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使える不動産英単語ーファーストラウンドの最終回#26ー「Z」は「用途地域」 Z for “Zoning ”
(タイトル写真の出典https://www.nyc.gov/site/planning/zoning/historical-zoning-map-table.page)
楽しい不動産英単語のVol.1~Vol.26で、ざっと不動産英単語と、その背景となる状況を見たあと、「使える不動産英単語シリーズ A~Z」を毎週木曜日にアップしてきました。
気がつくと、今日でZ、アルファベットの第26文字目、最後となります。
また新たにAから始めるかもしれませんが、とりあえず、第一ラウンドの最終回。
ここまで読んでいただいた方々、どうもありがとうございました。
それでは、「Z」
Harry : I was almost going to buy a Kominka farm house in Japanese country side.
Judy : You didn’t? Why?
Harry : Because of the zoning I was not able to run a pizza restaurant.
Judy : Too bad.
ハリー:日本の田舎に、古民家農家を買おうとしたんだけどね。
ジュディ:買わなかったの? なぜ?
ハリー:用途地域のせいでピザ屋を経営できないんだ。
ジュディ:それは残念。
ということで、
Z for “Zoning”
用途地域
にしてみました。
用途地域を理解するのはかなり複雑で難しいですが、
まずは、
商業 Commercial 、住居 Residential 、製造(または工業)Manufacturing (or Industrial) 、
の3分野がある、という常識で、
日本でもアメリカでも大丈夫だと思います。
ただし、その中がどのように分かれていて、
どういう規制があるか、
ということになると、
ずいぶん細かく決まっているので、
全部理解するのは,
どちらの国の規制でも至難の業です。
大事なのは目的となる土地の用途地域と、
その規制がなんなのかを、
はっきりと頭に入れておくことです。
ここでは、ニューヨークシティのZoning に関するWebページを載せておきます。
このウェブで
自分の住所がどの用途地域かわかるマップを
検索できます。
オンラインの用途地域検索ツールであるゾーラ
online tool, ZoLa (Zoning and Land Use Application).
が用途地域を調べるには便利なようです。
かなり親切に詳しく色々説明してあって、
お時間があればぜひ読んでみて欲しいウェブです。
そして、このウェブから、以下のページを訳してみます。
New York City is divided into three basic zoning districts: Residence (R), Commercial (C) and Manufacturing (M). The three basic districts are further sub-divided to allow for a wide range of building forms and uses.
Zoning districts are assigned a letter and number. In general, a higher number means a higher density of people is allowed or more intense land uses are permitted.
<訳>
ニューヨーク市は、住宅 (R)、商業 (C)、製造 (M) という基本となる3つの用途地域に分かれています。この3つが、さらに、さまざまな建物の形態と用途を可能にするために、細分化されています。
用途地域には、文字と番号が割り当てられています。一般に、番号が大きいほど、より高い人口密度が許される、または、より集中した土地利用が認可されることを意味します。
いかがですか?
タイトルに使った写真は
このウェブからとったもので、
よく見るとR-2 やR-5 などの文字と数字が入っています。
R は住宅地Residential で
その次の数字が、許容される人口密度だと思います。
これらが実際に意味するところは、
さらなるconversion table 転換表を読み解く必要があります。
また、
このウェブを読み進むと
建物の形なども色々規制があるのがわかります。
一方で、
Residential Zone 住居地域でありながら
合法的にビジネスを営業する方法も、
ゾーニングの規制に規定されています。
これらは在宅業務 Home Occupation と呼びます。
一般的に、
在宅のビジネスは、
500平方フィート未満、または住宅の25%未満の
いずれか小さい方でなければならない
とあります。
業種に応じて、追加の運営要件があるようです。
例えば従業員を雇うことはできないなどです。
とはいえ、
もしラッキーにもニューヨークシティに物件を持っていたら、
可愛いカフェを開いて、
コーヒーをサーブしながら街ゆく人を眺める生活、
というものに憧れます。
日本の場合も、
「住所(町名までで大丈夫)と用途地域」
として検索すれば、
用途地域マップが出てきます。
例えば隣の家は、
第一種低層住居専用地域
Category One Low-Rise Residential Exclusive District で、
建蔽率 BCR (Building Coverage Ratio) が60%で
容積率 FAR (Floor Area Ratio ) が150%
なのに、
ラッキーなことに自分の土地は
第一種中高層住居専用地域
Category One Mid-to-High-Rise Residential Exclusive District で、
建蔽率が60%でも容積率が300%
なんてこともあり得ます。
自宅用に大きな土地を買える人なら、
規制の厳しい第一種低層住居専用地域の方が、
閑静な高級住宅地ですから、
良いに越したことはないのですが、
厳しい予算で猫の額ほどの土地しか買えないときは、
建蔽率や容積率が大きいとありがたいです。
建蔽率や容積率は、数年ごとに見直しがあり、
また、
同じ用途地域でも異なることがあるので、
必ずチェックが必要です。
例えば上の例で、20坪、つまり66平米の土地の場合、
(地方の人には驚かれる狭さかもしれませんが、
東京の都心ではよくあるサイズです。)
建蔽率が60%だと
一階の広さは、最大でも39.6平米。
そして、容積率が150%だから、
家の広さは最高で99平米。
99平米なら悪くないと思うかもしれませんが、
一階の広さが39.6ですから
上下階が同じ大きさの二階建てにしても
79.2平米にしかならない。
高さ制限や日射制限などがなくて
3階部分を設けることができても、
99平米から階段部分を引くと、
本当に狭いです。
ただし、高級住宅地である第一種低層住居専用地域は、
都心でも50坪ぐらいの大きさの土地区画が普通のようです。
隣の家とも離れていて緑も豊か。
その分、お金がないと買えません。
それに、日本の悪しき、
というか
日本人を貧乏人にさせようとするかのような
相続税のせいで、
昔ながらのゆったりした高級住宅地は、
世代交代のたびに大きさが削られ、
細々した家に変わっていっているのが現状です。
話がずれましたが、
隣と違って
自分の土地が第一種中高層住居専用地域の場合、
例えば同じ66平米の土地だとすると
建蔽率が60%で一階の広さは同じでも、
容積率が300%ですから、
最大で、198平米まで作れます。
もちろん、斜線制限とか高さ制限とか、
色々あって、
現実に198平米は無理だと思いますが、
この差は大きいですよね。
つまり、
隣は超高級住宅の用途地域で、
自分のところは一段落ちるのが悔しい。
けれども、
自分のところは規制が緩やかで、
土地の利用価値は高い、
という考え方もできます。
いろんな規制があると、
それを回避するためにさまざまな配慮が生まれ、
それを実現化した商品が出回る。
最初から相続税がなければ、
相続税回避のコンサルもいらないし、
相続税を少なく抑えるための金融商品などのビジネスも
成り立たなくなるはずです。
その分、もっと有意義なことに
時間を使える人が増えるのでは。
少なくとも、ちまちました相続税は止めて、
アメリカみたいに
相続税の控除を15億円ぐらいにして、
専門家に手数料を払ってお金の管理が必要な、
大金持ちだけを対象にしてほしい。
では、「使える不動産英単語 A~Z」の第1ラウンド
は今回で終了します。
英語からも不動産からも離れて、
あっちこっちに飛んでしまう連想に、
最後までお付き合いいただき
大変ありがとうございました。
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