春のような温かさがいつもある学校に… 正真正銘の宝物 〜心の宝物283・284
🌷掃除を学校の宝物に
山に囲まれた小さな学校
明日から冬休み。12月の終わり、2学期の終業式で、6年生の二人にお伝えしました。
彼女は、前期の美化委員長でした。
子どもたちが、外部の人に、「学校の自慢は何ですか」と問われたときに、迷わず「掃除です」と答えられるようになってほしい。
教員生活のほぼ全体を通じて、心に持っていた願いです。
掃除という利他的行為は、自己を認識するまたとない機会となりえます。自分のよわさや強さを感じながら、その時々でどんな自分を選択するのか、その選択を、仲間と共に積み重ねることで、自分や集団に、どんな質的変容が生まれるのか。
単純に言えば、よき選択の積み重ねが、自分にも学校にも、よき文化を、安心と温かみを育んでいくことを、体験を通して実感できる、価値ある学習材であり、そうできる自分や学校に、肯定感と安心感を培うことができる機会だと捉えているからです。(あくまで私見です)
4月、着任したばかりの新任校長のそんな願いを、先生方は前向きに受け止めてくださいました。幾度か触れたように、その当時、この学校は、保育園からほぼメンバーが変わらないことの、メリットよりもデメリットの方がやや強く出てい時期でした。その波を、何とかして変えたいと願っておられた先生方のニーズと、私の願いが、校長の交代というタイミングのよさもあって、うまく溶け合ったのでしょう。思いを共有して、子どもたちを指導してくださいました。
彼女は、前期の委員長でした。
それまで「静かに」という、ややあいまいだった掃除に対する願いを「私語なし」という言葉で彼女は発信しました。このことで「後でそこをつかう誰かのために集中して取り組む」という掃除の願いが全校に共有されていきました。
言葉数ではなく、背中で伝えるリーダーでした。仲間への語りかけも、時に素っ気なささえ感じさせましたが、呼びかけた内容を、誰よりも確かに実行する姿とそれを支える決意は全員に伝わりました。彼女への信頼が強い求心力となり、全校の掃除の姿は目に見えて変わりました。活動に対する充実感も、日に日に強く共有されていき、掃除以外の場面でも「よき選択」を実行する姿が増え、それを喜び合うことで、学校に落ち着きと安心感が広がっていきました。
後期は、彼が美化委員長に立ちました。
彼は前期からさらに一歩進めて「無言」という願いを打ち出しました。「ゲームと同じくらい集中し、気持ちが通じ合えば言葉は必要ない」という主張は、それだけ聞くとやや荒唐無稽ですが、掃除に取り組む自分とお互いへの信頼が上昇基調の子どもたちには、砂にしみこむ水のように伝わりました。
委員長として、集会や放送で仲間のよさを紹介するときも、その場面を具体的に示し、その姿のどこに、どんな思いや値打ちを感じたのかを言葉を尽くして語りました。仲間の頑張りへの敬意と、それを共有できる喜びを拍手で伝える一体感は、全校の児童の、私たちの心に「だから掃除はこの学校の自慢なのだ」と胸を張って言うことができる自信を培いました。
🌷正真正銘の宝物
君たちの、いや、6年生の学級集団が、担任の先生と共に培った強い願いとリーダーシップのおかげで、掃除が全校の宝物になった。「宝物」と言っているのが実は先生だけであったり、実体や実感を伴わない掛け声で終わっていたりすることは、実はよくある。
しかし、君たちが創り、磨きあげてきたこれは、正真正銘の宝物として、これからもこの学校に、一人一人の心に、決して滅することなく輝き続けることだろう。
そうして、今以上に優しく温かな学校を実現していくだろう。
君たちのおかげだ。
ありがとう。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで