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映画感想『八犬伝』を観て
この映画は、劇作家曲亭馬琴を取り上げたものです。
元になる作品が、作家の南風太郎の『八犬伝』であります。
馬琴と北斎のコミカルなやり取り形式で、話が進みます。
馬琴は、才能溢れる戯曲家でありました。
話は、壮大なスケールで描かれており、見る者の心を掴むものであったと思います。
八犬伝とは、八人の剣士が互いに力を合わせて怨霊を討伐する熱い友情ものであります。
『南総里見八犬伝』は、室町時代後期を舞台に、安房里見家の姫・伏姫と神犬八房の因縁によって結ばれた八人の若者(八犬士)を主人公とする長編伝奇小説である。共通して「犬」の字を含む名字を持つ八犬士は、それぞれに仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字のある数珠の玉(仁義八行の玉)を持ち、牡丹の形の痣が身体のどこかにある。関八州の各地で生まれた彼らは、それぞれに辛酸を嘗めながら、因縁に導かれて互いを知り、里見家の下に結集する。
作者の、創作にかける情熱は、凄いものであります。
48歳から76歳までの、
28年もの間、一つの作品を書き続けてきた精神力は、素晴らしいものであります。
その分、八犬伝に対する想いは強いものであったのだと思ってます。
彼は、書いている時は、とても眼輝き活き活きとしていました。
脳から次々と、アイディアが閃き、趣向を凝らした設定を思い出してはそれを書き続けました。
歴史とファンタジーが融合した話であり、それなりに資料集めも大変であっただろうと思います。
それなりに才能と情熱があったから、壮大でスケールの広いストーリを書き上げられたのだと思います。
私も、今まで創作活動をしてきたので、一つの作品を諦めずに長年書き上げるというものは、とてつもなく大変なものであると思います。
しかも、多くの人の心を掌握する作品を書けるのは、素晴らしいものであります。
彼の友人である葛飾北斎は、彼の才能を認め、彼の多くの小説の挿絵を描いてきました。
2人は互いに認め合い、理解し合い、時にぶつかり合いたがらも創作に没頭していきました。
二人のコミカルなやり取りも、印象的でありました。
作者は、晩年失明し、義理の娘に代筆してもらいながらも、創作し続けました。
馬琴は、息子を病で亡くし、晩年には妻に先立たれてしまいます。
息子は馬琴の才能を認め創作を手伝ってきましたが、妻は彼の才能が分からないまま亡くなってしまいました。
最後位は分かり合えればいいなと思いましたが、それが叶わず、馬琴は溜息を漏らします。
この映画は、馬琴の作品に掛ける想いや、人生家族の関わり合いや家族のあり方についても、考えさせられるものであります。
素晴らしい作品であります。
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