【パパ・ママ必見】育休制度の全てが分かる!働くパパ・ママのための育休マニュアル
子供を産むことは、新しい命を迎える喜びと同時に、多くの時間とエネルギーが必要になります。
そして、子育てと仕事を両立するパパ・ママが安心して育児に専念するためには、誰もが育休制度を活用を検討するでしょう。
しかし、育休に関する知識がなく、社長や上司に言われたことをそのまま飲み込んでいると、自分が持っている権利を使わずに損する可能性があります。
今回の記事では、初めて育休取得を検討しているパパ・ママでも、わかりやすいように育休制度について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
⚫︎育休とは
育休(育児休業)とは、子育てを行うために仕事を一時的に休むことができる制度のことです。
育児・介護休業法という法律に定められており、仕事と育児の両立を目的としています。
基本的には、父親・母親関係なく、子供が生まれた親であれば対象になります。
⚫︎育休の対象者
育休は、基本的に正社員・契約社員・アルバイトなどの雇用形態、また性別に関わらず取得可能です。
◻︎第一関門:育児・介護休業法の条件
しかし、育休を取得するためには、第一関門として、下記の育児・介護休業法の条件を満たす必要があります。
1点目に関しては問題ないですが、2点目は、特に有期雇用労働者の方は要注意です。
ただし、有期雇用労働者の方で、"子供が1歳6か月になるまでに、雇用期間が終了してしまう場合"でも、契約更新が明らかな場合は問題ないのでご安心ください。
◻︎第二関門:労使協定
そして、ここからが第二関門です。
育児・介護休業法によって定められた条件を突破した後は、あなたの会社が結んでいる労使協定によって、育休取得の対象かどうかが変わってきます。
まず簡単に、"労使協定"について説明させていただきます。
労使協定とは、会社の経営者と労働組合(労働組合がない場合は、従業員の過半数以上を代表する者)が合意して締結される契約のことです。
労使協定にはいくつか種類があり、その中の1つとして、「育児休業、看護休暇及び介護休業が出来ない者の範囲」を定める労使協定があります。
ここで重要なポイントなのが、労使協定を結ぶのは義務ではありません。
つまり、会社によっては、「育児休業、看護休暇及び介護休業が出来ない者の範囲」を定める労使協定を結んでいない場合もあります。
そのため、あなたの会社が労使協定を結んでいない場合、育児・介護休業法の条件を満たすだけで育休取得の対象になります。
そして、あなたの労使協定を結んでいる場合は、育児・介護休業法の条件にプラスして、下記のような労使協定に定められた条件も満たす必要があります。
◻︎育休対象者まとめ
育休の取得条件は、「育児・介護休業法の条件を満たしたらOK!」ではなく、あなたの会社が労使協定を結んでいる場合は、その労使協定の内容も満たす必要があります。
これらの条件をすべて満たしているにも関わらず、「繁忙期だから」や「代わりに仕事ができる人がいないから」といった理由で育休を取得させないのは、法律違反になります。
また、"労使協定を結んでいるかどうか"は、必ず会社に確認してください。
◻︎勘違いしやすいポイント
自分の育休取得の権利を守るために、勘違いしてはいけないポイントとして、労使協定と就業規則の違いをしっかり理解しておくことが重要です。
いくら会社の就業規則で、「入社1年未満の従業員は育休取得対象外」と言われたとしても、その会社が育児・介護休業等に関する労使協定を結んでいない場合は、無効になります。
つまり、もし会社から「入社1年未満の従業員は育休取得対象外」と言われた場合、それが労使協定に基づくものなのか、それとも就業規則で会社が勝手に言っているものなのかを確認する意味も含めて、"労使協定を結んでいるかどうか"は、必ず会社に確認してください。
労使協定や就業規則に関しては、こちらのブログでも詳しくまとめていますので、興味のある方はご覧ください。
⚫︎育休の取得期間と延長の条件
◻︎育休の取得可能期間
育休の取得期間は、原則として子供が1歳になるまでの期間です。
女性の場合は、そもそも産後8週間は働くことが禁止(産後の休業規定)されているので、育休を取得できるのは、産後8週間経過後から子どもが1歳になるまでのおよそ10カ月間のみとなります。
男性の場合は、子どもが誕生してから1歳になるまでなので、12カ月間の育休を取得できます。
◻︎育休の延長条件
先ほど、育休の取得期間は原則子供が1歳になるまでとお伝えしましたが、ある条件を満たせば、「1歳の誕生日から1歳6カ月になるまで」と「1歳6カ月になった次の日から2歳になるまで」の2回延長することが可能です。
条件は以下の通りです。
育休取得期間の延長は、育児・介護休業法に基づいているので、上記の条件に当てはまる人は全員対象になります。
◻︎パパ・ママ育休プラス
パパ・ママ育休プラスとは、パパの育休の取得を促し、夫婦が協力して育児を行うことを目的として制定されました。
先ほどからお伝えしている通り、育休の取得期間は原則子供が1歳になるまでです。
しかし、夫婦がともに育休を取得すると、パパ・ママ育休プラスが適用され、育休取得期間を子どもが1歳2カ月になるまで延長することができます。
ただし、パパ・ママ育休プラスが適用されたとしても、実際に育休を取得できる期間自体は産後休業期間や産後パパ育休を含め、合計で1年間というのは変わりません。
こちらは、パパ・ママ育休プラスが適用される代表的な例になります。
上記の例の場合、ママとパパが子供が1歳になる前に育休を取得しているので、パパ・ママ育休プラスが適応されます。
そのため、パパは10/9から育休を取得しているので、子どもが1歳2カ月になる12/9までを上限として、育休を取得できます。
また、ママの場合、産後休業と育休の期間を合わせて1年間会社を休んでいるので、それ以上育休を取得する場合は、先ほど記述した「育休取得の条件」を満たす必要があります。
◻︎育休の分割取得
2022年10月から育休は子供1人に対して、2回までなら分割して取得することが可能です。(従来は、原則子供1人に対して1回まで)
そのため、例2のように、育児を始めたてでまだ慣れていない前半に2ヶ月だけ育休を取得して、ママが職場復帰のタイミングで再度育休を取得することが可能になります。
◻︎産後パパ育休
産後パパ育休は、子が生まれてから8週間以内に、最大で4週間の育休を2回に分割して取得できます。
こちらの制度も2022年10月から施行されました。
ちなみに、産後パパ育休は、通常の育休とは全く別の制度です。
つまり、産後パパ育休と通常の育休をうまく活用すれば、最大で4回の育休を取得することができます。
下記は、育休を4回取得する具体的なイメージです。(父の部分)
パパのところを見ると、子供の出産から8週間までの間に2回、出産後8週間から1歳になる間に2回の計4回育休を取得していることがわかります。
注意点として、産後パパ育休を2回に分割して活用する場合は、産後パパ育休の1回目を会社に申請する時に、2回目も取得するということを事前に申請しておかないといけません。(休業の期間や職場復帰予定日など)
ただし、産後パパ育休は、会社が労使協定を結んでいる場合のみ、産後パパ育休期間中に働くことも可能なので、「実際に、産後パパ育休に入ったものの暇だな」という方は、下記のような条件付きではありますが、働くことも可能です。
例えば、1日の所定労働時間が8時間で週の所定労働日数が5日の従業員が、14日間の産後パパ育休を申請したとします。
その場合、休業期間中の所定労働日と所定労働時間は以下の通りです。
休業期間中の所定労働日:10日
休業期間中の所定労働時間:80時間
この場合、産後パパ育休を申請した人が働ける就業日数の上限は5日、就業時間の上限は40時間です。
また、休業開始日と終了予定日の就業は8時間未満とする必要があります。
⚫︎育児休業給付金の支給額と支給期間
育児休業給付金(育休手当)とは、原則1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取得している従業員に対して支給される給付金のことです。
パパ・ママの両方が申請可能ですが、育休終了後に職場復帰することが前提となります。
◻︎育児休業給付金の支給条件
育児休業給付金の支給条件は以下の通りです。
特に、給付期間中の条件については、あらかじめ上司や人事部などと相談して、調整しておくと安心です。
◻︎育児休業給付金の支給額
育児休業給付金の支給額の計算方法は以下の通りです。
休業開始時賃金日額とは、休業開始前6ヵ月間の賃金総額を180日で割った1日当たりの賃金のことです。これに休業日数と支給率を乗じて計算します。
例えば、月の給料が30万円の従業員の場合、休業開始時賃金日額は1万円になります。
そのため、「育休開始日から180日まで」と「育休開始日から180日以降」の給付額を計算すると以下のようになります。
注意点としては、もし育休期間中に働いたりして、会社から賃金をもらった場合、そのもらった金額の割合によっては、育児休業給付金の減額の対象になります。
例えば、月の給料30万の従業員で、育休開始日から180日までの給付額は201,000円です。この金額の13%、つまり26,130円以上の賃金を会社から受け取った場合は、育児休業給付金が減額になります。
また、201,000円の80%(160,800円)以上の金額を会社から支払われた場合は、育児休業給付金が受給できなくなるので、休業中に働く場合は特に注意してください。
ちなみに、育児休業給付金には上限が設定されており、2024年7月31日までの休業開始時賃金日額の上限額は1万5,430円、下限額は2,746円です。
支給日数が30日の場合の支給上限額と支給下限額の例は下表のとおりです。
◻︎育児休業給付金の支給期間
育児休業給付金を受け取れる期間は、「育児休業開始日」を起点とし、子供が1歳になる誕生日の前々日までと定められています。
ママの場合、産後休業から育児休業を取得するのが一般的なので、産後休業(8週間)終了後から子供が1歳になる誕生日の前々日までになります。
パパの場合、最短で子供が生まれた日が育休開始日になり、そこから子供が1歳になる誕生日の前々日までになります。
また、「パパ・ママ育休プラス制度」を利用する場合の給付期間は、子供が1歳2カ月になる日の前々日までとなります。
⚫︎育休明けの時短勤務制度
短時間勤務制度(時短勤務制度)は、育児・介護休業法により制定された、育児や家族の介護を理由に退職する人を減らし、労働人口の減少を食い止める制度です。
もし時短勤務が認められれば、フルタイムの勤務時間を原則6時間に短縮でき、残業や深夜業務の免除になります。
◻︎時短勤務制度の対象
時短勤務制度の対象となる人は、下記の条件を全て満たす必要があります。
上記の条件を満たしていれば、パパ・ママ関係なく、時短勤務の対象になります。
しかし、会社が締結している労使協定によっては、上記の条件を満たしていても適用除外とされることもあるので、注意してください。
また、法律では、「子どもが小学校に入学するまで時短勤務を継続できるようにすることが努力義務」とされているので、大企業などの福利厚生が充実している会社の就業規則では、子どもが小学校に入学するまで時短勤務可能な場合もあります。
しかし、そのような就業規則がない場合は、子どもが3歳の誕生日を迎えるタイミングでフルタイム勤務に復帰しなければいけません。
もしそれが厳しい場合は、会社の上司や担当部署に相談すると、労働契約の部分で、あなたにだけ時短勤務が認められるケースもあります。
◻︎時短勤務の注意点
時短勤務制度に関しては、法律によって制定されているため、条件を満たせば、時短勤務制度を活用することができますし、時短勤務を活用することで解雇や降格といった、その従業員に対して不利益な取り扱いをすることを禁止しています。
しかし、業務時間が短縮した分の減給や時短勤務の具体的な働き方などは、法律で定められていません。
つまり、法律で定められていないことに関しては、会社の就業規則によるので必ず確認してください。
働き方に関する就業規則としては以下のような例があります。
⚫︎まとめ
今回の記事では、初めて育休取得を検討しているパパ・ママでも、わかりやすいように育休制度について解説してきました。
現在の日本は、少子高齢化による労働力不足の課題解決に向けて、「一億総活躍社会」を目指しており、最近では特に、家庭と仕事の両立を支援する制度が充実してきています。
そのため、最新の育休制度がどうなっているのか?を確認することが重要です。
また、より重要なこととしては、「労働基準法」「労使協定」「就業規則」の違いを明確に把握し、それらの優先順位を理解しておくことです。
そうすれば、自分が不当な条件を提示されているのかどうかや、自分に有利な条件を知ることができ、「持っている権利を使わずに損した」ということはなくなるでしょう。
ぜひ、育休制度について忘れたり、わからないことがあれば、こちらの記事を読んで理解を深めていただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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