見出し画像

山形蔵王 樹氷を見に(後編)

前編はこちら

2日目(樹氷原へ)

2日目の朝。
頑張って早めに起きた、しょぼくれた中年は、無料の朝食を食べ、スーパーホテルを後にし、山形駅北口へ向かう。

北口のコインロッカーに荷物を預け、北口バスターミナルへ。

バスターミナルから山交バスにのり蔵王温泉を目指します。

山形駅 バスターミナル

ターミナルでバスのチケットを買う時、前に居た中国人観光客の方が、受付の人に、スマホの翻訳アプリを使って、

”樹氷へ向かうバスはこれで良いのか?”的な事を聞いていました。

受付の方は、このバスで問題ない事を伝えた上で、さらにこう続けました。

”樹氷、今、ないんですけどいいですか?”

”…何で?” 的な事を聞く中国人の方。

”今年、暖冬で、溶けちゃったみたいなんですよ。”
”樹氷…、ないんですけどいいですか?”

”…。” 逡巡される中国人の方。

”ありがとう。とりあえず、行ってみるわ。” 的な事を返す中国人の方。

”お気をつけて。”と返す受付の方。

それを後ろで聞いていた私…。




”え?樹氷ないの!?”


でも…、”とりあえず、行ってみるわ。”的な雰囲気を装って、チケットを買い、受け取る私。

後で検索してみると、どうやら本当みたい…。

勘弁してくれよ…。


せっかく山形まで来たのに…。


バス停でバスを待ちます。
バスの中から 雪景色

バスに揺られる事、40分で着きました。

蔵王温泉バスターミナル

蔵王バスターミナルを出て、右手の道に沿ってまっすぐ歩いて行きます。

蔵王ロープウェイに向かう道中

雪をギュッギュッと踏みしめる感覚、久しぶり…。

蔵王ロープウェイに向かう道中

道が開けてきました。

目的地までの、こういう、道の途中が好きなんだよなぁ、私は。

蔵王ロープウェイ 蔵王山麓駅
2つのロープウェイを乗り継いで、(樹氷原がある)地蔵山頂駅を目指します。

スキー場にもなっており、帰りは、スキー、スノーボードで滑って下まで降りる人もいるそう。

蔵王山麓駅構内

9時半位につきましたが、もう並んでいました。中国人の観光客の方が多かったです。

ロープウェイの運転状況と気象状況
山頂の気温、-10.9°⁈
ゴンドラが来るまで待ちます。

ゴンドラに揺られる事15分。


樹氷高原駅

中間の樹氷高原駅に着きました。

樹氷高原駅近くの”霧氷”

”樹氷”まで行かないものを”霧氷”というらしい。これはこれできれい。

山頂行きのゴンドラ

樹氷高原駅でこのゴンドラに乗り換え、地蔵山頂駅を目指します。

揺られる事、数十分。

地蔵山頂駅

地蔵山頂駅につきました。めちゃくちゃ吹雪いてて、とんでもなく寒い!

駅の構内の温度計を見たら、気温-15℃とでてました…。

近くにお地蔵さん(蔵王地蔵尊)があるらしい。
とりあえず、そこに向かう事に。

登山ウエアとスノトレ着用で、いざ。


‐15℃&強風&横殴りの雪&地吹雪

駅を出てすぐの左手に、”開運の鐘”というものがありました。

開運の鐘

みんな鳴らしてたから、とりあえず鳴らしておきました。
開運…、してるかなぁ?
鐘の音と、吹雪のハーモニー。

地蔵へ向かう道中 ガスがすごい…

すごい寒さ。ガスで先があまり見えないので、とりあえず、人について進んでみます。
皆、同じ所行くから。

歩く事数分。

つきました。

地蔵…。

…。

何か、突っ込み所いっぱいあるけど、とりあえず、いいや。

皆、お祈りしてったから、私も。
賽銭出す時に手袋外したら、外した瞬間、手が寒いを超えて痛かった。
かじかむ手で、賽銭落とさない様に注意し、賽銭箱にもそっと入れる。

私より寒そうなお地蔵さんに、無事ここまで来れた事の感謝を伝えました。

ダメ、ダメ!一時撤退!

そのまま歩いて樹氷原に行こうと思ったけど、寒すぎて全然無理!一旦、地蔵山頂駅に戻り、身体を落ち着けてから再度向かう事にしました。

駅で一息ついた後、屋上の展望台へ出てみることに。

屋上テラスへの入り口 凍てつく扉。
ここに消火器要るかね?
…、白!
ZAO…、白!
おそらく、樹氷原が見える(であろう)展望台…。
何らかの棒

風が吹く方向に氷が成長しているのが分かります。
風ってこんなに一方的に吹きます?

ダメ、ダメ!一時撤退!

少し休んだら、樹氷原へ向かいます。

樹氷原への案内板。
見えなくなっちゃわないかしら…。

こちらも歩く事、数分。

そして…、



ついに…、





樹氷原

樹氷原へ到着。
樹氷に、一応なってそう!

一度溶けた後、再生したのかな?


一瞬の晴れ間

ガスってるし、吹雪いてるし、50%樹氷みたいな感じだけど、
すごい迫力。


よく見ると、所々枝が…。


自然が生み出す造形美。


でも、私は…。



中途半端な、これくらいの方がいい。




20分位鑑賞し、駅に戻りました。

ロープウェイを下り、バスに乗って山形駅へ。

樹氷高原駅でもう一度、”霧氷”を見物
こっちは、本当にきれいでしょ。


山形駅で、遅めの昼食をとり、新幹線に乗って帰りました。

帰りに山形駅で、ずんだ餅買いました。
”ずんだ”は宮城県の名物。
最後も締まらず。



大げさかもしれないけど、生きてるうちに蔵王に来れて良かったです。

山頂は、寒すぎて空気が痛い。冷凍庫の中にいるみたいでした。
天気は少し残念だったけど…、(おそらく)日本で一番寒い時期の、一番寒い場所でしか見る事の出来ないその造形美・絶景は、それを生み出す自然も含めて、人に伝えたくなる位、心を動かされるものがありました。

でも、Aさん、この寒さの事、全然何も言わなかったなぁ。
いう程の事でもなかったのか、言わなかったのか。
どっちにしても漁師さん、やっぱ凄いや。

寒い山頂から麓まで下りてくるとき、身体の芯まで冷えきって鈍くなった感覚が、徐々に戻っていって、緊張がほどけ、何かホッとしたような気がしました。

全然違うかもだけど…、漁から戻ってきたときって、こんな感覚にも似てたのかなぁ。

Aさん、元気にしてるかなぁ。
私も、樹氷見てきたよ。

え~っけや。(良かったよ。)

私もAさんに倣い、全部を飲み込んで、こう言えるようになりたい。
最終的な感想は、以上にとどめておくことにします。

なんのはなしですか。

※この場をお借りし、コニシさん、創作大賞ベストレビュアー賞受賞、本当におめでとうございます!

※本日もお疲れ様でした。
社会の片隅から。徒歩より。

いいなと思ったら応援しよう!