涙腺

涙腺が壊れた。心を守るはずの緩衝材が摩耗しきって、どんな圧力も受け止めてくれない。脆いガラスの玉がただただ甲高い音を鳴らしている。割れてしまうのをただ待つばかり。

「辛いときは辛いと言おう」これは数ヶ月前に自分がnoteで書いたセリフだが、「自分が辛いのかどうか分からない」のと、「辛いと相手に伝えたところで頼れない」のダブルパンチで結局、涙が止まらなくなった。

辛いかどうかは分からない。甘えかどうかでいえば甘えのような気がする。何かから逃げているだけのような気もする。けど甘えているとして、逃げているだけだとして、人生や社会に対して適応的になる方法が分からない。

けれど、「この心の重荷がなくなったら」を想像することでようやく、抱えているものの重さを感じた。抱えているだけでは何も実らないことにも気付いて虚しくなった。自分を擦り減らしているのは努力ではなく我慢なのだと思う。

このまま頑張ったところで、達成感もないままただ恐怖からの逃避が永遠と続いていくだけなのかも知れない。そういう想像をしてしまって、泣いてしまった。泣くのが当たり前になったいまの状況に、名前が欲しい。

騒がしい路地の隙間から
西日がさすだけ泣きそうで
全てのことに理由が欲しい
『アーケード』カネコアヤノ
満足してるよ
人生の大体の部分では
でも少し、あと少しの
説明が欲しい

窓際で眠る猫みたいに
陽だまりに溶けてゆく
毎日が欲しい
『金色』羊文学


最後までありがとうございました。ゆるく生きていきましょう。