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眠れない夜をチンチラに肯定された話
最近、悩み事があると眠れない。
20代の頃はあまり悩まないで生きてきたし、どうしても悩んでしまう時は腹痛として現れたが、ここ1年程、睡眠への影響が出始めた。
悩み事と不眠は、相性がとても悪いと思う。
夜、疲れた脳は、思考を理性的にコントロールできない。
悩み事は深刻な方角に逸れ、思いつく解決策は過激だ。
その結果、不安や興奮を掻き立て、眠れなくなる。
そして、「眠れない」ということが更なる悩みとして、重くのし掛かる。
世界が睡眠によって回復し、翌日に備えている中、自分だけが生産的な生活を送れないことへの罪悪感が募る。
そうして過ごす夜は、ネガティブな感情を積み重ねて自分を呪っているようだ。
止めたいのにコントロールが効かない。
本日も眠ろうと試みたが、悩みの渦に絡め取られ、3時になっても眠れない。
諦めて起き上がり、ホットミルクでも飲もうとリビングにやってきた。
電気をつけると、チンチラ氏が身を乗り出して、こちらを見つめていた。
私が起きてきたから、おやつを貰えると思ったか、遊んでもらえると思ったか。
明らかに瞳が輝いている。
驚きつつ近づいて、ケージの隙間から顎の下を撫でると、気持ちよさそうに目を細めた。
温かい体温に触れ、少しほっとする。
おやつを渡すと、勢いよく食べ始めた。
チンチラ氏は私が起きているのが嬉しいようだ。(理由はさておき)
私を慰めようとかではなく、シンプルに「姉さんが起きていて嬉しい!」という顔を見ていると、眠れなくなっていることを、肯定されたような気がした。
悩み、眠れず、自分を呪うことを止められない夜、思いがけず注がれた好意に、存在を許されたような気持ちになった。
気づくと、雁字搦めから解放され、心が凪いでいる。
眠りへの取っ掛かりを掴めそうな気配すらある。
連日の不眠から私を救いそうな本人は、相変わらず嬉しそうな顔でこちらを見上げておやつを催促している。
私は感謝の意を込めて、もう一つおやつを差し出した。