患者の命を守るはずが【夜と霧の隅で】北杜夫著
ホロコーストが牙を向けたのは、
ユダヤ人だけではありませんでした。
精神病者にも向けられました。
ユダヤ人排斥より前から、
精神病者の断種手術をしたり、
安死術を行ってました。
1939年に初めて実施したら、
教会からの非難が大きかったため、
一旦中止になりました。
しかし、1941年に秘密下に行われました。
徐々に隠密のうちに患者が
どこかに連れ去られていくようになります。
その後死亡通知で知らされました。
精神病の患者が連れて行かれないように
治療を試みた医師が出てきました。
メロディアスライブラリー2009.1.25放送。
・当時の医療を伺い知る
電気ショックは、
薬理学の講義でちらっと出てきたけど、
精神科の分野でインスリンとアセチルコリンが
登場したのに驚きました。
特にインスリンは、
糖尿病の治療のイメージか強いです。
この時代に、なぜ使われていたのはわかりませんが
「インスリンこんな使い方するの?」と
驚きました。
・妄想
よく言葉は聞くけど、
具体的な定義は知りませんでした。
終わりの方に出てきますが、
「妄想を必要としている」というセリフに驚きました。
実際に、入院していた高島は、
妻のアンナが自殺した事実を受け入れたあと、
退院直前に自殺してしまいました。
アンナは、父親がユダヤ人ということで、
ユダヤ人狩りの標的になってしまいました。
・感想
『夜と霧』とタイトルが似ているので、
関連した話かと思ってました。
実際は、関連はなく、
安楽死させられる精神病の患者を
死なせないために治療に奮闘した医師の話です。
「妄想を必要としている」という発想がなかったので、「へ!?」と二度見しました。
回復した高島が、妻の自殺を受け入れたあとに
自身も自殺したのを見て
「妄想があることで生き延びている人がいる」と
気が付きました。
患者を救おうと奮闘した医師でしたが、
却って死人を出してしまったのをみて、
何とも言えない気持ちになりました。
以上、ちえでした。
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