ベッドルームのカーテンは、薄い白にした。 カーテンから透ける橙色と桃色、紫色の間の色をした夕日がだいすきだからだ。 人の家に行くと、私は窓が気になる。 それぞれに見るものや気になる場所があるだろう。 私は窓の方に駆け寄る。 窓は今どき古いかもしれないけど出窓がよくて 出窓の縁に膝を曲げて座っていると 自分が浮いているくらい傍に、空や街並みや、時々いいものが見える。 ああ、きっと「カメラが趣味です」という人は こういうのが好きなんだろうなって想像する。 こんな瞬間を残
あいたくってあえない日があった。 あいたくなくってあえた日があった。 宝物を忘れてゆく自分を責めるあなたを、私はその先も抱きしめた。 色は記号で表せる。 色なのに、文字になれる。 自分でなくなってしまったあと、 あなたにだけ、あうことが出来るようにと。 忘れられない2人の"半分こ"。 No.82 secret beach
自分に吐き気がして死にたくなった。 それぞれのおもうままの"死"だろうが 私にとっての死は 会いたい人に会うための"近道"だ。 ただその道は、いま会いたくなって会うことのできる大好きな人を裏切ってしか通れない道だった。 半年が経った夜のことだった。 いつも口論になると 私はそのひとのあとを追うようにして話を続けた。 そして後ろから責め立てた。 「俺がいるからダメなんだろう」 そんな言葉をそのひとが覚えたのは きっと私と出会ってからのことだろう。 過去、現在、未来
生まれてきた意味がないとは思わない でも、生きてきた意味はないのかもしれない ここまで来るだけで私は人の何倍も色んなものを消費してきてしまった。 それは燃料のようなもので 生きていくために必要なものだったけれど 人に分けてあげられる分など、ずっと昔に使い果たしてしまった。 あるとき私は、私が消費してきたそれがまだまだたくさん残っている人と過ごしていくことにした。 分けてもらえるからではなく、そういう普通のひとと居たかったから。 でも、当然それがない私と過ごしていくうちに
なんだってできたはずの一日に、また、なんにもできなかった。
途中でおわる映画 途中で破れた本 途中までしか塗られない絵 きっと世界の大半は それをガラクタと呼ぶだろう。 その他の少しの人は "不思議なもの"として手に取るだろう。 そして世界で何人か、 その続きを想い描くのだろう。 「何もかもが途中で終わる」 私は心のどこかで そんなことを思ってしまう人間です。 はじめから期待しない それを期待していて、 はじめから妥協しない それを妥協しています。 「楽しかった思い出を好きなように書いてみてください」 そんなありきたり
あいたくってあえない日があった。 あいたくなくってあえた日があった。 どれだけ涙を流そうが どれだけ夜を明かそうが 仕方の無いさみしさだった。 記憶のもっと前に私と過ごしてくれた。 ひたすらにあたたかく 華やかな女性だった。 色や音は、記号で表せる。 あなたにだけ、あうことが出来るように。 忘れられない2人の「半分こ」。 No.82 secret beach