手紙を渡した話
元彼に先日会った時、帰り際に手紙を渡した。
渡すかどうか迷った挙句、渡さないと後悔する気がしたので、顔も見ないまま、「これあげる」とだけ言って渡した。ほとんど押し付けた。
泣いてしまう寸前だった。
気持ちを伝えようとすると涙が出てくるのだけど、手紙でも同じ現象が起きた。
渡しただけなのに。
渡すのでいっぱいいっぱい。
これなあに?と聞かれても答えられなくて、
俯いたままだった私に、
彼は「お家に帰ったら読むね」と優しく言った。
改札を抜けて少し泣いて、電車に乗っても少し泣いて
何がこんなに悲しいのか分からなかった。
復縁希望の手紙だった。
渡す前に、どんな返事が返ってくるか、あらゆるシミュレーションをしていたのだけど、
「ごめんなさい。」以外の回答が想像できなかった。
だから、私にとってこれはけじめだった。
前に進むためのけじめの手紙。
縁が切れてしまっても仕方がない。それくらいのけじめ。
だから、渡した時点で、
これで縁が切れる、これで最後だ
と思って悲しかったのかもしれない。
読んだよ、ありがとう
ちょっと考えたい。
という連絡が来ていた。
考えてくれることに感謝した。
それと同時に、考える時間を割いてくれていることが意外だった。
あんなにシミュレーションしたのに予想外。
彼にまたモヤモヤと考えさせてしまうことへの申し訳なさも感じた。
まだ返事はないけど、
私にとっては手紙を渡したことに意味があって、
考えようとしてくれた、それがなによりありがたくて。
彼からしてみたら、手紙を渡しておいて、「なんて身勝手なことか!」と思われるかもしれない。
でも今の私は憑き物が取れたみたいにすっきりして
どんな答えでも笑ってOK!と言えそうだなと思った。
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