見出し画像

宮沢賢治×ギャルな青春ラノベ『ギャルにも負ケズ』感想

岩手県の魅力を存分に描きつつも。

宮沢賢治の作品に触れており。

その上で。

実に、青春しているライトノベルでしたね!


というわけで。

本日、ご紹介するライトノベルは、早月やたか先生の『ギャルにも負ケズ』(2024年9月刊行)です。


私が前に感想を書いた作品、『もしもし?わたしスマホですがなにか?』(※)と同じ作者様の作品となっておりますね。


※この作品の感想は、こちらから。


では本日も、行ってみましょう!


あらすじです

今回もまた、『BOOK☆WALKER』さんより、あらすじを引用させていただきます。

 静かな日常が、ギャルに乱される。いや、迷惑なんですけど(嬉)。

 僕……遠谷幸文は、高校でひとり文芸部の部長を務めている。
 どんな活動をしてるのかって? 例えば……敬愛する宮沢賢治先生の著書を読んだり、活発に活動……嘘です、部屋にこもって本を読んでいるだけです(泣)。
 そんな平和な文芸部に、東京から転校してきたギャル、渋沢美鐘が入部してきた。
 なんで? どうして? 全然そういうキャラじゃなくない? 
 その日から文芸部は、賢治先生の足跡を追って岩手を走り回ったり、「ほんとうのさいわい」を探してみたりと、彼女のペースに巻き込まれて変わっていくのでした。
 ちょっと待って(嬉)! 平和な毎日を返して(嘘)! 
 岩手×文学×恋心=新しい青春小説の開幕!

ギャルにも負ケズ - ライトノベル(ラノベ) 早月 やたか/magako(富士見ファンタジア文庫):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER - (bookwalker.jp)

というわけで。

本日のテーマは、「岩手と宮沢賢治と、ギャル」となっております。



二人が「ほんとうのさいわい」を探す話

この作品は。

一般的なボーイミーツガールな作品とは、ちょっと違う所があり。

岩手を舞台に。

宮沢賢治の魅力を堪能しつつ。

根暗な主人公と。

ちょっと事情のある、明るいギャルとが。

「ほんとうのさいわい」を探す。

そんなライトノベル作品となっております。


あらすじを書くと、以下のようになります。

岩手のとある高校に、遠谷幸文という男子高校生がいました。

本を読む事が好きな彼は。

部員が一人しかいない(自分だけ)文芸部で。

宮沢賢治の本を好んで熟読していました。

そんな彼の所属するクラスに。

一人の転校生が現れます。

彼女の名は、渋沢美鐘。

都会から来た、明るいギャルでした。

そんな彼女にひょんなことから話しかけられた、遠谷は。

彼の友人の言葉をキッカケに。

宮沢賢治について話し始めます。

岩手の出身のこと。そして有名な作家であること。

その事を説明した遠谷に、美鐘は興味を示し。

「宮沢賢治の本を借りたい」と言ってきます。

そのことがキッカケとなり。

二人の距離は縮まっていき。

二人は、「ほんとうのさいわい」を探し始める――。

というのが、話のあらましとなっております。



この作品の面白い所について

まずは宮沢賢治についてでしょうね。

このお話は、道中。

宮沢賢治の足跡をたどって。

二人が岩手の名所を巡ることになるのですが。

宮沢賢治の事をよく調べている事が理解でき。

また、作者様が岩手で暮らしたことがあるためか。

その場の空気感が、実によく出ている。

そんなライトノベルとなっております。


また、ギャルなヒロインである、美鐘ですが。

とある事情を抱えており。

それに奥手な遠谷が関わっていきます。

その過程こそが。

実に青春を感じさせるものとなっており。

非常に良かったなと思いました。


あとは、ラスト付近でしょうか。

宮沢賢治にまつわる、ちょっと不思議なことが起こります。

それが、この物語のアクセントになっており。

私としては、思わず。

宮沢賢治の本が読みたくなってしまいましたね。



この話の欠点について

ラブコメとしては。

まだ告白するような展開とはならず。

どっちかといえば。

恋愛初期段階で話が終わってしまうところですかね。

もうちょっと先が読みたかったかなと思いました。


あと、作風的にもそうですが。

宮沢賢治が話のテーマである事は分かるのですが。

それに対して、ものすごいインパクトがあったかと言うと。

そこまででもなかったなかという所です。

言ってしまえば、地味。

そんな作品だったかなと感じました。



最後に

とはいうものの。

岩手を舞台に、宮沢賢治の事をここまで描いたライトノベルは。

今までなかったと思います。

二人にとっての「ほんとうのさいわい」とは何だったのか。

そのことを考えながら、読んでみるのも面白いかもしれません。


さて。

最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

この作品に、ご興味がありましたら、是非、手に取ってみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?