心の中にひとつひとつ集めていく幸せ

帰り道、住宅街
カレーと煙とひとんちの匂い
月と金星が輝いて、もう少し空を見上げ続けていれば
オリオン座ちゃんが見えそう
横並びのみっつのほくろ
かわいい、いとおしい

私の部屋
あまり片付いてないけど、全てがしっくりくる
もう夜遅いから、味噌汁だけを飲んで
さっさかさーと風呂に入り、寝じたく寝じたく

だけどやっぱりお腹すいちゃって
お菓子のドーナツをひとつ食べることにした。
カモミールパックをお気に入りのマグに入れて

やさしい人の匂いがする
お母さんやおばあちゃんを思い出すような
鼻をぬける幸せで、少しなまぐさい香り

カモミールと砂糖の甘い匂いに包まれて、ベットに入る

今日は何を考えながら寝ようか
将来の自分の子供を撫でながら？
それとも
昔親に抱きしめられながら眠りについたことを思い出しながら？

クッションをお腹に引き寄せながら
私は誰かを守りたくて、誰かに守られたいんだな
と気づいた

この世界の全てにさわりたいと思いながら
ずっとずっと生きていたいと思いながら

やっぱり寂しくて、物悲しい毎日を送るのだ

だから、
綿毛のようでふっと息を吹いたら飛んでいってしまいそうな幸せを
逃がさないように、忘れないように
心にひとつひとつ集めておこう