とある委員会

同級生4人で創作活動中✏️ 毎回ルールを設けて執筆しています (執筆ルールは、マガジンか…

とある委員会

同級生4人で創作活動中✏️ 毎回ルールを設けて執筆しています (執筆ルールは、マガジンから!) メンバー:イ九、あきふゆ、碧(あお)、雪田

マガジン

  • 著: 雪田

    雪田によって書かれたお話たちです。

  • 「ねえ、好きって言って」

    執筆ルール : 物語のラストを「ねえ、好きって言って」で終わらせる、字数制限なし / 第3回とある委員会

  • 著: 碧

    碧によって書かれたお話たちです。

  • 著: あきふゆ

    あきふゆによって書かれたお話たちです。

  • 著: イ九    

    イ九によって書かれたお話たちです。

最近の記事

【短編小説】世界一幸せかな

 本日は私たちのためにお越しいただき、誠にありがとうございます。無事本日、式を挙げることができました。こうして2人で夫婦になれたこと、これもひとえに皆様のおかげです。ささやかな席ですが、お開きまでどうぞごゆっくりお過ごしください。  挨拶を済ますと、司会の人が新郎新婦の紹介をしてくれる。自分の名前の前に、新婦、という代名詞がつき、苗字が呼ばれなかったことに、やっと、実感が湧く。 「やっと夫婦になれたね。」 そう言うと、キラッキラの笑顔でこっちを向いてくれる。 「かなちゃん、

    • 【短編小説】僕の彼女

      翠ちゃんと付き合って3ヶ月経つ。 側から見れば本当に普通のカップルで、僕も彼女のことを大切に思っているし、ある程度恋人同士でするスキンシップは一通りしたし、別に愛されてないとは思ってない。ただ、ひとつだけどおぉぉぉぉぉおしても彼女に願い出たいことがある。 それは、彼女から『好き』って言って欲しいということだ。 僕の彼女はとっても恥ずかしがり屋だ。 彼女に一目惚れした僕は、文字通り付き纏うレベルで彼女に話しかけてなんとか話してもらえるようになった。その後、計10回告白したけど

      • 【短編小説】クールなあの子

        綺麗な桜が咲き乱れる春、私は2つ下のクールな君に恋をした。  今日は桜ヶ丘高校の入学式。新入生たちの初々しい姿とこれからの学校生活に期待をするキラキラした目が懐かしいなあ。 「新入生たちは、きらきらしててまぶしいな。私も生徒会長としてしっかりしなくてはいけないな」 「そんなに気を張らなくても、十分しっかりしてるよ、一華は」 「ありがとう、夏希」 私を褒めてくれる心優しいこの子は夏希。中学からの親友だ。明るくて元気な彼女は、私の癒しだ。 「ねえ、なんか、あの子目立ってるね~!背

        • 【短編小説】佐鳥と新村

          みなさんこんにちは! あたし、下まつ毛バチバチギャル・佐鳥! 突然ですが、みんなに聞いてほしいことがあります。それは、あたしの隣の席の新村くん─―心の中でシンシンって呼んでるよ!──がカッコよすぎるってこと! 最初は正直、メガネだし地味だし、話とかツマンなそ〜って思ってたんだけど、あたしの目、なんだっけ、シンビガン? が腐ってた。ちょっと長い前髪に隠れてる目の形とか、菅田将暉みたいなツンとした鼻とか。あとピアスの穴も開いてた。とにかくチラッと見えた瞬間の「え!?」がスゴくヤバ

        【短編小説】世界一幸せかな

        マガジン

        • 著: 雪田
          4本
        • 「ねえ、好きって言って」
          4本
        • 著: 碧
          4本
        • 著: あきふゆ
          4本
        • 著: イ九    
          4本
        • 擬音、クリスマス
          4本

        記事

          【短編小説】お気に入りのスノードーム

          彼女は雪を降らせる。 ふわりふわり雪が舞う。 黒い目を輝かせ、恍惚の眼差しを僕に向ける。その瞳は、嘘偽りなどは感じられないほど無垢で、油断すると吸い込まれてしまいそうな魅力があった。 どうやら僕は、その瞳に一目惚れされたようだ。 僕は、今までこれほど露骨な好意を寄せられたことがなかったため、初めはその圧力に慄いたが、悪い気はしなかった。むしろ素直に嬉しいとも感じた。これがモテる男のサガってやつだな、なるほど。 紳士な僕は、彼女の想いに応えることにした。 今日も彼女は雪を降

          【短編小説】お気に入りのスノードーム

          【短編小説】クリスマスの手紙

          扉を叩く音がした。 “トントン” 愛しいあなたへ 元気にしていますか?こうしてあなたに手紙を書くのも何年ぶりでしょうね。まるで、あなたに初めて手紙を書いた時のように手が震えています。 手紙を書くのは上手くないけれど、ちょっとしたクリスマスプレゼントとして受け取ってもらえると嬉しいです。 そろそろ寒さも厳しくなってくるころかと思います。あなたは、自分のことに無頓着だから、薄着で過ごしていないかとか、ちゃんとご飯を食べているのか心配です。 しっかり食べて、健康に気をつけてく

          【短編小説】クリスマスの手紙

          【短編小説】モフモフ

          街中が緑と赤に染まり始め、クリスマスを感じさせられる季節になってきた。だが、俺には関係ないことだ。毎年クリスマスもバイトの俺は、どれくらい忙しくなるんだろう、ワンオペとかになったら嫌だなあとか、繁忙期くらい時給あげてくんないかなあとか、そんなことばかりを考えながら家に帰った。家に着くと、扉の前に白くて丸いモフモフしたものが落ちていた。いや、何だこれ。家出たときはなかったよな?手のひらサイズで、かわいくはあるけど、まじでなんだこれ。ごみ?だとしたら人んちの家の前に捨てるなよ。そ

          【短編小説】モフモフ

          【短編小説】キラキラ、ぜんぶ。

           金色の折り紙、おもちゃのゆびわ、ケーキの上のアラザン。小さい頃からずっと、キラキラしたものが好きだ。ジルスチュアートのリップ、ビジュー付きチョーカー、ヴィヴィアンのピアス。  いわゆる「地雷系」と呼ばれるファッションを身に纏って、夜の街を歩く。世間は二日後に来たるクリスマス・イブに向けて浮かれまくっている。ルナはそれが嫌いじゃなかった。街は大きなツリーやイルミネーションでこれでもかというほどキラキラしていて、唯一の友人であるニチカとの待ち合わせに赴く足も軽やかだ。街の大型デ

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          【短編小説】憧れのひと

          『サービスだよ』 彼女はショーを終えるたび薔薇のような真っ赤な唇でそう呟き、舞台袖の私に身に着けていたものをひとつ渡して舞台から降りていく。 彼女は私の勤めるショーハウスが誇るNo.1パフォーマーで、艶やかな黒髪、滑らかな白い肌、深い海のような瞳、美しく弧を描く赤い唇と見目麗しく、しなやかで豊かな体に、さらには歌も踊りも抜群というなんとも現実離れした人物だ。私は、このショーハウスの受付兼雑用として多くのお客が彼女に魅了されていくのを見てきたが、私自身も彼女の虜になった一人

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          【短編小説】月

          「サービスですよ」いつものように俺にだけのステージがはじまる。月に1度、満月の夜にしかこの街に訪れることはないが、毎度天女と見紛うほどの、美しく、力強い舞を見せてくれる。「今日も見に来てくれたんですね、晴(はる)」「ああ。今日も綺麗だったよ、葉(よう)」「ふふ、どうもありがとうございます」「言っておくが、お世辞とかではないからな」葉は、わかったわっかたとでもいうかのように、ふふとほほ笑むだけだった。本当に分かっているのだろうか。まあ沢山の人から言われ慣れているのだろうと俺は勝

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          【短編小説】揺り籠から墓場まで

          「サービスだよ」 「え、サラからハグって激レアやん……明日は槍でも降るん?」 「……」 「無視はよくないな」  ぎゅう、と抱きしめた。私は意地っ張りで、ついこの間もレンと喧嘩したばかりだ。レンを前にすると、いつも以上に素直になれない。  私たちは幼馴染で、何をするにもずっと一緒だった。おままごとをして遊んだり、砂場でおやまを作ったり。17歳になった今、さすがにそこまで幼稚な遊びはしないけど、ただひとつ、一緒に帰ることだけは欠かさなかった。  同じ方向、同じ景色。小学校、中

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          【短編小説】マイガールフレンド

          サービスだよ。 はい、コンちゃんいつもお疲れ様。 いいのいいの、私が渡したかっただけだから。 開けて見てみてよ、そんな大したものじゃないんだけどね、ほら早く早く。何でしょう。 そう!これ前に見に行きたいって言ってたよね? 今前売り券買うと特典ついてくるんだって。 いつも仕事では "みんなの憧れのエース、近藤さん" で頑張ってるんでしょ? たまには映画でも見に行って、ゆっくりデートしようよ。 最近はずっと残業続きでなかなか一緒に過ごせなくて、私も寂しかったし…って寂しくな

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          【短編小説】金継ぎ

          雨上がりの森の中の空気を大きく吸い込んだ。 地面は湿り、草木たちは濡れ、どこか新しい知らせを告げるようなそんな匂い。 そんな空気を肺いっぱいに吸い込んで、私は工房へ向かった。 誰もいない静かな工房。 工房は、たくさんの作品たちと祖父母との思い出で溢れかえっていた。 今年の3月、まず祖母がこの世を去った。 祖母は、陶芸家である祖父を支え、時に見学に来る人々をもてなしていた。よく喋る快活で優しいおばあちゃんだったけれど、持病が悪化してそのまま亡くなってしまった。 彼女が亡くなっ

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          【短編小説】お前ってやつは

          「おーい!梓(あずさ)~、今からラクダに乗りに行かない?」「はぁ???ラクダ?あんたここがどこだかわかってんの?」「うん!東京!」「東京のどこにラクダがいるってのよ」「うん、だから今からエジプトに行くの!!」「エジプト!?鳥取砂丘とかじゃなくて?」「じゃなくて!」今日も今日とて分からない。本当に分からない。この訳の分からないことを言っているのは幼馴染の棗(なつめ)。小さいころから家も隣、小、中、高、大学まで一緒だが、いまだに何を考えているのか分からない。まあ、それが彼女のいい

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          【短編小説】あなろぐ!蛇王ナーガ様

          「人間、これはなんだ?」 「スマホだよ。遠くの人と連絡が取れたり、調べ物ができたりするの」 「ほう……薄くて軽いのに、便利な板だ。そんな機能を併せ持っていたとは」 「板って……ナーガの世界にはこういうのないの?」 「主な連絡手段は手紙だ。調べ物は蔵書室へ」 「意外とアナログなんだね」 「あなろぐ」  長く尖った爪でコツコツと画面を叩いているのは、ある日突然異世界からやってきたナーガと名乗る青年だ。黄色の目と立派なツノ、頬に浮かぶ鱗は明らかに人間のソレではない。彼と出会ったの

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          【短編小説】春夏秋

          ―春  薄暗いオフィスの中で1人スポットライトを浴びて液晶に向き合う。残業もそこそこに、その日は会社のビルの管理人に追い出されて帰ることにした。  職場から駅まで徒歩14分かかるところを10分で帰ることができる近道がある。中央公園の中を横切ると見事にショートカットできるのだ。今の季節は桜が咲き、夜にはライトアップもされる。僕は、こんな時間になってもブルーシートの上で騒いだり意識を手放したりしている、浮かれたやつらの間をずかずかと歩いていたが、立ち止まり、彼女から目が離せなくな

          【短編小説】春夏秋