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10月4日 『ココロワ稲作日誌』を読んで
2年B組 ろりすけ
・かつて一世を風靡した神ゲー『天穂のサクナヒメ』の後日譚を描いた小説、『ココロワ稲作日誌』が今日発売されたのでね!
原作ファンなので飛びつきましたよ。
↑Kindleで買った
めちゃくちゃ面白くてすぐ読み終わっちゃった。
ちょっと小説の感想の前に本編の話を。
・サクナヒメと言えばこの間、日本ゲーム大賞2021の優秀賞に選ばれてましたね。
インディーズからここまで跳ねたゲームってなかなか無いのでは?
・発売前まではあんまり興味無かったんだけど、口コミで爆発的に流行ってたのでやってみたら、世界観に感動して一気に引き込まれたゲーム。
いやー、傑作だった。
和風の世界観、ガチ稲作、シナリオ、2Dアクションの爽快感、神BGMとどれをとっても良かった……。
・良いところを語り始めると止まらないのでゲームのストーリーだけ話そう。
武神と豊穣神の間に生まれたサクナヒメ。
神々の世界で両親の遺産を食い潰し自堕落生活。
ある時、飢饉に陥った人間が神々の世界に迷い込んでしまう。
人間界に追い返すべく、人間を追い回すサクナヒメ。
主神への捧げ物がある食糧庫に逃げ込んだところを追い詰めたが、サクナヒメの不注意で油に引火して食糧庫を吹き飛ばしてしまう。
罰としてサクナヒメは人間とともに鬼が住まう孤島の調査(という名の島流し)を命じられてしまう。
島で自給自足の生活を強いられるサクナヒメと人間。
稲作をしながら狩りをして何とか食い繋ぎ、人間と共にサクナヒメも成長していく。
このゲームのキャッチコピーは『米は力だ』。
豊穣神の娘なので稲作をする度に強くなっていく。
鬼の調査を成功させて都に帰れるのか?
人間も元の世界に戻せるのか?
みたいなストーリー。
ほぼ1年前にやったからフワッとしか覚えてないや。
・小説のタイトルにもなってるココロワちゃんって誰だよって話なんだけど。
実は本編ではチョイ役。こんなに可愛いのに。
サクナヒメと友達の神であり、発明の神。
機械とかカラクリを作ってサクナヒメの稲作をサポートする。
またココロワちゃんの裏の顔は小説作家。
都で大流行の恋愛小説を偽名でこっそり書いていて、サクナヒメはその小説の大ファン。
というのがゲーム中でのココロワちゃんの設定。
・この小説はゲームクリア後の後日譚。
サクナヒメに満足して欲しいので新しい小説を書こうとするも、なかなか筆が進まないココロワ。
都では他の小説が流行ってしまい焦燥感に駆られる。
稲作をテーマにして小説を書こうと思い立ち、サクナのいるヒノエ島を再度訪れることに。
自分で稲作をしてその体験を小説のネタにしようとするが……?
という話。
・天穂のサクナヒメをプレイした人は読むべき。絶対に。
ただでさえ100点のゲームが200点になる。
よりサクナヒメの世界観が好きになる。
そんな小説でした。
・元ゲームの小説版ってどうなのって思ってたんだけど、この小説は原作の雰囲気を忠実に守っている。
台詞回しとかキャラの性格もそのまんまなので、文字から声が聞こえるほど。
稲作の雰囲気もそのままだし、仲間と一緒に和気あいあいしたり、バトルの緊張感とかもほんとゲームのまま。
そのまんまゲームクリア後のお話として追加してもおかしくないくらいの出来。
拡張有料DLCとして売ってくれ…。
↑挿絵も可愛い
・原作ではサクナヒメの精神的な成長が描かれていて、小説では対照的にココロワの成長が描かれる。
昔はぐーたらしてたサクナヒメと勤勉なココロワって感じだったけど、稲作になると豊穣神サクナヒメと初心者ココロワ。
勤勉がゆえ現実をあまり見れていなかったり、頑固なので上手く助けを求められなかったり。
真面目に頑張る姿が健気でのう……。
稲作の苦悩を全身に感じつつ成長していく姿よ。
ココロワちゃんの心情の描写がリアルでとても良かった……。
・成長したサクナヒメがめちゃくちゃ頼りになる。
田右衛門も最初はあんなにポンコツだったのに……。
ゲーム中で人間の仲間もみんな成長していたんだなって改めて思った。
・あと文体が読みやすくて、スラスラ進んじゃう。
あんなに専門用語織り込んでるのにちゃんと情景がイメージしやすいし、遠回しな表現とかもあまりないので頭に入りやすい。
小説読むの苦手なのですごい助かった。
参考にしよう……。
・めちゃくちゃ雑草の描写が解像度高い。雑草4K。
と思ったら作者が水稲用除草剤の研究家らしい。そんなことある??
ココロワちゃんがきっともっと好きになれる本。作家さんが水稲用除草剤の研究者なので稲作描写もばっちりですぞ…
— なる (@nal_ew) October 4, 2021
っていう話を先日とある制作会社さんにしたら、そんな人選現実にあり得るんですか。集英社さんヤバいですねと仰られてました。ヤバいよね… https://t.co/5S7Usa4duf
↑ゲームの作者のTwitter
・欲を言えばもっとボリュームが欲しかった。
楽しくてすぐ読み終わっちゃったんだよ。
この小説ワンシーズンで終わっちゃうんだけど、2~3年分がっつりやっても読み飽きないんじゃないかな。
まあ読みやすさと展開重視でワンシーズンにしたんだろうけどね。
オタクなのでもっと濃い情報が欲しかった。
この小説自体後日譚なんだけど、さらにこの小説の後日譚も見たかったな。
・読書感想文みたいな書き出しをしていたのに、結局いつものレビューみたいになっちゃった。
でもほんとサクナヒメやった人に是非ともオススメしたい。
普段小説とか全く読まないおじさんが全く眠くならずに一気に読めたので。
みんな読んで「ゴゴロバ~!!」ってなるんだよ!!