映画『すべてうまくいきますように』フランソワ・オゾン監督:高齢者の安楽死・尊厳死を扱う
脳卒中で倒れ身体の一部がまひした85歳のアンドレは、長女のエマニュエルに安楽死させてほしいと手配を頼む。フランスでは合法とはならないため、スイスの団体と連絡を取るエマニュエル。陽気さを取り戻す父親に、決意を変えてくれることを期待するのだが――。
老いと死に加えて、親子関係、きょうだい関係、夫婦関係の家族も大きなテーマになっている。
不治の病でも多大な身体的苦痛があるわけでもなく、日常生活に介助が必要だが、話すなどのコミュニケーションは可能なアンドレの「安楽死」は、高級(お金がかかるという意味で)で「安らかな」自殺だと思う。これを合法とするスイスは、自分の命は自分のものであり、従って死をコントロールする権利も本人にある、という考え方なのだろう。
選択肢が多いのはいいことだと一般的には見なされるかもしれないが、お金があって条件が合って自分が望めばいつでも死ねるという選択肢があることは、いいことばかりなのだろうか?問題もあるだろう。
この映画では、アンドレが自分の意志を通す性格だから、ああなったのかもしれない。
アンドレたちがユダヤ系であること、裕福であること、アンドレがゲイ(同性愛者)であることも、物語の鍵となっている。
本作は、脚本家エマニュエル・ベルンエイムの自伝的小説を基にしている。
作品情報
2021年製作/113分/G/フランス
原題:Tout s'est bien passé
配給:キノフィルムズ
監督:フランソワ・オゾン
製作:エリック・アルトメイヤー、ニコラ・アルトメイヤー
原作:エマニュエル・ベルンエイム
脚本:フランソワ・オゾン
撮影:イシャーム・アラウィエ
美術:エマニュエル・デュプレ
編集:ロール・ガルデット
キャスト:
エマニュエル(姉)役 ソフィー・マルソー
アンドレ(父)役 アンドレ・デュソリエ
パスカル(妹)役 ジェラルディン・ペラス
クロード(母)役 シャーロット・ランプリング
セルジュ役 エリック・カラバカ
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