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春のような温かさがいつもある学校に… 君のおかげで「それがなかったよりも、あってよかった」といえる日になったよ 〜心の宝物264

🌷教室は出来事の宝石箱

コロナ機の学校
この日の朝、2年生の教室ではちょっとした出来事がありました。ちょっとした感情の行き違いが口論に発展。それは何とか折り合ったのですが、どちらかと言えば「論破された」側の彼が、着席するときにバランスを崩し、机につかまった拍子に、準備してあった筆箱等の文房具が落下。派手な音を立てて散乱しました。
それを見た彼は、悲しくて、悔しくて、しかし、何かにぶつけるわけにもいかず、肩を震わせて泣き出してしまったものでした。

幸い、この頃、先生方のおかげで、全校的に「困っている人に気づいたら寄り添い、行動する」という文化が根付き始めていました。これも、コロナ機の財産です。

この学級の子どもたちも例外でなく、席の近くの子たちが争うようにして、散らばった消しゴムや鉛筆、ノート等を拾い、原状よりも美しいほどに、彼の机の上を整えてくれました。

教室は出来事の宝箱です。笑いあり、涙あり、挫折も喜びも、失望も感動も、子どもたちの心を揺さぶる全てが彼らの宝物です。
彼には気の毒な時間でしたが、温もりとして彼の内に返ったものも決して小さくはないはずです。いい経験として咀嚼してほしいと願いつつ、子どもたちの営みを見ていました。

🌷君のおかげで「それがなかったよりも、あってよかった」といえる日になったよ


そのとき、一人の男児が、すっと彼に近づきました。寄り添ってくれる仲間たちに安心しながらも、それでもまだしゃくりあげているその子の肩をそっとたたき、耳元で何かささやいています。

泣いているその子は徐々に落ち着き、彼に背を支えられるようにして着席しました。
「○○君、みんなも本当に優しいね。ありがとうね」
担任の先生が笑顔で声をかけられ、その場は収束しました。

後で、声をかけてくれた彼に何といったか尋ねました。
「『気にしなくていいよ。大丈夫だよ』って言ったよ」
彼らしい、素朴な温かみが伝わる笑顔で話してくれました。

失敗やトラブルはあって当たり前。どんどん挑戦すればいい。
でも、自分で失敗したことに気づいたら、リカバリーをしよう。
自分のために、それをしよう。
誰かに迷惑をかけたり、傷つけたりしたらごめんなさいと言おう。
字でも、目でも、素振りでもいい。
「そう思っているよ」ということを伝えよう。
それができれば、失敗もトラブルも、あなたの素敵の種になる。
それができれば、その出来事は、相手の人とあなたにとって「あってよかった」ことになる。

「命にかかわることはこの限りではない」とも伝えながらでしたが、教諭時代から子どもたち語ってきました。それを「リカバリー」という言葉で共有してきました。
失敗に気づいた子が、それを表明したり、やり直そうとしたりできたときは「ナイスリカバリー!」と、その勇気の発揮を、学級全員で喜び合ってきました。
「改めて、彼への信頼が増した。失敗する前よりも、三倍も彼のことが大好きになった」などと学級通信や生徒指導便りに綴ったこともありました。

今回、彼は、口論はしたものの、決して、誰かを傷つけたわけではない。寧ろ、折り合うために自分が少し退いた。しかし、そのことの若干の悔しさは心に残っていただろう。そこに、つまずいて、派手に学用品をばらまいてしまうという不運が重なった。その瞬間の彼は、それほど悲しかっただろう、やり場のない悔しさと恥ずかしさは、どれほどの重さで、彼にのしかかっただろう。

そんな彼の悲しみを、軽くしたのは、すかさず寄り添ってくれた仲間たちだった。
とりわけ君は、君の優しさのアンテナは、彼の悔しさを深いところでとらえたのだろう。
その気づきが、君を、あの行動に駆り立てたのだろう。

そのままだったら、今日は彼にとって、最悪の日だった。
しかし仲間たちのおかげで、そうして、君が寄り添い、肩をたたきながらかけてくれた言葉のおかげで、最良、とはいかないかもしれないけれど、よき日になったに違いない。
彼のトラブルが「あってよかった」記憶になった。
君のおかげだよ。
ありがとう。

そんな思いでお伝えしました。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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