秘密の選択~「高校教師⑦」
冷房を気遣ってくれる米倉に、大人と付き合うとはどういうことかを改めて知った。
返事をしようと横を見ると、米倉の眼差しがすぐそこにあって戸惑った。
それは、米倉の車に乗った時にも感じたことだ。
いや、ロージナで向かい合うようになった時から、次第に縮まる距離を意識しては、学校では見せない顔をお互いが見せ始めていた。
リリ子は米倉に、寒くはないと伝えようとした時に、会場の照明が開演5分前の合図として点滅した。
「さ、始まるぞ!」
米倉はそう言うと、リリ子の腕を少し強く掴んでか