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韓国料理#21.ムルフェ~暑い夏に食べたい冷製料理~
韓国料理では、水という意味の「ムル(물)」によく出逢います。
キムチといえば赤色の白菜漬けを想像しがちですが、唐辛子を使っていない水キムチ(물김치)もあります。また同じく代表的な韓国料理の冷麺は、水冷麺(물냉면)とビビン麺(비빔면)に分けることができます。どちらのムル料理も、爽快感溢れる冷たいスープが特徴です。
なかでも特に暑い夏におススメなのがムルフェ(물회)です。
フェ(회)とは火を通さずに生で食べる魚介類や肉料理のことで、漢字では「膾(なます)」と書きます。つまりムルフェは、例えるならば、刺し身の冷製スープということになります。
刺し身料理店(횟집)
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今回は、ソウル市恩平区(은평구)にある刺し身料理店鬱陵島(횟집울릉도)にお邪魔しました。
店前に並んだ椅子を見ても分かる通り、行列ができる人気店です。この日も開店直後から満席、お持ち帰りをするお客さんもたくさんいました。
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韓国の活魚・刺し身料理店の前には、このような大きい水槽が置いていることが多いです。店内に入る前に、今日はどんな魚介類を置いているのかと覗いてみるのも楽しみの一つです。
付け合わせ(반찬)
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注文してまず運ばれてきた付け合わせ料理(반찬)は、キュウリとトドクの和え物(오이더덕무침)、オイコチュとアワビの肝の和え物、ニラのチヂミ(부추전)、玉ねぎの酢漬け(양파절임)、マヨネーズサラダです。
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左の小皿に入ったキュウリとトドクの和え物は、甘酸っぱい味付けで歯ごたえもあって美味しかったです。
ちなみに「トドク(더덕)って何?」と思われるかもしれませんが、辞書によると「ツルニンジン(蔓人参)」だそうです。栄養価が高く、見た目もですが、風味や食感も高麗人参に似て、ほのかな苦みがあります。日本でも自生しているそうですが、食材として使う地域はあるのでしょうか。韓国では昔から食されており、自然のものに比べると風味や栄養分は落ちますが、現在では栽培もされているそうです。
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話は料理に戻り、付け合わせの中で最も美味しかったのが、オイコチュとアワビの肝の和え物です。
オイコチュ(오이고추)は、直訳すると「キュウリ唐辛子」になります。キュウリのようにみずみずしい大きめの唐辛子で、辛みは一切ありません。
食べやすい大きさに切ったオイコチュを、茹でたアワビの肝と一緒に味噌で和えています。味噌のおかげもあってか臭みや苦みはなく、香ばしかったです。深みのあるしっとりとした味わいの肝に、オイコチュのシャキシャキ感と爽やかな風味が加わった貴重な一品でした。
ムルフェ(물회)
◆新鮮な材料が命
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今回の主役、ムルフェの登場です。
材料となる魚介類はその日の仕入れによって変わるようですが、この日はヒラメ(광어)、ホヤ(멍게)、アワビ(전복)、ナマコ(해삼)、テナガダコ(낙지)が使われていました。
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こちらのお店のように、ムルフェに使う活魚はヒラメやカレイ、タイなどの白身魚が多いです。
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中央にあるのがテナガダコ(낙지)で、韓国ではよく食べられる高級食材です。
テナガダコはぶつ切りにされていますが、料理が運ばれて来たときは元気に動いていました。折角なので動く様子を動画でアップしたかったのですが、色々と作業が面倒くさいので、今回は断念しました。
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海鮮好きに、この光景はたまりません。
すべての素材が新鮮で、美味しそうです。まさに、海の幸。「海の宝石箱や~」とでも言いたい気分になりますね。
一つの料理でこれだけの魚介類を味わえるのが、ムルフェの魅力です。
◆シャーベット状の甘酸っぱいスープ
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魚介類ばかりを紹介しましたが、その下には千切りにした野菜とスープが隠れています。
ピリ辛で甘酸っぱいスープは、キンキンに冷えてシャーベット状になっています。見た目も涼しく、食べても涼しい。まさに夏にはピッタリの料理です。
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全体をかき混ぜて、野菜と魚介を一緒にいただきます。
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テーブルにはお店独自の甘酸っぱくて香ばしいソースが置いてあるので、好みの味に整えます。
◆シメは素麺
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ある程度食べた後は、スープに素麺(소면)を入れるのがお決まりです。
こちらのお店ではムルフェを注文するとサービスで素麺が付いてきますが、お店によっては別途注文する必要がある場合もあります。
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素麺で夏感がさらにアップした気がするのは、昔、夏休みのお昼には素麺をよく食べていたからでしょうか。
ちなみに、素麺ではなく冷ご飯を入れる人も多くいます。なかには素麺とご飯の両方を入れる強者も・・・。私は断然、素麺派ですが。
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ムルフェは中に入れる具材や食べ方など、地方によっても様々です。
特に海に面する地域ではその土地ならではのムルフェを楽しむことができるので、旅行の際にはおススメです。
ではでは。