なぜ転職希望者は増えているのに、実際に転職する人は少ないのか。
近年、「終身雇用の崩壊」や「人生100年時代」と言われる時代が到来したことによって、個人のキャリアは会社に委ねるのではなく、一人一人が主体的にキャリア形成を行うことが重要になっています。
その結果、より自分の能力を発揮できる会社や、より良い待遇の会社に転職を検討する人が年々増加しています。
しかし、転職希望者は増えているものの、実際に転職している人の数は増えていないのも事実です。
今回は、「なぜ転職希望者は増えているのに、転職する人は少ないのか
」という疑問に迫っていきたいと思います。
▼参考
全国就業実態パネル調査 2023「なぜ転職したいのに転職しないのか」
⚫︎転職希望者と転職者の推移
下記のグラフは、1968年から2022年の間で、転職希望者数と実際に転職者した人の数を表したものです。
このグラフから見てわかる通り、転職希望者は1968年から年々増加傾向であり、2022年時点で転職希望者は968万人もいることがわかる。
これは日本の労働力人口(15歳以上65歳未満で働くことが可能な人口)が約7,000万人なので、7人に1人は転職希望者といえます。
しかし、転職者の推移を見てみるとどうでしょうか?
転職者の推移は、2000年以降ほとんど横ばいであり、転職希望者は増えているが、転職する人の数は変わっていないというのが見てわかると思います。
また、2022年に実際に転職した人は303万人です。
つまり、転職希望者の約70%は実際には転職していないことが伺えます。
⚫︎転職希望者の内訳
先ほど、転職希望者の70%は実際に転職していないとお伝えしました。
しかし、転職希望者の中でも強い意志を持って、「絶対に転職したい」と考えている方もいれば、「いい条件の会社があれば転職したいな」ぐらいで考えている人もいると思います。
こちらのグラフは、転職希望者の内訳になります。
このグラフから、転職を希望している人の中でも実際に転職活動をしている人は、15.1%しかいないことが伺えます。
これは逆にいうと、転職希望者の約85%は転職活動を行なっていないということがわかります。
つまり、転職する人の数が増えていないのに、転職希望者数だけが増えている原因としては、転職活動するまでには至らない程度で、なんとなく転職を希望している人が増えているからだと思います。
⚫︎転職希望者が転職活動をしない理由
次に、「転職希望者が転職活動をしない理由」について紹介していきます。
こちらのデータは、「転職希望を持ちながら転職活動をしない人の理由」を表しています。
このデータを見て一番驚きなのが、「いずれ転職したいと思っている者」の41.8%と「現在転職を考えているが転職活動をしていない者」の23.5%が、「今のところ転職をしなくても問題がない」と回答しています。
つまり、転職希望者の約30%は、"現状、転職をする必要性を感じていないのにも関わらず、漠然と転職したいと考えている"ということが伺えます。
この他にも、転職活動をしていない理由として、「自分に合った仕事がわからない」や「転職しても自分の希望条件は満たされそうにない」、「転職活動は手間がかかる」というのが上位に来ています。
このことから、転職希望者は"自己理解が不十分"であったり、"現在の会社で長く働くリスクより、転職するリスクの方が大きい"、"転職活動自体が時間がかかるし、めんどくさい"ということが原因で、転職活動を行なっていないということが伺えます。
実際のところ、「転職して給料アップしたいけど、自分のやりたいことがわからないから、結局、転職というリスクを取るよりも、現状維持が一番安心・安定」と考えている人が多いのではないかと、個人的には思っています。
⚫︎転職活動者が転職をしない理由
最後に、「転職活動者が転職をしない理由」について紹介していきます。
こちらのデータを見ると、転職活動者全体が転職しない理由として一番多いのが、「自分に合った仕事がわからない」というのが挙げられます。(いわゆる「転職迷子」)
これは年齢別に見ると、「自分に合った仕事がわからない」と感じているのは、25歳〜34歳の若い転職活動者に多く、年齢が高くなるにつれて減少しています。
また、転職活動をしていない理由の2番目に多いのが、「思ったよりも手間がかかって進んでいない」です。
転職活動をするためには、情報収集や履歴書などの書類作成、複数回の面接はもちろん、現在所属している会社への退職手続き、生活環境や人間関係が大きく変わるなど、様々な負担や変化があります。
つまり、先ほどの「転職希望者が転職活動していない理由」でも述べた通り、自分に合った仕事がわからない状態で転職活動をするのはリスクしかなく、さらに手間もかかるため、結局、現状維持が安心・安定(=転職しない)と感じるのでしょう。
⚫︎まとめ
今回の転職に関するデータのまとめです。
転職希望者は年々増加傾向にあるが、実際に転職する人の数はほとんど変化なし
転職を希望している人の中でも実際に転職活動をしている人は、15.1%しかいない
転職希望者の約30%は、今は転職をする必要性を感じていないのにも関わらず、いずれ転職したいと考えている
転職活動者が転職しない理由の1位は、「自分に合った仕事がわからない」(転職迷子)
実際のところ、「転職して給料などの待遇アップをしたいけど、自分のやりたいことがわからないから、結局、転職というリスクを取るよりも、現状維持が一番安心・安定」と考えている人が多いというのが私の感想です。
そのため、自己理解もせず、給料等の待遇アップために漠然と「転職したいな〜」と思っている人にとって、転職はかなりハードルが高く、自分が「転職というリスクを取ってでも、心からやりたい!」と思えるような仕事を見つけない限りは、一生現状維持のままでしょう。
別のブログでは、「他責思考の転職希望者は、一生自分のやりたいことが見つからない」というテーマで、他責思考の転職希望者が転職出来ない理由の本質について解説しておりますので、ぜひこちらもご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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