心がクサクサしたときは、ギュッてしたいし、ギュッてされたい!
ちょっと嫌なことがあって、仕事の疲れも出た金曜の夜。
寝る前に、夫にじゃれつく私。
「ねぇねぇ」
でも、するっと交わされる。
「もう寝なさい!」とぴしゃりと言われた。
部屋を出ていく夫。電気も消される。
「いじわる!ねぇねぇ、お母さんのことなぐさめてや」
横にいた息子に声をかけると、ふわっと息子の手が私の口にあたった。
「わ!そこ口やよ!」
「あれ?頭やと思った」
部屋の中は真っ暗。
息子は私の頭を撫でてくれようとしたらしい。
「ねぇ、ギュウしてよ」
「いいよ」
ぎゅうううううって抱きしめる。
5歳の息子はまだまだ小さい。可愛い。
数秒抱きしめた後、離れてゴロンと横になった。
*
「ここで寝よっと」
息子は、私と1歳の娘の真ん中に身体を納める。
うつ伏せになって、うずくまる。
「なんか変な気持ちがする」と息子。
「どんな気持ち?」
「ちょっと寂しいような、悲しいような、緊張するような」
母親の、ちょっと暗い気持ちを感じとったせいかもしれない。
もしくは、いよいよ明日に迫った、表現会への緊張があるのかも。
「へぇ、ケンにしては珍しいね」
そう言って、もう一度抱きしめた。
今度は息子の腕が、私を挟むような形になった。
「わ、髪の毛が、髪の毛が」
「あれ?ごめん。お母さんの髪の毛じゃまやね」
息子の顔に私の頭が当たっていたようだ。
頭を少し下げる。
「ふふふ」
二人で笑って、もう一度抱きしめる。
「ちょっと体浮かせてよ」
「なんで?」
「ケンの腕、お母さんの下に潜り込ませるから」
今度は息子のほうから、ぎゅううううって、抱きしめてきた。
「お母さん、ありがと」
「どういたしまして」
*
心がちょっとクサクサしたときは、
ギュウってしたいし、ギュウってされたいよね。
大人も子どももそれは一緒。
安心するし、ちょっぴり元気にもなれる。
パワーチャージ。
甘えた母親でごめんよ、息子。
ありがと。
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