人生初の踊り食い(群馬県:魚籠屋)
また一つ、未知の食の世界を開拓してしまった。
群馬県の榛名山中にある「魚籠屋(びくや)」に
奇食とされる「山女魚踊り食い」を食べに行った。
私にとって人生初の踊り食い。
感動や衝撃の入り混じった経験となったので書き綴りたい。
高崎市内から車で30分ほど山道を走ると「魚籠屋」の建物が見えてくる。
鬱蒼とした森の中に佇む茅葺き屋根の建物。
中の囲炉裏で火を焚いているのか、その煙が屋根からもくもくと出ている。
外まで漂う炭火の香りと、風が通る木々たちの音でどこか懐かしい気持ちになる。
店の外には手作りの梅干しが干してあった。すごく酸っぱそう!
かなりの人気店のようで、1時間ほど待ってからようやく中に入れた。
店内には大きな囲炉裏と生簀があり、水の中には川魚が泳いでいる。まるで日本昔ばなしの世界。
席についてからさっそく「山女魚の踊り食い」を注文した。
注文してからほどなく、店主が運んできてくれた。お皿にはツヤツヤの山女魚が並んでいる。
よく見ると捌かれた身がプルプルと震えているのが分かる。
ちょっ・・・これは。
まだ生きてるかのような動き・・・!
「お酢に20秒ほどつけて、わさび醤油で食べてください。噛んだ瞬間に山女魚が動くので、苦手な方は時間を置いてから食べてください。」
店主から説明を聞いてからいただく。
お酢には骨を柔らかくする効果と、殺菌作用があるらしい。
箸で掴むと刺身のようなしなりはない。
身が締まっていて、捌かれた山女魚が力んでいるようだ。
そして一口。
ビビビビビ!!!
前歯が身を通り背骨をがちりと噛んだ瞬間、
尾びれがビビビっと動いたのだ!
?!?!?!:(;゙゚'ω゚'):
プチパニックに陥る私。
目をまんまるくして見つめる先に、同じ顔をした友人がいた。
お味はというと、ほんとり甘く臭みが全くない。
骨まで柔らかくコリコリしていて、とっても美味しかった。噛めば噛むほど甘味が口の中に広がり、まさに絶品。
そして2尾目もまた激しく動いた。
「あいたっ!!!」そんな声が聞こえた気がする。
この後、捌いた後の頭と皮が天ぷらで出てきた。
魚は余すところがない。
***
普段の生活では感じることが少ない「命を食べる」ということ。私たちは他者から「生かされている」ことに、改めて感謝しなければならないと思った。
そして川魚を生で食べられるという魚籠屋さんの技術力の高さ。これは日本が誇る食文化ではないだろうか。
感動と衝撃の踊り食い体験!
ごちそうさまでした!
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