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「何かを失くしたら何かを手に入れられるだろうか」失ったものがある2人を見ながら考えたこととは【ギリシャ語の時間】ハン・ガン著、齋藤真理子訳
視力を失いつつあるギリシャ語の男性講師と
ギリシャ語講座の受講生で
言葉を失った女性が交流する話です。
共通点は2人とも失ったものがあることです。
・何を得ただろうか
何かを失えば他の何かを得ることになるという命題が正しいと仮定するならば、あなたを失うことで、私は何を得たのだろうかと。見える世界を失ったことによって今、何を得たのかと。
「何かを得た代償に何かを失う」とよく聞きませんか。
例えるならば、
何か物を買えば、手元からお金がなくなります。
何かに時間を使えば、他のことに使う時間を失います。
何も手放さずに得られるものはありません。
トレードオフの関係です。
これを聞くと暗い気持ちになるけど、
悪いことばかりではありません。
「何かを失くしたり手放したりすれば、
得られるものもある」という人もいます。
今までやっていた仕事を手放したら、
もっと大きな仕事が舞い込んできたという話を聞いたことがあります。
・彼女と講師が得たもの
失ったものがある2人は一体何を得たのだろうか。
正直なところ、
最後まで読んでも明確な答えは出ませんでした。
敢えて言うなら、「気づき」かもしれません。
「お互いが置かれた状況はわからない」ということを知ったことです。
講師は受講者である彼女が
言葉や息子の親権を失ったことを
知りませんでした。
彼女も彼女で、講師の視力が落ちていることを知りませんでした。
講師はメガネの度を最大限に上げていますが、
既に細かいものは見えなくなってます。
・感想
「2人とも今後どうやって生きていくんだろうか」
読者ながら、先の見通しが暗く見えました。
言葉を失い、満足に仕事ができない彼女と、
目が見えなくなっている講師の男性。
その状態で講師の仕事はどうするのか。
講師の仕事ができなくなったら、
どうやって生計を立てるのかと
気になってしまいました。
それでも彼らは生きるしかないと思いながら
読み進めました。
以上、ちえでした。
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