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【学び方】「暗記が苦手です」や「覚えられません」どうしたらいいですか?にお答えします
みなさまこんにちはLIT代表のはるです。「暗記が苦手です」や「覚えられません」という声を学生のみなさんや資格試験を控えた社会人の方からよく耳にします。今回は、暗記苦手、覚えられないと言う方がやりがちな勉強方法をまとめ、暗記をやりやすくする方法を科学していきたいと思います。
ぜひ、お読みください。
科学的に根拠のない勉強法1:重要なところにマーカーで線を引くこと
「暗記が苦手です」、「勉強が苦手です」と言っている方の教科書やテキストを拝見すると、ものの見事に、マーカーでレインボーだったり、文章全てにマーカーが引いてあったりします。「重要なところにマーカーで線を引く」ことについて、2つのデメリットがあります。
1つ目は、「脳がやった気になってしまうこと」です。私たちの脳は、マーカーを引いた部分を見ると、マーカーを引いた部分が重要であることは確認できますが、重要な部分を確認したことで脳が満足してしまうのです。多くの科学者や心理学者が「マーカーはただの気休めであり、暗記するには意味がない」と言っています。
2つ目は、「単独で存在する記憶ほど忘れやすいということ」です。脳の仕組みを説明します。脳は新しい情報をすでに知っていることと結びつけて覚えやすくします。もし情報が孤立している、つまり他の記憶や経験と関連性が少ない場合、その記憶は脳内で強く結びつかず、忘れやすくなります。関連性があると、記憶が強化され、他の記憶を引き出す手がかりとして機能します。
つまり、重要な部分だけマーカーを引くと、単独の記憶になりやすいですし、かと言って関連知識まで、マーカーを引くと、教科書が、マーカーで真っ黄色になりかねませんので、使わないほうがいいのではないかと思います。
科学的に根拠のない勉強法2:忘れないうちの復習をすること
先生から「学んだことは忘れないうちに復習しよう」と言われたことはありませんか?
実はこれは、科学的には否定されているアドバイスです。
アメリカの研究では、忘れないうちに復習した生徒が最も成績が悪くなったことが明らかになっています。これは私たちの脳が関係しており、忘れないうちに復習すると、「すでに知っている情報だから記憶しなくていい」と反応するからです。その結果、内容が記憶に定着せず、無駄な時間を使ってしまうことになります。ちなみに、復習する最適なタイミングは、「忘れかけた頃」です。忘れかけた頃に思い出すと、脳が、「わざわざ思い出そうとしている=重要な情報だ」と判断し、覚えようとするのです。
効率的な暗記法:アクティブリコール
アクティブリコール(Active Recall)は、記憶を「引き出す」ことで記憶を強化するという原理に基づいています。単に情報を反復して読んだり書いたりするだけでなく、学んだ内容を頭の中で思い出すことに焦点を当てます。この方法は、記憶の「再生」を意識的に行うことによって、脳が情報を保持しやすくなるとされています。
例えば、学んだ内容を自分の言葉で説明したり、問題集を解く際にその答えを思い出そうとしたりすることが、アクティブリコールにあたります。これにより、脳は情報を活性化し、記憶を深めることができます。
アクティブリコールの利点
記憶の定着を促進
アクティブリコールは、情報を「思い出す」ことで記憶の定着を助けます。これにより、単なる復習に比べて記憶が強化され、忘れにくくなります。反復的に思い出すことによって、脳はその情報をより重要なものと認識し、長期的に保持しやすくなるのです。深い理解を得られる
自分の言葉で情報を説明することや、問題を解くことは、情報の理解を深める手助けになります。アクティブリコールを行うと、単に覚えるだけではなく、どれだけその情報を理解しているかを確認することができます。これにより、より広範囲な知識の吸収が可能になります。効率的な学習法
アクティブリコールは、時間を効率的に使える学習法でもあります。単に本を読むよりも、実際に自分で情報を引き出す過程の方が、より短期間で効果的に学習することができるため、時間の節約にもつながります。忘却を防ぐ
エビングハウスの忘却曲線によれば、時間が経過するにつれて情報を忘れる速度が速くなるとされていますが、アクティブリコールはこの忘却曲線を打破します。定期的に記憶を再生し、情報を引き出すことで、忘却を防ぎ、記憶の維持期間が延びることが分かっています。
アクティブリコールのやり方
アクティブリコールを実践するためには、以下のような方法を取り入れると効果的です。
質問形式で学習
学習した内容を自分に質問を投げかけることで、アクティブリコールを行います。例えば、歴史の授業であれば、「○○時代の特徴は何か?」と自分に問い、その答えを思い出してみます。この方法では、情報をその場で「引き出す」ため、記憶がより定着しやすくなります。フラッシュカードの活用
フラッシュカード(カード型の学習ツール)を使うことで、アクティブリコールを効果的に行えます。片面に質問や問題を、もう片面に答えを記入し、問題を見て答えを思い出すという方法です。この手法は、短時間で何度も繰り返すことができ、効率的に記憶を強化できます。テスト形式で復習
学んだ内容を他者に教える、または模擬テストを作成して解くこともアクティブリコールを活用した復習方法です。自分がどれだけ内容を理解しているか、どれだけ記憶が定着しているかを確認できるため、理解度の確認にもつながります。間隔を空けた復習(間隔反復法)
アクティブリコールと相性が良いのが「間隔を空けた復習」(Spaced Repetition)です。この方法では、最初は短い間隔で復習し、時間が経つにつれて復習の間隔を広げていきます。復習のタイミングを工夫することで、記憶の定着を最大化できます。アウトプットを意識する
学んだことを実際に使ってみることもアクティブリコールの一環です。例えば、言語学習の場合、新しく覚えた単語や文法を積極的に使って文章を作ったり、会話をしたりすることで記憶を強化できます。このアウトプットのプロセスは、記憶をより深く、長期的に定着させるために非常に有効です。
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