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国立能楽堂「月間特集 近代絵画と能」:狂言『釣針』、能『枕慈童』
国立能楽堂の2023年2月主催公演。毎年行われ、8回ほど続いているという月間特集で、テーマは「近代絵画と能」。3点の作品を取り上げて、各作品で1回、計3回の公演が行われている。
私が鑑賞したのは、『枕慈童』がテーマの「普及公演」。土曜日の13時開演で、3点の絵画に関する30分の解説の後、狂言30分、休憩20分、能1時間の公演で、計2時間半弱、15:30前に終わったので、初心者でも行きやすかった。
「普及公演」のほか、「定例公演」(狂言『子盗人』、能『項羽』)、「企画公演」(狂言『吹取』、能『鵜飼』。ろうそくの明かりのもと行われる)がある。
どの公演も、能の演目がテーマとなる絵画と関連している。
ほかの能楽堂で能を取り入れた演劇は見たことがあり、また能や狂言を映像で見たことはあったが、生の舞台で伝統的な狂言と能を見たのは初めてだった。見る前にテーマの解説を聞くことができ、また国立能楽堂では各座席に液晶画面が設置してあって(飛行機の座席のように)、日本語や英語で場面の簡単な解説と謡(というのかな)の字幕が表示できるので、予想していたよりも見やすかった。日本語表示にしたところ、一部の言葉が(古い言葉で)私にはやや難しかったが、それは私の勉強不足か・・・。
奮発(?)して、「正面」の座席にしたところ、後ろ側の席だったのだが、全体が見やすく、舞台がそんなに遠いわけでもないので、よかった。
狂言はちょっと古風な通常の演劇(ストリートプレイ)のように見ることができるように思う。笑いも入っているので楽しい。ただ、今回の演目『釣針』は、男性がお告げにより釣り針で若く美しい妻となる女性を釣ったのに、実は「醜女」だったのではねつけた、という内容なので、現代的な感覚からすると笑えないとなってしまうが・・・。
能は動きがゆっくりで、せりふのような謡(でいいのかな??)を、本人(シテ方)が言ったり、囃子方が言ったりするのが不思議だったりする。今回の演目『枕慈童』 の見どころという舞もとてもゆっくり。所々眠くなるが、心地いい世界にもう少しで連れていかれそうな感覚もあった。見る回数を重ねて慣れてくると、快感になるのかも?
狂言も能もわずかな動き(短い距離を移動したり体の向きを少し変えたり、手を動かすなど)によって場面転換や動作を表現するのが象徴的で面白い。
国立能楽堂は、チケットのシステムが使いやすかった。オンラインで購入し、当日、開演前に、会場にあるチケット発行機でQRコードをかざすだけですぐ発券できる。発券手数料等もかからない。
ただし、能楽堂は座席数も公演数も少ないため、発売後すぐに売り切れるから、即座に購入する必要がある。メールマガジンを購読するなどして、発売日をチェックするのがいいかもしれない。
国立能楽堂のすべてのトイレを確認したわけではないが、和式トイレが複数あったのが衝撃的だった。洋式トイレより和式トイレがいいという人もいるのかもしれないが、いたとしてもとても少ないのではないか。観客には高齢者が多いし、和式トイレを使い慣れない外国の人も来るだろうし、そもそも日本の人でも和式トイレが苦手な人が今では多いと思う。ぜひ税金を投入して、すべて洗浄機能付きの新しい洋式トイレに変えてほしい。
また、休憩時間の女性用トイレは長蛇の列で、休憩時間中に間に合わなかった人もいるのではと思われるほど。トイレの数も改善してほしい。
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公演情報
2月普及公演 釣針・枕慈童
公演日時:2023年2月18日(土) 午後1時開演 ※開場時間は、開演の1時間前予定。
解説・能楽あんない
画家は何を描くのか ―画題と能画 小林健二(国文学研究資料館名誉教授)
狂言『釣針』 (つりばり) 三宅右矩(和泉流)
独身の主人と家来は西宮の夷様に祈ると、釣針で妻を釣るようにとの託宣を受けます。お告げのとおり釣針を見つけ早速釣り始めると…。二人は素敵な連れ合いを得ることができるでしょうか。
能 『枕慈童』 (まくらじどう) 出雲康雅(喜多流)
魏の文帝の命で勅使は薬の水が湧き出たとされる酈縣山(てっけんざん)へと赴きます。そこで出会った七百年の長寿を保つ美しい童子は、王より賜った枕について語り、菊花咲き乱れる仙境に戯れ、言祝ぎの舞を舞います。 (絵画作品=梶田半古「菊慈童」)
*字幕あり(日本語・英語)
■チケット料金
正 面:5,000円
脇正面:3,300円(学生2,300円)
中正面:3,000円(学生2,100円)
(全席指定・税込)
※カンフェティ取扱は中正面(3,000円)のみ
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