでトークセッション。
これがめちゃめちゃ凄くて、だいたいリレープレゼン後のトークセッションって、セッションと言いながらあらかじめ決めてた質問に各自が順番に答えるだけだったり、あるいはぐだぐだしたりが大半なんですが、木藤さんは3人の話の要点をリアルタイムで綺麗にまとめ、バシバシ質問して回してました。
おかげで、登壇者同士のコミュニケーションも生まれ、聴いてる方もわくわく。あれを60分まるまる持たせるのすごい。。

その後、締めに九州経済産業局が制度や取り組みを紹介し、たまに無茶ぶりで九地整に振ったりと、行政らしい流れで終わりました。

3:交流会

その後は交流会。
くじ引きで奥の席になり、初対面の人ばかりのどぎまぎしてるテーブルになったので、これは腹をくくらねばと、いつもの懇親会裏幹事モードに。
皆さん想いや疑問を持って主体的に参加した人ばかりだったので、どれだけ人が入れ替わっても話が尽きず、あっという間に席の時間が来るまで話してました。

解散後は、関西方面の最終新幹線(博多駅)と、西九州方面の最終高速バス(天神バスセンター)の時間を確認し、ギリギリまで話したい雰囲気が出ていた登壇者3人と30代連中をまとめ、2次会へ。

例によって、市外から来たのに気づけば自分が先導。まぁ天神は慣れた場所ですし
とにかくみんなが話す時間が貴重なので、さくっと入って順次解散できるよう、西鉄改札前のPRONTOをチョイス。
非常に感じのいい店員さんたちに協力してもらい、臨時の11人席を組み上げ皆を配置。
1席だけ不足したので、自分は隣の70代の品の良いご婦人2人と談笑。最近落ち着かなくなった福岡市から他所へ引っ越したいというので、うちの都市を沿線と団地まで調べてプレゼン。引っ越してくれるかなー。 

二次会への案内道中@天神渡辺通り

4:感想

すごく貴重な、いいイベントでした。
これを経済産業省が企画したっていうのがすごく大きい。

基礎自治体側が主催になると、横の市町村や、縦の国交省につながることはあっても、その他の県とか国とかまで巻き込むのが難しい。
でも、経済産業省みたいな軽くふわっと動ける省庁がやってくれると、横の省庁に拡げることも、縦の市町村商業部門に下すことも、県や市の都市・技術部門に「ナナメにつなぐ」こともできる。
人やチームをつなぐプラットフォームとして、これ以上のものはないわけです。
実際、会場には、福岡市だけでなく、福岡県も北九州市も周辺市町村も九州地方整備局(国交省)も九州外も来ていましたし。

また、会場が福岡市内というのもすごく可能性があって。
これまで、天神ビッグバンや大名小跡地に見られるように、民間主導の大規模開発系やスタートアップ系のイベントは、ちょいちょい福岡市内で見かけてきましたが、今回のようなもっとローカルなまちづくり系、それも公務員主導によるものは、あまりなかったように思います。北九州とか大分とか佐賀とかの方がメインだったかな。

ただ、どんなに周りが盛り上がっても、やっぱり九州の中心地でありリーダー都市は福岡市。
これまで、周りで最先端のまちづくりをやっても、わざわざ中心地の方々は来ない・興味を持たないのが実情だったので、そろそろ、周辺の各県や市がローカルから積み上げていったものを、中心地へ届けるタイミングに来ているんじゃないかと。
そういう意味でも、博多にオフィスがある省庁が、天神や博多で定期的にこういった人と情報と想いがつながる拠点を創ってくれるのは、とてもありがたく可能性に溢れていると思います。

出典:日本経済新聞

5:個人的な気づき

ここ数年、コロナ禍によりこういった密度の高い対面イベントが軒並み無くなりました。
コロナ明けから2年近く経った今でも、一度消えてしまった熱意という蝋燭はなかなか復活しません。

また、自分の話になりますが、コロナ前に仕事の関係で身体を壊したため、6年近くこういった新規の集まりから遠ざかっていました。

しかし、そんな中、新たな主催が立ち上げた、久しぶりの対面凝縮イベントに身一つで参加して、気づいたことがあります。

それは、自分も世の中も、全く何も変わってないということ。

色んな組織や年上・年下の初対面の方々と、入れ代わり立ち代わり話をしても、こちらがきちんと想いを持ち言語化すれば相手に届くし、中身が詰まっていればどんどん話やつながりが発展していく。
交流会では話や取り分けのホスピタリティを褒められるし、二次会への案内役もいつもどおりだねと笑われる。

場をつくること(チームビルディング)、人をつなぐこと、言語化して伝えること、まちづくりへの真摯さ、どれもずっと変わらない自分らしさ、自分の武器だし、今でも世の中にそれは響くんだなと。
それに気づけたことが、今回の一番の収穫。ぐーっと視野が広がり元に戻っていくのを感じました。

登壇者と出会ったまちづくりイベント@8年前

6:「本物」の在り処

なぜそれに気づけたかというと、あの場にはきっと、「本物」があったからだと思います。

主催者の九州経済局は、今まであまりこういうことやってなくて、アンテナ貼ってる自分から見ても、ここまで広く都市やまちづくり業界に関わってくるのはほぼ初めてじゃないかと。
仕事でやってるだけかなと思っていましたが、よくよく話を聞くと企画担当者は基礎自治体から出向中の職員。
登壇者も、自身がプライベートで参加したイベントのつながりから呼んだとか。だから選択にセンスあるんですね。

また、登壇者の三人は、政令市・県庁所在地・小規模町とそれぞれの基礎自治体で、まちを良くしたいと純粋な思いから、本当にまちのため、市民のために活動してきている。
業務外でチャレンジし続け(B面)、それが認められ、ときおり業務での責任を持った役割・部署を担当(A面)。
安全圏に籠らず、綺麗ごとや一般論を言わず、汗をかいて泥臭いことから逃げない。だから聴いている人の心を打つ。

これが例えば、保身や評価や出世のための「綺麗な仕事」として政策やまちづくりを利用してしまっていると、そうならないんですよね。
安全圏から一歩も出ず、リスクを取らず、評価されるための綺麗な汗しかかかない、オガールの岡崎さんが言うところの「ノーリスク批評型公務員」になるので。
そうなると、総じて、自分のため、上司のため、つまり「役所のためのまちづくり」になってしまう。
だから、上司や幹部には上手な説明ができても、本当に現場で活動している市民・民間・公務員の皆さんの心を動かすことは言えない。
どんなに優秀な公務員でも、そうなったら非常に勿体ないと、自戒を込めて。

想いも、行動も、人も、本物がある場所で、その本質部分に触れたからこそ、北極点を見つけて羅針盤が壊れてないのを確認できたように、自分の正しさや変わらなさを確認できたんじゃないかなーと、振り返って思います。

7:まとめ

ここ数年、違和感の中でずっと過ごしていて、最近特に感じているところだったんですが、単純に本物があるかどうかなんだなと、ちょっと腑に落ちました。

その違和感に自分が耐えられないのは、おそらく、過去の投稿にあるように、学生時代から、業務内外を通じた十数年の積み重ねによって、物事の全体像と本質を捉える力と、そこから生じる近未来予測が、ちょっとだけ身についてるからなんじゃないかなと。
会に参加した皆さまのおかげで、自分の本質、俯瞰や言語化、熱意やホスピタリティ、マネジメント力や巻き込み力が、まだまだ残っていることを、改めて自覚できたのは、大変ありがたい収穫でした。

15年間の業務内外での取り組みは、きちんと一本のストーリーに繋がっているようなので、お三方のプレゼンを見習って、近々一つの年表とプレゼンにまとめてみたいものですね。

九州経済産業局の皆さま、ありがとうございました!
次回の企画も楽しみにしています。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集