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ファンタジでミステリな百合ラノベ『白いドレスと紅い月がとけあう夜に』感想

これは最近、ライトノベルを読んでいて思うことなのですが。

この数年の間で。

何だか、ミステリ仕立てのラノベ(※1)が多くなっているような気がします。

※1 ミステリなラノベの感想は、こちらから。



流行の兆しなのか。

それとも、出版社側が流行らせようとしているのか。

真意は定かではありませんが。

何にせよ。

面白い作品が増えていくのなら。

これほど嬉しいことはないと、勝手ながらに思いますね。


さて。

本日、ご紹介するライトノベルは、水鏡月聖先生の『白いドレスと紅い月がとけあう夜に』(2024年12月刊行)です。

私が前に感想を書いた作品、『僕らは『読み』を間違える』(※)と同じ作者様となっていますね。

※この作品の感想は、こちらから。


では本日も行ってみましょう!




あらすじです

今回もまた、「BOOK☆WALKER」さんより、あらすじを引用させていただきます。

 通じ合えた時、謎は解ける。女剣士と吸血姫が挑む謎解きファンタジー!

 人間と魔族が共に暮らし始めるも、なお絶えない両族間の事件にあたる《特務隊》。
 ある夜、事件現場に駆けつけた剣士の隊員・リンが目にしたのは――血濡れた可憐な吸血姫・ラヴィアと、特務隊員の首なし死体だった。
 リンは現場証拠からラヴィアに犯行は不可能と考えるも、彼女は唯一の容疑者にして上級魔族の吸血鬼。
 ラヴィア確保を主張する隊長を説得するため、リンはラヴィアと「自分以外の人間の血を吸わない契約」を結ぶ!
 行く当てのないラヴィアを住まいに招き、真犯人を捜すために始まった同棲生活。
 事件の謎を解きながら、血と情が溶け合う日常は、次第に種族を超えた絆を深めていく――。

白いドレスと紅い月がとけあう夜に - ライトノベル(ラノベ) 水鏡月 聖/古弥月(角川スニーカー文庫):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -


というわけで。

本日のテーマは、「ファンタジー世界でのミステリ」となっております。




ファンタジー×百合×ミステリという混合作品

さて、この話の解説を行っていく訳ですが。

まず書いておくと。

この作品は、ライトミステリと呼ばれるジャンルになるかと思います。

ミステリという程ではないけれども。

かといって、お遊びではなく、ちゃんとした物語になっており。

それでいて、キャラクターの面白さもちゃんとある。

そう考えると、中々に欲張ったライトノベルだなぁと思いますね。


ではあらすじに補足を加えて、紹介していきます。

物語は、勇者によって、魔王が倒された後のファンタジーな世界です。

その後、勇者を国王とした、新生統一国家が誕生します。

国家は、人間と魔族との共存を望み。

互いに協力して、国造りをすることを目的としました。

しかし、それは上手くいくはずもなく。

ほぼすべての街が、人間だけ住んだり。

魔族だけが住んだりと。

交流があまりないまま、四年という月日だけが過ぎていきました。

そんな中で、吸血鬼のブラム伯爵が統治する、シルバニア領では。

商人の人間を中心として。

魔族と人間とが共存している町がありました。

しかし、商人たちは。

安全に商売をするためには。

力が必要だと考えます。

その結果、人間側の警察組織として、「特務隊」が誕生します。

その中の一人、リンと呼ばれる少女は。

仲間のルゥと共に詰所に戻る途中で。

特務隊のある隊員が、出て行く姿を目撃します。

その顔は青白く、血の気が引いたような表情をしていました。

ただ事でないと思ったリンが、建物の中に入ると、そこには。

首のない死体と。

大剣を持った、吸血姫の少女ラヴィアがいました。

果たして犯人は吸血鬼の彼女なのか。

そして首無し死体の正体とは――。

といった所が、話のあらすじとなっておりますね。




この話の面白い所について

なんといっても、ライトミステリの部分でしょうね。

キャラクターの視点が入り乱れて。

真実が明らかになっていく物語の構造の上に。

ドラマ「古畑任三郎」であったような。

読者に、「この謎、解けますか?」といった挑戦的なものとなっています。

それが、ミステリ初心者にとっては、とっつきやすいものにしていると思います。

そして意外ですが。

バトルが結構あったりします。

そんな中でも、さらなる謎があったりと……。

といった感じですかね。

あとは百合の部分は。

キャラクターの描写としても。

そして、リンとラヴィアとが信頼していく様がとても良かったです。



この作品の残念な所について

ミステリが本格的ではないところかと。

キャラクターの魅力を中心とした物語構造となっているためか。

ミステリとして考えると。

結構、あからさまな伏線が読めてしまったような気がします。

つまるところ、それは。

「多分あの部分が、ああなるんだろうな……」といった話の流れが読めてしまう。

そこがちょっと残念な所でしたね。




最後に

とはいうものの。

ミステリを初めて読む人にとっては。

とっつきやすくもあり。

面白いのではないかと思います。

なので、ここで宣伝してみる所存であったりもします。


さて。

最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

この作品に、ご興味がありましたら、是非、手に取ってみてください。

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