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白昼夢の女神よ、








朧げなまま遠くで聴こえました

音は粒となって

くっきりと影を孕んだ弧は

記憶を辿るようにして消えると






この世のものであって

この世のものではない




幻想であって幻想ではない




それなら私は片目を瞑ろうと誓いました




こころ

心が鼓動します





雲が風がどこかへ

空が開けたのです

空には底があると信じたむかしはいつ?

歓びおよび哀しみが

私に囁くのです




息をするのも忘れて

私は底のない空を感じる

歓びおよび哀しみが

私の体を包み込みました




白昼夢の女神よ

ずっとずっと不思議でした

靄がかった貴方の世界は

どうして寂しいのか




貴方の瞳から溢れた

一筋の涙をみて

天と地の僅かな隙間を

思い出しました



誰も気づかないような小さな隙間

何も知らなかった私

静寂の外側がどうなっているのか知りたかった

それだけでした



それは宇宙空間のようで

美しくて澄んでいました

けど生命の息吹きが閉ざされた世界でもあって

どこまで願おうとも叶わない

無知な私にも

それだけは分かりました




それならば

それならば

知りたくはなかった

美しさは

静寂の孤独を浮き彫りにしているなんて



いつの日にか

落ちた花びらをみて綺麗と呟いた

あの日にまで遡りたいと

こうして未だに願ってしまうのです












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