【大人の金融リテラシー】「なんであなたにそんなことまで‥」
NISAの口座開設は「ネット証券」が好調のようですね。
投資をしようと思ったら「ネット証券」だろうと「対面証券」だろうと証券会社に口座を開設することになります。
そのときに必ず聞かれることがあります。
「ネット証券」では決められたフォームに沿って答えていくことになりますが、「対面証券」では店頭や電話で人が確認をします。
そして何故そのような確認するのかを知ることで、その後の証券会社との付き合いも円滑に運ぶことができます。
まずは「氏名」、「住所」、「生年月日」、「職業」
→「これらは何かを契約するときに聞かれる一般的なことだよね」
「投資方針」、「投資目的」、「投資経験」
→「まあこれくらいは相手(証券会社)に知らせておいた方が都合がいいかもね」
ところが‥
「収入」、「収入形態」、「金融資産」
この辺りになると、あやしくなっていきます。
「なんであなたにそんなことまで答えなきゃならないの!」
それだけで気分を害されるお客様もおられます。
そのときに証券会社は待ってましたとばかりに「適合性の原則」のお話しをすることになります。
「適合性の原則」とは…
「顧客の目的や属性を確認し、それに適合した取引を勧誘・販売しなければならない」という証券会社に課せられたルールです。
「顧客の目的や属性…に適合した取引」には現在あるい将来の資産に見合った取引という意味も含まれるため、それらをお聞きしないと勧誘や販売が出来ないということになるのです。
例えば、資産の豊富な方であれば、投機性のあるリスクの高い商品もお勧めすべき商品の候補となり得ますが、そうでない方であれば、お勧めすることを控えたり、仮にお勧めするにしても金額を抑えて少額でご案内しなければならないということです。
もちろん「投資方針」が「元本の安全性」を重視される方であれば、資産の状況がどうであれ、ご案内する商品は国債などに限られることになります。
すなわち、これを確認しないとどのような商品をどのような金額でご案内すべきか、あるいはしてはいけないのかが分からないということになるのです。
「分からない」限りはお客様自らが「買いたい」とでもおっしゃらない限り、勧誘は出来ないことになります。
これは顧客側から見れば「自分を守ってくれるルール」でもあります。
なぜならば、それらをお客様に確認をして以降は、それに反する取引が行われていないか、様々な場面でチェックが行われるからです。
以下は私がいた証券会社で行われていたことです。
お客様とのやりとりは録音されます。
店頭や外交等で録音されない場合は記録に残し、社内の眼にさらされます。
発注の際はシステムチェックがかかります。
疑義があるような場合は、事前に管理職の承認が必要になります。
そのうえで管理部門は日々取引の内容を精査しています。
ルールがあるからこそ目的や属性も確認するのであって、ルールがなければ徹底はされないでしょう。
確認しなければ、今お話ししたようなチェックは行われず、何か問題が起きても「知らなかった」という言い訳も出来ます。
またこのようなルールがなかったら、証券会社は自分たちが販売したい商品をお勧めすることになるでしょう。
個人情報保護法もあれば、守秘義務もあります。
なるべく多くの自分の情報をあらかじめ証券会社に伝えておくことで、安心、安全な投資が担保されることになるかも知れません。
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