春のような温かさがいつもある学校に… 一人黙々と トイレのスリッパを揃える君の光 〜心の宝物230
🌸校長先生 あのね!
コロナ機の学校
秋が深まり、1年生もずいぶんたくましくなってきました。1日の、1週間の、学校の時間の流れや、学校のしくみのようなものをわかって、自分の言葉や行動を調整する力が日を追って確かなものになっていくのが分かりました。
ありがたいことに、毎日のお昼の放送で誕生日を祝う取組も、「心の宝物で賞」をお伝えすることも、子どもたちに、保護者の皆様に、地域にもずいぶん定着し、直接に、あるいは学校評価のコメントなど間接的な形でも、温かな声をいただくようになりました。
校長のセルフプロデュース、もしくはスタンドプレーに見えなくもありません。
しかし、学校が醸す空気や、発する風として、春のような温かさが、関わる全ての人に伝わり、安心感を共有することが願いでした。
その温かさが、地域や保護者の、学校への基本的な信頼感を高め、先生方の働きやすさとウエルビーイングにつながると、当時も今も確信しています。
コロナ機にありながら、その手応えを少しずつ感じられることに幸せを感じつつ、それを一層強固にしようと願いながら、今日も校内を巡ります。
子どもたち、とりわけ低学年の児童に「心の宝物で賞をもらう」ことが、よき言動を選択する上での大きなモチベーションになっていたことは事実です。「賞状(等ほめられることを)目当ての善行に何の意味があるのか」という声も聞こえてきます。
そんな声も受け止めつつ、何かを励みにして挑戦し、それが認められたことが次の挑戦のエネルギーとなり、本人の言動の選択の傾向をよき方向に誘い、それが習慣となって覚醒し、人格の完成につながるという道程を信じたいと伝えました。
よさが認められることが常態化し、学校の文化のようになると、子どもたちは、自分だけでなく、仲間が認められることも、そのために仲間のよさを見つけ、発信することも心地よく感じるようになります。
廊下やグラウンドで、「校長先生、あのね!」と、仲間のよさを伝えてくれる子が日を追って増えてきました。
1年生の彼の姿も、そんな声で知ることができました。
🌸一人で黙々と トイレのスリッパをそろえる君の光が 仲間の心を照らした
彼は寡黙で穏やかな人でした。1年生ながら、教室では落ち着いて過ごしており、騒ぎ立てたり、誰かを責めてトラブルになったりするようなこともありません。一方で、人と関わることに、やや慎重になっているところも見受けられます。
そこに、少しずつ温もりを届けることができれば、彼の生き方を広げることになるのではないか。
そんなことを話しながら、彼を見守っていました。
ある日の朝の会前、慌ただしく仲間が出入りした後のトイレでは、スリッパが散乱していました。
たまたまそのタイミングで入った彼は、一人黙々と、そのスリッパをそろえます。
次に入ろうとした子が、彼のその背中を見て感動し、私に伝えてくれました。
その子にも、心からの感謝と敬意をお伝えしました。
教室で、いつも穏やで優しい君は、トイレでもやはり穏やかで優しかった。
ひざまずき、一人黙々と、スリッパをそろえる、君の背中が放っていた光は、普段の君の優しさや穏やかさの、強くしなやかな部分を、仲間の心の深いところに、鮮やかに照らし出したに違いない。
君がそんな君であることも、それに仲間が気づいたことも、本当にうれしい。
君を心から誇りに思う。
そんな思いでお伝えしました。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで