マガジンのカバー画像

太宰治のことば

114
太宰作品の好きな言葉たち
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

本で旅をする『東京八景』

本で旅をする『東京八景』

あいつも、だんだん俗物になって来たね。そのような無智な陰口が、微風と共に、ひそひそ私の耳にはいって来る。 

『東京八景』太宰治

本。

①読みたい・見たい本があるとき→ネット
②迷いを払拭したいとき→本屋
③会話をしたいとき→図書館

本1つとっても、求めるものによって
用いる方法が異なる。

興味のない人からしたら、
・欲しいものを欲しいとき買う
・近くに寄れたから本屋に寄る

目的のために

もっとみる
ひとり『風の便り』

ひとり『風の便り』

真の尊敬というものは、お互いの近親感を消滅させて、遠い距離を置いて淋しく眺め合う事なのでしょうか。私は今は、生れてはじめて孤独です。

『風の便り』太宰治

この1ヶ月間いろんな過ごし方をしてきた。

・知らない土地で1週間暮らす
・一人暮らし
・実家に帰る

どれが居場所なのかはわからないけれど
決して独りを感じることはなかった。

知らない場所で出会う人の優しさとか
いつものまちにも、故郷を思

もっとみる
インチキ『斜陽』

インチキ『斜陽』

とにかくね、生きているのだからね、
インチキをやっているに違いないのさ。

『斜陽』太宰治

「インチキ」っていうとずるく聞こえるこれど
「生きながらえるための工夫」って解釈すると
すごくスッキリする。

どれだけしんどくても、疲れていても
「インチキ」することによって、楽になることもある。

それでも、人との関係だけは「インチキ」したくない。

出会いは幅広く。
大切にしたい人とは、深く関係構築

もっとみる
うっせぇわ精神『一問一答』

うっせぇわ精神『一問一答』

人間は、正直でなければならない、と最近つくづく感じます。

ごまかそうとするから、生活がむずかしく、ややこしくなるのです。正直に言い、正直に進んで行くと、生活は実に簡単になります。失敗という事が無いのです。失敗というのは、ごまかそうとして、ごまかし切れなかった場合の事を言うのです。

『一問一答」太宰治

好きも嫌いも言語化できる方がいい。

楽しいんだか辛いんだか悲しいんだか嬉しいんだか
感情

もっとみる
強くなる『懶惰の歌留多』

強くなる『懶惰の歌留多』

憎まれて憎まれて強くなる。

『懶惰の歌留多』太宰治

人に嫌なことはしない。
自分がされて嫌なことは人にしないように。
迷惑をかけることは全然いい。
でも、嫌なことはしてはいけない。

怖いなとか、嫌だなって思うことがあって
助けて欲しいって思ったときに手を差し伸べてくれる
優しい人もたくさんいるけれど
自分より弱いってわかってて嫌がらせをするっていう
陰湿な人もいる。

女でいることが悔しいっ

もっとみる
桜桃忌『六月十九日』

桜桃忌『六月十九日』

『なんの用意も無しにnoteにむかった。
こういうのを本当の随筆というのかも知れない。
きょうは、六月十九日である。曇天である。』

『六月十九日』の中で

なんだか、がっかりした。
自分の平凡な身の上が不満であった。

平凡ではなかった。決して平凡ではなく
凡人でもなく、ただ「人間」のために生きた。

この日が来るたびに救われた。
お墓の前に行って、その時読みたい1冊を開く。

迷って、悩んで走

もっとみる
どうでもいい。『女の決闘』

どうでもいい。『女の決闘』

あいつは邪魔だ! 賢夫人だ。賢夫人のままで死なせてやれ。ああ、もうどうでもいい。私の知ったことか。せいぜい華やかにやるがいい、と今は全く道義を越えて、目前の異様な戦慄の光景をむさぼるように見つめていました。
『女の決闘』太宰治

昔からこれがやりたい!
こんなことしてたい!って突っ走ってきたけど
急になんかどうでも良くなって
なんでもいいや。ってなるこの虚しさはなんだろう。

楽しく生きたい。

もっとみる
別世界。『フォスフォレッセンス』

別世界。『フォスフォレッセンス』

私は、この社会と、全く切りはなされた別の世界で生きている数時間を持っている。
それは、私の眠っている間の数時間である。

『フォスフォレッセンス』太宰治

1948年6月13日。
太宰が亡くなった日。

この日に雨が降ると、こんな日に亡くなったのか。
と、思いを馳せずにはいられない。

「眠っている」時間と同じように
「別の世界で生きている」時間があるとすれば
太宰の作品を読んで、自分と太宰の残し

もっとみる
道で、声をかけられるとき『正義と微笑』

道で、声をかけられるとき『正義と微笑』

僕は、金曜日という日には、奇妙に思案深くなる男だったのだ。前から、そんな癖があったのである。変にくすぐったい日であった。

『正義と微笑』太宰治

歩くペースは人の1.5倍で、声をかけられないように
ひたすら前を向いてズンズン突き進むタイプ。
知り合いでさえ、声かけにくい。という私が
どういうわけか、人に声をかけられるようになった。

最近これといった変化があるわけでもない。
自分の中ではそう思っ

もっとみる