特別支援学級の利用、迷っていますか?
先日Twitterでこんなことをつぶやきました。
私は学校の訪問相談員としてときどき授業をのぞくことがあります。
すると明らかに学習が困難だけど通常学級(クラス)で授業を受けている子を見かけます。
該当する子ども本人も、困っている様子です。
もちろん先生がたもその状況は知っていて、できる限りの配慮をしてくれていますが、30人以上の子どもがいるクラスでは限界があります。
そういった子どもたちの中には、すでに発達検査を済ませて医療にもかかり、特別支援学級を利用できる切符を手にしている子もおりますし、支援関係者の多くがその手はずを整えたいと思ってもなかなか進まないケースもあります。
ではなぜ、特別支援の切符を持っているのに通常学級で困り感を抱えたまま授業を受けるのでしょうか?
あるいはなぜ、関係者が「子どもにとって最良の支援を」と考えているのにそれが実現できないのでしょうか?
大きな要因の一つとしてあげられるのは『保護者の迷い』です。
場合によっては『発達特性の話や特別支援の話はいっさい拒絶』という保護者もいらっしゃいます。(もしまだ関係性が築けていないのにそんな提案をいきなりする先生がいたとしたら、それは拒絶して当然かもしれませんが。)
カウンセリングには「特別支援を利用するべきか迷っています」と相談に来られる保護者が少なくありません。
保護者が迷う理由
私が直接親御さんからお話をお聞きする中で特に多い『迷う理由』は・・・
周囲の目・世間体が気になる
他の家族が認めてくれない
支援級では甘やかされてわがままになりそう
ますます勉強が遅れてしまいそう
クラスの子と関係が途切れてしまいそう
小人数では対人関係が学べなさそう
通常級で頑張ってほしい
高校進学できなくなるのでは
など、子どもの将来を心配する様子が伝わってきます。
『学校は毎日通うもの。通常級で座って静かに勉強するもの。
学校はクラスの中で集団生活や対人関係をまなぶところ。』
たいていの親は『それが普通』と考えているのではないでしょうか?
特に自分の子どもに対しては「そうあってほしい」と願ってしまいがちです。
そしてもうひとつ、
特別支援学級の実態がわからない
という最大の理由があげられます。
『特別支援学級の実態がわからない』からこそ、たくさんの心配や不安が浮かんできて、迷いが生じるんですよね。
特別支援学級がどんなクラスなのか、何をするクラスなのか明確になれば今よりも安心して、『子どもの幸せのため』の選択がしやすくなるのではないでしょうか。
特別支援学級とは
特別支援学級の種類は知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害があります。
一般的に、発達障害は「自閉症・情緒障害」のクラスに該当します。
特別支援学級は、子ども一人ひとりのニーズに応じた教育が受けられるように多くの小中学校に設置されています。1クラスの定員は8名となっていますが、地域や学校によって実態はさまざまなようです。
本人が望めば通常学級で授業を受けることや交流も可能です。障害の種類や程度にもよりますが普通高校への進学もできます。
特別支援は遊んでいる?
カウンセリングで話をうかがうと、特別支援は「授業が簡単で学年相応の学力がつかない」とか「遊んでばかりいる」などのイメージを持たれている保護者が少なくありません。
実際はどうでしょうか?
一見遊んでいるように見えることでも、ちゃんと意味があるのです。
例えば、
座って落ち着いて学習できるためには姿勢を保持できる体を作るための運動をする。
文字を上手に書けるようになるためには手指の運動をする
音読が上手になるために眼球の運動をする
といったように学習する力の土台となるものを作るためにいろんな運動(遊びやゲーム)を取りいれます。
この土台作りを怠ると、学習する力も伸びにくくなります。
また、学年相応の力を付けるためにも、その子の苦手から取り組んだり、教え方を工夫したりペースを調整する必要があります。
急がば回れです。
焦って通常級に合わせたペースで学習しても、学習したところを理解していなかったり定着できなかったりしたら、少人数で学ぶ意味がありません。
特別支援学級のメリット
特別支援学級で学ぶメリットは、なんといっても個々の特性やペースに合わせて学習ができることです。
通常級でももちろんある程度の配慮はありますが・・・
【通常級】多動傾向が強い子は常に注意を向けさせることが困難→集中できないので授業がわからなくなる→テストがわからない
【支援級】刺激を減らして集中しやすくできる→学習できる量が増える→成績アップ【通常級】先生の話が早くて理解に時間がかかる→理解する前に授業が先に進むので結局何もわからない状態で終わる
【支援級】先生がその子のペースや特性に合わせて授業を進めてくれる→進みは遅いが十分に理解した上で先に進めるので確実に学力が伸びる
といったメリットがあります。
また、コミュニケーションが苦手な子は、先生の目が届く範囲の小さなコミュニティの中でゆっくりコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
トラブルが発生しても、先生が間に入って、今後どうすればスムーズにコミュニケーションできるようになるかを一緒に考えてくれます。
冒頭にある私のTwitterのつぶやきの中に、「最近嬉しかったことは、先生に1対1で教えてもらって算数が理解できたこと」という子どものセリフがあります。
そうなんです。この子は決して学習ができないわけではないのです。
1対1でその子の特性に合った教え方をしてもらえれば理解できるのです。
ただ、通常級ではその子につきっきりというわけにはいきません。
せっかくのその子の持っている能力を最大限に伸ばしてあげるためには、もしかしたら特別支援学級の方が合っているのかもしれませんね。
実はこの子は、特別支援学級に入級する切符を手に入れる用意ができています。本人も少人数での学習を望んでいます。しかし親御さんが拒絶をしているため、通常級で授業も受けずに寝ているというわけです。
「わかると楽しい」をもっと味あわせてあげられたら、勉強が面白くなって、寝ている場合じゃなくなるかもしれないのに、もったいない話です。
親として迷うのは当然です。大切な子どものことですから。
しかし通常級で勉強を続けるのと、特別支援学級で勉強するのとではどちらが子どもの将来のためのなるのか、どちらの方が幸せになれるのかを今一度家族で話し合ってみてはいかがでしょう?
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