繰り返す風呂スキップと捻り出した対処法
毎日お風呂に入れません。お風呂が嫌いなわけではないのです。清潔になるのは気持ちのよいことだし、身体から良い匂いがすると落ち着きます。
しかし、入るステップが踏めないのです。身体が鉛にでもなったかのように、洗面所まで行っても床にへたりこんでしまいます。ひどいときには動悸がして身体が重くなって、自分の部屋へUターンなんてことも。暖かければもちろんのこと、動悸が起こると汗をかきますから匂いが気になってギリギリ毎日シャワーを浴びていましたが、気温が一定に保たれた病院に入院していた夏頃から2日に1回が定着してしまいました。ただし清潔でいることを諦めたわけではなく、ドライシャンプーやボディシートは数々の製品を試しています。髪や身体のサラサラは意地でも守りたい。
なぜここまでお風呂がつらいのか?考えうる要因は3つあります。
①作業工程が多くて面倒くさい。
②清潔になれば外に出られてしまう。
③思考が冴えるのが苦しい。
①は単純です。私は髪がロングなのもあって、髪や身体を洗い、乾かして、保湿もして、とやることが多い入浴は非常に面倒です。元気な人間であっても疲れている時などこの理由から普通にお風呂は面倒だと思います……特に女性。私の場合、入院していた頃は暇すぎてお風呂後の行動をひとつひとつ丁寧にこなしていた記憶があります。丁寧に保湿してストレッチして、と。①は状況に相当左右されますね。
②も思考回路としては単純で、清潔になってしまえば何の気兼ねもなく外へ出られてしまう。つまり学校へ行けてしまう。特に暑かった時、社会との繋がりを強制的に切るためにお風呂を避けていた気持ちも大きかったです。しかしやがて身体の不快感が勝つようになり、②は少しずつ薄れてきている気がします。先延ばしにしても外に出なきゃいけない日は来るってわかっていますからね。
③が曲者なのです。私にとって死活問題なのはここです。お風呂というのは、気を逸らす方法がありません。お風呂外ではスマホ依存していても本を読んでいても家族と話していても、お風呂ではひとり、文字通り裸一貫です。自分の思考ととことん付き合わなくてはなりません。特に湯船に浸かっている時ですね。身体がリラックスしている時、思考がずっと止まりません。自分では制御できないスピードで、様々な考えがぐるぐると頭を回ります。
よく、お風呂でアイデアが生まれるというクリエイターさんのお話も聞くので、お風呂は頭が冴える、何かを思考するのに適切な環境なのだと思います。しかし私の場合、考えたくない悪い思考が頭の中で暴れ回って止まらなくなるため、かなり疲れてしまいます。毎度抗不安薬を飲んでお風呂に入っていた時期もありました。特に、消えない傷痕が目に付いたりすると余計に悪化するため、入浴に伴う全ての作業を素早くこなす術が身につきました。この、お風呂思考ぐるぐる現象はお風呂への恐怖心に発展するので、有力な対処法があれば教えてほしいです。
結局、私が辿り着いた方法は以下です。
●考えるテーマ(読んだ本の解釈や小説の構想、自己PRなど)を決め、人にしゃべっている体で頭の中で言葉にしながら入る
コツは誰かに話すように言葉を紡ぎ続けること。語りかける相手を想定しておくのも効果ありです。私の場合、顧問の先生と話す前日に話したい内容をまとめてシュミレーションしたり、小説の今後の展開について創作仲間の友人に意見を求めるように脳内で語りかけたり、やる予定もない面接の練習をしたりします。声に出したらなお効果的ですが家族に心配をかけるので脳内です。
●おぼろげに覚えている歌を口ずさむ
これのポイントはお風呂で歌うのが単純に気持ちいいことに加え、歌詞やメロディーを思い出しながら歌うために頭をフル回転させるので邪念が入りにくいことです。慣れ親しんでいる歌だと、口に出しながら頭の中では別の思考が始まってしまいます。数回聴いただけの歌が効果的です。
●湯船に浸かりながら歯磨きをする
考えがぐるぐると渦巻いて不快な気分に頭が支配されて、時間を忘れて浸かってしまうこともしばしば。その対処に一番有効なのは、浸かった瞬間から歯磨きを始めること。湯船での歯磨きという行為の是非については私の家族でも意見が分かれているので個人の判断ですが(弟が反対派なのでこっそりやってます)、私はこのおかげで多少は気も逸れる上、ある程度磨けたら口をゆすぎたくなるので湯船から出るステップが踏みやすくなりました。おすすめです。もちろん、湯船でリラックスするのには向きません。あくまで手早く済ませたい人向けです。
●入浴剤を使う
思考を止める効果はあまりないので、気休め程度ですが、少なくともお風呂への恐怖心は減ります。いい匂いがするし入ろうかな?と心が前向きになるという点では素晴らしいアイテムです。
●シャンプーなどのパッケージ表示を読み込む
文字の情報を入れるのは有効です。あと、実際に使う際に宣伝文句を意識できて何となく製品の効果が倍増される感覚になります。お得です。
●銭湯へ行く
週末など、たまに父に連れて行ってもらいます。知り合いに傷痕を見せるのは憚られるため1人で入るのは大前提。単純に気を逸らすものばかりなので思考を張り巡らせる暇もないというか……お風呂が嫌いなわけではないので、大きい湯船はテンションが上がるし、源泉かけ流しとか書いてあると喜びます。そして何より腕と腿にある傷痕をできるだけ人の目から隠しつつ身体を洗い湯に浸かる、というミッションを遂行している状態になるので、疲れるけれど思考の入り込む隙がなくて比較的楽に入れます。
●怖い話を読んでから入る
これは最終手段です。私はホラーが苦手で、特に不気味なものを受け付けません。でも、好奇心から調べてしまうのです……となったとき一番影響が出るのはお風呂。小さい頃から、知ってしまった怖い話を思い出して頭の中で不本意に反芻するのはお風呂でした。目を瞑ったら誰かいるんじゃないか、とか。未だに小さい頃読んだ怪談話が思い出されてビクビクしながら入浴する時もあります。これはこれでしんどいですが確実に気は逸れます。最終手段ですがアリです。
以上が風呂スキップ常習犯の分析レポートでした。どなたかの参考になれば幸いです。皆できてるのに、なぜこんなに苦しまねばならぬのか……と落ち込む時もありますが、これからも工夫を重ねてお風呂を倒していこうと思います👊
読んでくださってありがとうございました!