白黒じゃなくてグレーがいい時もある
手紙の返事をもらうまでのしばらくの間、
彼とは全く連絡をとっていなかった。
最初は返事どうなるかなぁと思ったりもしていた。
どうなっても受け入れる気でいた。
けれど、返事が返ってこなければいい、と少し思っていた。
結末が変わらないのなら、
きっぱり無理だと突きつけられて、
金輪際会うことが叶わないと思い知らされて、
さよなら以外の選択肢がなくなるくらいなら。
まだどうなるか分からない、そんな不安定さの中にいた方が幸せな気がしたのだ。
終わったわけじゃない、
まだ繋がりはあるかもしれない、
と思って過ごすほうが、絶望せずに済むから。
その間に彼との連絡が途絶えていても。
不安定なまま、だんだんと二人の時間が思い出になっていって、緩やかに二人ともの気持ちが消滅していった方が、傷つかないように思えた。
もう戻ることもできないとどこかでは分かっているから、はっきりと思い知らされるのが苦しいのだ。
いないのが当たり前になっていくことは変えようがないなら、
せめて、彼がいた日々といない日々の境目をはっきりと作りたくなかったのかもしれない。
返事が返ってこなければいいと思っていた。
グレーのままほったらかしにしておきたいと少し思っていた。
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