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「精神的に不安定な母親は子どもに悪影響?」そんな疑問が出てきた1冊【ギリシャ語の時間】ハン・ガン著、齋藤真理子訳
視力を失いつつあるギリシャ語の男性講師と
言葉を失った女性が交流する話です。
女性の過去が、
話が進むにつれて明らかになっていきます。
私が気になったのは女性と8歳の息子との関係です。
・8歳の息子の親権を失う
女性は数年前に離婚しました。
3回の訴訟の末、8歳の息子の親権を失いました。
元夫が「彼女の精神的敏感さが息子に対して悪影響になっている」と主張しました。
その結果、敗訴しました。
彼女の精神状態だけでなく、
金銭的な面でも不利でした。
元夫は銀行の本社へ異動になったため、
高給取りになりました。
一方で彼女は精神的な不安定さがあり、
仕事がままならない状態です。
訴訟を行う金銭的余力は残っていません。
・母の状態を理解する息子
8歳の息子と彼女のやり取りを読んで
「この息子は本当は母親と暮らしたいのではないか」と感じました。
母親が言葉が出ないことを
受け入れているように見えました。
・元夫への抗議
なんであの子を連れて行くのよ。何でそんな遠くに、そんなに長く。ひどい奴。血も涙もないのね。
言葉が出なくなっていたはずの彼女が、
元夫に電話していたように見えました。
(実際にしていたかは、文中から読み取れず)
「ママ、九月から僕、ここに来ちゃいけないんだって」と息子から言われました。
息子本人はそこに行くのを望んでいません。
英語に自信がない、1年もいないといけないから嫌だと明かしています。
想像ではありますが、夫の海外赴任で英語圏の国に行くことになったと思われます。
本人が望まないけど、親権者が元夫のため
同行するしかなくなりました。
言葉を失った彼女が、
精一杯元夫へ抗議したのを感じました。
・感想
「精神的に不安定な母親が息子に悪影響を与えているのか」と疑問に思いました。
母親の元に行ったらいけない、
英語圏の遠くの国に行かないといけない、
それらのことに対して、
息子は納得していないように見えました。
「精神的に不安定な母親は、子育てする資格はないのか」と元夫からの仕打ちに考えてしまいました。
以上、ちえでした。
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