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春のような温かさがいつもある学校に… 誰にも言わず 決して誇らず 無理もせず 〜心の宝物325
🌷朝の校門で
コロナ機の学校
冬本番の冷たい北風が、遠く白山の峰から吹きおろしてきます。それを正面で受けながら、坂を登って登校してくる子どもたちを今日も迎えます。北風を背に受けながら、今日も元気いっぱいの子どもたちです。投げかけてくれる挨拶の声が、笑顔が、北風の冷たさをたちまち霧消させてくれます。
少し早く登校してきた子たちの何人かは、校門の周辺で思い思いに過ごしています。おしゃべりを楽しむ子、登校してくる友達を待っている子と様々です。
この年、校舎の開錠時刻を、8時10分としました。就業規則を改め、教職員の勤務時間も8時から16時30分に変更しました。
それまでは、7時45分には校舎を開けていました。登校の早い通学班が7時30分過ぎには登校していたからです。そのため、多くの職員が、7時30分には出勤していました。しかし、定められた勤務時間は、一般的な8時15分から16時45分でした。
感染予防のために、校舎へ入る前の厳正な健康観察が、朝の最重要ミッションとなったことを機会に、この矛盾を解消しようと先生方と話し合って次のように決めました。
子どもたちの登校を送らせてもらうよう、具体的には8時10分以降に学校に到着するよう、保護者の方にお願いして理解を得ました。
8時10分には、教室入り口で子どもたちの健康観察を行うことができるよう、職員の出勤時間を8時としました。当然、退勤時刻も15分前に倒しました。
読書等、朝の15分の、所謂「帯時間」の活動を廃止しました。掃除を週3回としました。自校給食の強みを生かし、給食開始も15分早めてもらいました。こうして、児童が学校に滞在する時間を極力最短化し、職員の放課後の仕事時間を確保しました。
児童は「遅く家を出て早く帰宅する」状況になるので、ご家庭には相当の負荷をおかけすることになります。しかし、確実な感染予防対策と、職員も含めた学校に関わる人全員の心身の健康を守る機能を最大化する願いをお伝えし、快くご理解いただきました。
これも、コロナ機に全員で創り上げた宝物だと思っています。
余談が長くなりました。
この日、校門でのよもやま話の中で、5年生の彼女について、同じ通学班の何人かの下級生が話してくれました。
「校長先生、○○ちゃんって、すごく優しいんだよ」
「そうですね。よく分かりますよ」
私も、そういう場面を幾度も目にしていました。
🌷誰にも言わず 決して誇らず 無理もせず
彼女の通学班は、かなりの距離を歩いてきます。学校直下の坂道に差し掛かったときには、疲れもピークで、とりわけ1年生にとっては、最後の登り坂が壁のように見えるようです。1年生たちは、最後の力を振り絞って登ってきますが、ぐずったり、よそ見をしたりと、引率する上級生にとっては、心配な状況になります。
そんな子たちにいら立ったり、たしなめたりすることもなく、優しく背中を押すのが彼女でした。口数が多い方ではなく、どちらかと言えば寡黙な印象の彼女ですが、口元に困ったような、優しい微笑みをたたえながら1年生に声をかける姿には、周りの心まで温める力がありました。
別の日には、登校の途中で転んで泣いてしまった子の手を引いて、落ち着いて保健室まで連れて行きました。過剰に慰めるような声をかけるわけではなく、しかし、その子から決して目を切らず。保健室で、落ち着いて状況を説明する姿は、ベテランの養護教諭も感心するほどでした。
あなたの穏やかな優しさに、下級生たちは安心とあこがれを抱いています。いろいろな子が、あなたの素敵さを心に入れ、あふれた思いを伝えてくれます。
誰にも言わず、決して誇らず、無理もせず、自分のできる最善を静かに選び取って黙々と行動する。
そんな人に私もなりたい。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで