「心の健康のための”三つのC”」

大野裕『「うつ」を治す』、『不安症を治す 対人不安・パフォーマンス恐怖にもう苦しまない』を立て続けに読んだ。

大野裕さんは日本における認知療法の第一人者で、また、皇后雅子様の主治医らしい。

これらの本の感想だが、物凄くざっくり言うと、「うつ」や「不安症」はこういったもので、薬物療法や認知療法で治していこうという本だ。「不安症」に関しては、タイトルから分かるように「社会不安障害」にスポットライトを当てられていた。また、さすがに認知療法の第一人者とあって、他の「うつ」や「不安症」の本とは違い、認知療法を重点視されていた。

例えば、何かしらの療法に偏っている本だと、薬物療法に批判的な内容の本が多いが、これらの本ではちゃんと薬物療法にも触れられているのが良かった。認知療法だけに偏っているのではなく、薬物療法との兼ね合いのバランスが良いように思えた。必要な場合は、きちんと薬を飲んで、その上で考え方や行動を変えていこう、といった内容だ。確かにそう思う。

僕は「うつ」や「不安」の本を色々読んだが、最終的には、まずはきちんと「休養」して、医者を「信頼」して、治していくためにはある種の「努力」が必要で、後は「時間」が解決するだろうと思うようになった。

「努力」とは、規則正しい生活をおくったり、少しずつ考え方や行動を変えることだ。

また、僕の場合、薬を飲んでいる、もう充分休養した、規則正しい生活をおくっている。それでも「うつ」や「不安」が治ったという感覚がない。ということは、後は考え方や行動、環境を変えるしかないと思い始めている。だから、最近は認知行動療法や森田療法の本を手に取っている。

要はこれらのことを治していくためには、必要な場合は薬を飲み、きちんと休養して、規則正しい生活を送って、後は考え方や行動、環境を少しずつ変えていくしかない。本書を読んで、これらのことが裏付けられていると思った。

大野裕さんは「心の健康のための”三つのC”」について書かれている。

 心の健康を取り戻すためのキーワードとして、私は、認知療法、対人関係療法、行動療法の三つの治療技法の基本的な考え方である認知(Cognition)、コントロール感覚(Control)、コミュニケーション(Communication)の"三つのC"を大切にしています。

大野裕『「うつ」を治す』

これらは具体的に何かというと、

 認知というのは、簡単にいえばものの受け取り方や考え方のことです。ものごとを悲観的に考えればそれだけつらい気持ちが強くなります。逆に、広い視野で柔軟に考えることができれば問題に適切に対処できるようになって、気持ちも楽になってきます。
 気持ちを楽にするためには、コントロール感覚を取り戻すことも大切です。自分がどのような人間で、どのような生き方をしようとしているのかを自分なりに理解して感情や行動をコントロールすることができれば、心に余裕がでてきます。
 このように考え方を変えたり自分をコントロールしようとしているときには、他の人とのコミュニケーションが役に立ちます。誰かと一緒にいて、話を聞いてもらうだけで気持ちが落ち着くこともありますし、話の中で思いがけない発想ができて視野が広がるということも少なくないからです。

大野裕『「うつ」を治す』

要は考え方や行動を把握して、それを訂正していったり、人と関わるのが重要ってことだ。

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