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【素人マンガ研究】マンガの話数の数え方
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●導入〜私と助数詞〜
マンガが好き。マンガという文化の総体が好きなんだけど、特に好きなコミックスは「ばらかもん」「よつばと!」「3月のライオン」「乙嫁語り」「ダンジョン飯」「乱と灰色の世界」「お慕い申し上げます」「死役所」「阿・吽」「地獄楽」「エリア51」「ONE PIECE」「NARUTO」「ブラック・ジャック」などなど…。
これらが私の、今こそ読みたい神マンガ、推薦図書です!!
他にも面白いマンガをいっぱい読んできたけれど、これら列挙したマンガたちは、今の私の趣味嗜好や物の考え方を形成しているマンガたちです。
さて、マンガが素晴らしいのは普遍的事実として、「助数詞」は皆さん好きですか?
私は一時期「助数詞」とか「単位」とか、ものの数量を数える言葉にハマりました。
うさぎを「羽」と数えたり、イカを「杯」と数えたり、印判を「顆」と数えたり…。
かわった助数詞や日常であまり出てこないレアな助数詞はテンションがあがります。
他にも私はお坊さんなので、お堂は「宇」、念珠は「連」、仏様は「尊」、仏像は「躯」とかの助数詞も、調べてまとめて文章にして、それをもとに法話をすることもありました。言語や日本語に関心のある方や、小中学生にはウケがよかった印象です。
たとえば仏像は「躯(く)」と数えます。けど『日本書紀』を見ると「軀(はしら)」と数えられています。「柱(はしら)」と言ったら神様の数え方として有名ですが、仏様も日本に伝わった当初は、今みたいに神仏のはっきりとした区別はなく、「蕃神(※ばんしん・あだしくにのかみ・となりのくにのかみ/異国からの来訪神)」として捉えられていたということが理解できます。
そんなふうに助数詞には、仏教の文化や歴史、はたまた仏教の思想や教理まで香っていて、仏教に対して助数詞の学習からアプローチすることも出来るわけです。
まぁ、それらはまた機会があれば詳しく記事にしますね(*^-^*)
●豊かなるかな、マンガの話数の数え方
さて、そういったわけで、助数詞を採集していた折、現代でも次々と多様な数え方が作り出されている分野があることに気付きました。
それがマンガ(小説・ライトノベルも一部そう)の話数です。
勿論、そのひとつひとつが辞書に載っていたり、巷に広く浸透していたりの、「公性」を持っているわけではありません。書き手の読み手が共有する世界観の中で通用する、極めて限定的な助数詞、または助数詞のようなものです。
今回は自分の手周りの範囲だけで調査した、各マンガの話数の数え方を紹介します。
調べた対象はわずかであり、素人仕事なので、あまり期待されずに……。また、間違いがあればコメントでご指摘くだされば幸甚です。
そして、この研究(?)を、当面のワークとして、随時調査し、記事を書き加え、マンガを通して日本語やカルチャーに関する学びを深めていきたいです!
マンガの話数の数え方には以下のパターンがあります。
① ナンバリングが全くない
② ナンバリングはあるがただ数字のみ
② _a タイトルの前に数字
② _b タイトルの後ろに数字
③「第」と特定の助数詞で挟む
③ _a 第○話
③ _b 第○「 」
④ 後ろに助数詞等がつく
⑤ 前に何かしら語などがつく
①ナンバリングが全くない
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
『キン肉マン』
『からかい上手の高木さん』
『出会って5秒でバトル』
『北斗の拳』
これらはそもそも各話に対するカウントがなく、各話のタイトルだけが書かれていました。
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②ナンバリングはあるがただ数字のみ
② _a タイトルの前に数字
『BLEACH』
『闇金ウシジマくん』
ただ数字を振るだけ。余計な助数詞等を付けないのがスタイリッシュ、あるいはシリアスな印象です。
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② _b タイトルの後ろに数字
『東京喰種トーキョーグール:re』
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③「第」と特定の助数詞で挟む
③ _a 第○話
『クローバー』
『チェンソーマン』
『呪術廻戦』
『ダンダダン』
『怪獣8号』
『SKET DANCE』
『いちご100%』
『MIX』
『MAJOR』
『進撃の巨人』
『文豪ストレイドッグス』
『ハリガネサービス』
『ONE PIECE』
『犬夜叉』
これがもっともポピュラーで王道といった感じです。
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③ _b 第○「 」
※「 」内には特定の語が充てられています
『銀魂』 第○訓
『ぬらりひょんの孫』 第○幕
『医龍』 第○幕
『ヒカルの碁』 第○局
『ピューと吹く!ジャガー』 第○笛
『火ノ丸相撲』 第○番
『めだかボックス』 第○箱
『キン肉マンII世』 第○回
『斉木楠雄のΨ難』 第○χ(読み:カイ)
『黒子のバスケ』 第○Q(読み:クォーター)
いずれもそのマンガの題材や特徴から来ているのでしょう。
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『落第忍者 乱太郎』は「第○章」で、しかも巻を跨いでのカウントはなかったです。特定の話を示す場合は、「第4話」とかではなく、「第2巻第1章」となるのでしょう。
ちなみにEテレで毎週(月)~(金)放送中の「忍たま乱太郎」。番組冒頭でミニアニメーションとともに画面に映る各話のタイトルも「〇〇の段」となっています。
2023年4月から「忍たま乱太郎」第31シリーズが放送されますが、編成上の正式なカウントの仕方は「第○シリーズ>第○話・○○の段」となっているようです。
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④ 後ろに助数詞等がつく
『バクマン。』 ページ
『ワンパンマン』 撃目
『Mr.FULLSWING』 発目
『クッキングパパ』(KPC版) 食目
『ブルーピリオド』 筆目
③ _b と似たタイプですが、一語以上のものを分類しました。こちらは「第」がない代わりに、最後に「目」がつくのが多いようです。
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⑤前に何かしら語などがつく
これには、「英語」「ひらがな」「カタカナ」「漢字」「漢字でカタカナの宛て読み」「記号」の6パターンがありました。
英語
『名探偵コナン』 FILE
『天上天下』 FIGHT
『めぞん一刻』 Part
『らんま1/2』 PART.
『金色のガッシュ!!』 LEVEL.
『弱虫ペダル』 RIDE.
『ばらかもん』 Act.
『SPY×FAMILY』 MISSION:
『僕のヒーローアカデミア』 No.
『ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS-』 EP.
『ラジエーションハウス』 Scan▶
『Dr.コトー診療所』 KARTE.
『コウノドリ』 TRACK
『コウノドリ 新型コロナウイルス編』 CASE
※『コウノドリ』第1巻には「BONUS TRACK」という話も収録されています。ちなみにほかの医療マンガでは『ブラック・ジャック』『ブラックジャックによろしく』『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』『19番目のカルテ 徳重晃の問診』『麻酔科医ハナ』『最後の医者は桜を見上げて君を想う』『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』は「第○話」でした。『いのちの器』も「第○話」且つ、各話のタイトルもありません。
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ひらがな
『聖☆おにいさん』 その
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カタカナ
『トリコ』 グルメ
『ブラッククローバー』 ページ
『NARUTO』 ナンバー
『BORUTO-ボルト -NARUTO NEXT GENERATIONS-』 ナンバー
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漢字
『DRAGON BALL』『ドラゴンボール超』 其之(読み:その)
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漢字でカタカナの宛て読み
『遊☆戯☆王』 遊戯(読み:デュエル)
『家庭教師ヒットマンREBORN!』 標的(読み:ターゲット)
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記号
『東京喰種トーキョーグール』 #
『きのう何食べた?』 #
『GIANT KILLING』 #
※「#数字」という表記のみで、各話のタイトルもついてない
『地獄先生ぬ〜べ〜』 #
※「#」に「ナンバー」のルビが振られている
『食戟のソーマ』 🍴
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「#」は「ナンバーサイン」という記号文字。形の似た音楽記号のシャープ(♯)とよく混同されます。日本語で「井桁」(いげた)とも呼ばれます。
欧米では「#1」のように数字の先頭に付け、「~番目」「第~」のような順序を表す数字(序数)を表す記号としてよく用いられます。
イギリスなどでは “hash” (ハッシュ)とも呼ばれ、SNSで「#」から始まる標識を「ハッシュタグ」と呼びます。今ではこの用例のほうが広く知られているでしょう。
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※ ちなみに『犬夜叉』『名探偵コナン』『らんま1/2』など、サンデー作品は一冊のコミックスの中で1~7程度の話が収録してあり、その各話に1~7のナンバリングが振られていて、コミックス上は全話を通したナンバリングはなかったです。
※話数の数え方ではありませんが、『北斗の拳』の「の巻」や『暗殺教室』の「の時間」など、タイトルのほうが特定の語で締めくくられていて、統一があるものもありました。
※巻数自体にも特定のカウントがあるものもありました。
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「BATTLE」や「#」など。『SLUM DUNK』の背表紙にも「#」がついてますよね。
他よく見かけたのは「VOL.」でした。
少ないですが以上です!
当たり前ですが、調べればまだまだ書き連ねることができます!これを参考にして、学生さんの自由研究なんかにできないかな…。自由すぎて中身ないかな…。笑
●まとめ
さて、本文の中盤で、「マンガの話数の数え方は、書き手の読み手が共有する世界観の中で通用する、極めて限定的な助数詞、または助数詞のようなもの」だと書きました。それはまた同じくして、作品のオリジナリティの象徴でもあります。
特に最近のマンガでは、このオリジナル話数カウントが多く見られ、現代マンガのひとつの流行りのようでもあります。
現在は世にあらゆるマンガが生まれ出て、ジャンルも表現方法も、掲載媒体もマーケティングも、非常に多様化・専門化・複雑化しています。
そんな中で話数にも個性を出すことが、個々のマンガのインディヴィデュアリティー(独自性)確立を補助する、マンガ業界人たちの演出であり、マンガ業界における、時代の必然的要請にも思えます。
他にも現在は、特定のアイドルやアーティストや芸人さんのファンを固有の呼び方で呼ぶ例も多いですが、それも、このマンガの話数の多様化と似た事例且つ、時期的にリンクする気もします。
よければ、皆さんのお気に入りのマンガの話数をチェックしてみてください。また、コメントで教えてくださったら随時、この記事に書き加えていきたいと思います( *´艸`)
おしまい
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