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息子のランドセルを見に行ったら、いろいろ拍子抜けした

来年、いよいよ小学生になる息子。
一昨年くらいから、「ランドセルどうしようか」という悩みが私の頭の片隅にずっとあった。

会社の先輩ママがおすすめの「工房系ランドセル」は、毎年6月ぐらいで販売完了するらしい。一方で、「うちはこだわらなかったから、年明けのセールで買ったよ~」と教えてくれたのはフラ仲間のママ。

さて、わが家はどうすべきか。

近所の先輩ママふたりが「ここで選ぶのが間違いないよ」と勧めてくれた、地元の「ランドセル専門店」が一番の有力候補。

ただ、いつ行くかというのが問題。

7月も半ばに入ったし、そろそろ一度見に行った方がいいんじゃないか?と思ってHPを開いた。
「アウトレット専門コーナー」がオープンしたとのお知らせ。
これは願ってもない朗報。

夫とは、「あんまり高価なもの買いたくはないけど、安すぎるのもちょっとね~」と話していたのだ。
アウトレットってことは、型落ち製品ってことでしょ?
最新版にこだわる理由も特にないし、品質に問題ないランドセルがお安く買えるならそれが一番いいんじゃないか。

予約フォームを確認すると、ちょうど空いている。
「これは行くしかないでしょ」と早々に決めて、行ってきた。


「アウトレット」とはいえ、初めてのランドセル選び。
店員さんには「ランドセルの選び方云々」を説明されるところからはじまるのかな~とか、「この製品はここがおすすめで、この製品はこんな機能があって!」といろいろ持ち出されるのかな~とかちょっと不安があった。

ずらーっと並んだランドセルに、息子はたじろぐんじゃないか、という不安もあった。
「これは色が好きだけど、こっちはこの柄が良いし~」とか言ってなかなか決まらないのではないか。
本人は「キャメルが良い」と言っていたが、本当にキャメルで良いのか。
オーソドックスな黒を勧めた方がいいんじゃないか、そんな心配もしていた。


そうこうしているうちに、ランドセル専門店に行く日がやってきた。

お店に入る。だーっとランドセルが並んでいるのは圧巻だった。
「さぁ、お兄さん、どれがいいかね?」
店員さんの問いかけにちょっと固まる息子。

おずおずとランドセルに近づき、「これ」と指さしたのは黒のランドセルだった。
「黒が良いの?」
「うん。これがいい。ここがかっこいいから」
息子は、ランドセルカバーの留め具を指さして言った。

キャメルを選ばなかったことに少し肩を撫でおろす。

「じゃあ、ちょっと担いでみようか」
店員さんがランドセルを出してきてくれる。

ランドセルを背負う息子。なかなかいいじゃないか。
「うん。いい。これ、これにする」

え!そんな簡単に決めていいの?
私の心配をよそに、さっさとランドセルを決めてしまう息子。

「そっか~。まぁ、もう少し他のも見てみようか」
さすがの店員さんも、ほかのものも勧めてくれた。

「これは同じタイプだけど、縫い目の色が違うよ」
「うーん。さっきの方がいいかな」

「同じゴールドだったら、こんなのもあるけど」
「うーん」
「ちょっと背負ってみる?」

終始こんな感じで、店員さんは私たちに話しかけるというより息子にたくさん話しかけてくれた。
息子も、それなりにちゃんと受け答えしている。

店員さんは、私たち親にも「予算はどれくらいですか?」とか「お母さん、お父さんの好みは?」といった質問はしてくるが、心配していた「ランドセルっていうのは~」なんて営業トークは一切なかった。

「どのランドセルをお選びになっても、大きく変わることはないですよ」と言って、「息子や私たちの好みに合うもの」を一番に考えてくれているようだった。

夫とは、「いいものがあれば買おうか」と話していた。

最終的に残った候補は2つ。息子が選んだランドセルは、「留め具が自分で選べるもの」だった。
聞けば、「留め具が選べるのはこのシリーズだけ」のこと。

息子が選んだランドセルは、まったく知らないメーカーだったので、「ちょっと考えた方がいいかも」という思いもよぎった。

けれど「どれを選んでも大きく変わらない」という店員さんの言葉が後押ししてれたことと、息子の「自分で留め具を選べるのが良い」という希望を叶えてあげたいという思いの方が勝った。

「じゃあ、これにしようか」
息子のランドセル選びは、1時間も経たないうちに終わった。
なんか、あっけなかったけれどこれはこれでよかったのかな、とも思う。

タイミングが合えば、ものごとって案外するっと決まっちゃうものなのかもしれない。

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