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OITアワード~TBSグロウディア組織開発日記#1 

TBSグロウディアはTBSグループの7社が2019年に合併して設立された会社です。
TBSコンテンツの販売、通販やライセンスビジネス、IT事業や各種イベント、ラジオの制作もやっています。そもそもが別会社だったわけですから、組織文化はさまざまです。これら「仕事」も「文化」も違う事業会社を合併し、一体化させ、自走させるためにこれまでさまざまな改革に取り組んできました。
このコラムでは、グロウディアが実践してきたさまざまな取り組みをご紹介することで、少しでも私たちについて知っていただき、「自分たちの組織を、チームを活性化させたい」という志を持つ方々の参考になればと思っています。

「第4回OITアワード」の様子(2024年4月1日)

それは、ある部長の小さなネタから始まった

当社独自の取り組みとして最初にご紹介したいのが「OITアワード」です。2021年1月、番組関連グッズなどを企画販売する部門の部長が「コロナ禍で、番組関連グッズの売れ方に変化が起こっている」とパワーポイントのスライド数枚で私に業務報告した際のこと。スライドの1枚に、小さくこんな一文がありました。

 「TBSストアの窮地からOITでメロンパン号のサカス展示を実施」

少し説明します。そのころ、赤坂TBS放送センター前のサカス広場の一角に、TBSストアという番組関連グッズなどを売るショップがありました。2020年のコロナ以降、来客数が激減し、売り上げは激減したのです。文中のメロンパン号というのは、2020年に放送されたTBSドラマ「MIU404」の劇中に出てくる車。綾野剛さんと星野源さん扮する二人の刑事がメロンパン号で疾走する大人気ドラマです。

あまりにも店舗の来客数が少ないので、サカス広場にこの劇用車を展示したところ、広場という環境がよかったのかコロナ禍にもかかわらず大勢のファンが訪れ、SNSでバズってグッズも売れた、という報告内容です。(これがきっかけでメロンパン号は2年にわたり全国キャラバンし、行く先々にファンが訪れ、放送終了後2年たってもグッズは売れ続けたのです。これは今までになかった快挙です)

サカス広場に展示されたメロンパン号

報告内容も素晴らしいものだったんですが、パワポ文面に見慣れない文字が。そこでクボタという部長に私は聞きました。
「ところでクボタ君。OITって何?」
すると、クボタ部長はニヤリとしてこう言ったのです。
「思いつき=moITsukiです。」

まがりなりにも社長への報告にDAIGOさんみたいな小ネタを入れる、その心意気。こういうの大好きなんです。また報告された内容も、「アイディアを行動に移したことで、これまでになかった番組グッズの売れ方につながった」ということで、「素晴らしい!よし、思いつきを行動に移した事例を社内募集して、アワードやろう!」と盛り上がったのです。

さっそく社内に有志による「OITラボ」を設置。クボタ部長をラボ長にしてアワードの要綱を検討しました。その結果、「OITアワード」の目的は、以下のようにまとまりました。

第1回目の「OITアワード」が行われたのは2022年4月1日。予想を超える123通の社内応募から、OITラボ有志や役員たちの意見を聞きながら、アワード本番に向けて絞り込んでいきました。最終的には優秀賞として7つを紹介。その中から大賞を選ぶという趣向です。
コロナ禍でしたので、オンラインの社員集会ではありましたが、結果、大いに盛り上がりました。これまで4回行われたアワードの中から、受賞作品(?)をいくつかご紹介したいと思います。

何のための会議か?

当社は通販事業(TBSショッピングなど)を手掛けていますが、上のスライドはそのカスタマーや配送を担当しているセクションの社員の「OIT=思いつき」です。スライドにあるとおり、「ミス会議という会議のタイトルを変えた」、それだけと言えばそれだけなのですが、タイトルを変えるにあたり、「そもそも、この会議って何のためにやっているんだっけ?」という目的に立ち返り、考え直したということが大きなポイントです。

そして「ミスを起こさないためのミス共有会議」という目先の目的から「そもそも、ミスを起こさないのって、お客様のためだよね?」となり、「お客様の笑顔を増やすための、コールセンターの在り方は?」という本来あるべき目的に立ち返ったのです。そうして会議名を「スマイル会議に変えよう」という「思いつき」を提案し、「実行した」ということです。

つまりこれは単なる会議のタイトルの変更ではなく、会議の目的を再定義したということなのです。それにより会議の参加者が、「ミスをした=過去の反省」から「では、これからどうすれば?」という未来志向のマインドセットになった。この作品は、「第1回OITアワード」の大賞に輝きました。

社員の前向きな行動にスポットを当てる

OITアワードの特徴は、通常の社長賞や役員賞などでは取り上げられない、社員のちょっとした前向きな行動にスポットを当てることです。たとえば、こんなOITもあります。

会社であれば、取引先などから「お花」を頂戴することがあります。多くが昇進や周年などに対する祝い花ですが、これを何の世話もせず枯らしてしまうのはなんとも可哀そうということで、当社では会社の共用スペースなどで、社員有志がこれら祝い花を捨てずに育てています。
上のOITは、年末年始の長期休みに、それらをいかに枯らさないかと、「毛細管現象」を利用して、自動的に水をやる方法を考えた、というものです。

仕事に直接的な「効率」を求めるのはもちろん大切なことですが、直接の業務に関係なくても、よりよい職場環境のために花を枯らさずに育てようという、こういう社員の気持ちが、僕は大好きです。
因みにこの社員はコロナ禍から継続して、他の総務部社員たちと一緒に毎朝、共用会議室のテーブルやドアノブを拭き続けています。彼女たちのおかげで私含め社員全員、安全快適に、今日も仕事ができている。私はこうした社員たちと仲間であることを、本当に誇りに思うのです。
 
他にも、「会議終わりに、一本締めのOIT」、「配送箱内部の余剰スペース狩り」、「オペラの巨匠、補聴器を忘れる」
など、タイトルだけだと何のことかまったくわからないとは思いますが、とてもユニークなOITがいくつも受賞しています。 

なぜ、OITを奨励するのか?


ところでなぜ、「OITアワード」みたいなものを、社内でこれほど盛り上げていくのか。これには明確な狙いがあります。
それは、「グロウディズム」浸透のためです。
会社名のグロウディア+イズムで、グロウディズム。2021年に定めた、TBSグロウディアの「行動規範」です。

このグロウディズムを定めたプロセスに関しても、いずれご紹介したいと思いますが、大切なことは「いかにこれらを文化として定着させるか」ということだと思うのです。

TBSグロウディアの組織開発は、ほとんどこの「グロウディズム浸透」のプロセスと言っても過言ではありません。
今回の「OITアワード」をやってよかったと思うのは、特に「お客様のために」「家族に誇れる仕事をしよう」「貪欲に学ぼう行動に移そう」「情報とナレッジを共有しよう」そして「笑いを起こそう」、賞にエントリーしてくる社員の取り組みひとつひとつが、まさにこれらの体現だと思うからです。

皆がこれらを体現するさまを社員が集う場で賞賛し、分かち合う。これがグロウディアの「OITアワード」なのです。

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