歓喜の歌の向こう側
この音の先に
何があるかは
誰も知らない
それでも僕は
未来を信じて
***
真夏に「第九」を聴いてきた。
そもそも、昔「第九は生で聴くべき」と言われ
当時の都合の良い曜日と抱き合わせの演目で
数ある中から選んだ公演の指揮者が
この阪哲朗さんだった。
その第九がなかなかにインパクト大で
(記憶が間違ってなければ
合唱団の配置がランダムだった)
以来、この阪さんを追うようになり
また第九を聴く時は阪さんで…と思い続けてきた。
以降、約20年(!!)が経過し、
ついにその機会が訪れた。
しかも阪さんのご縁で知った山響さんとの
「第九」、この機会を逃してはならぬ!と
関東から遠征を果たした次第である。
この日聴いた第九は、何というか
とても優しく、声高に主張はしないが
伝えたいことはしっかり伝えてくる、
そんな印象だった。
今まで音源で聴いてきた第九とは
何かが違っていた気がする。
それは生だからか、はたまた
今この時この組み合わせだからか。
…両方かもしれない。
来て良かったと心から思える
そんな時間と空間だった。
音楽が世の中を変えるなんてことは
そうそうないと思う。
けれど、音楽との出会いで
誰かの人生を変えることはあるかもしれない。
その先に明るい未来があるかもしれない。
そんなことも感じたりして。
少なくとも私はそうあって欲しいし、
そうだったよ、という思いを込めて。