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春のような温かさがいつもある学校に… 君たちの笑顔が 春を連れてくるよ 〜心の宝物351・352

🌷手洗い場の二人

コロナ機の学校
3月の声が聞こえてきました。学校を囲む山のそこここに、ちらほらとマンサクがほころんでいます。とはいえ、まだまだ寒さを強く感じる時期、寒さに弱い私は、相変わらず着ぶくれながら、校内を巡っています。

コロナ機の冬、大きく変わったことの一つが、教室内の防寒着の着用を禁止しないことでした。

換気のために、常に教室の窓を開けていました。暖房機を全開にしても、窓の隙間から、寒気が、とりわけ窓際や廊下側の席の子を包みます。そのために、見直されたきまりでした。
以前は、それに付随して、教師も、校内での厚着を自粛する風潮がありました。「こどもに求めることは子ども以上の確かさで必ず実行する」ことを自らに課してはいましたが、寒がりの私には試練の冬でした。
無論、服務規程であるはずはないので、平気で着ぶくれて授業に行く先生もいました。それで、生徒と教師や、教師間がごたごたすることもありました。
「暑さ寒さは人によって全然感じ方が違うのに、なぜ一律にするのだろう。場や感覚を自分で判断して、暑ければ脱いで、寒ければ着ればいいのに」
若い日に願っていたことを、コロナのおかげで実現することができました。

愛用のフリースに身を包んで、1年生のフロアを行きます。廊下の端の手洗い場では、二人の男児が、体操服一枚で張り切って掃除をしていました。

🌷君たちの笑顔が 活気が 春を連れてくるよ

彼は、ステンレスの流し台をピカピカに磨いていました。薄いビニール手袋では、水の冷たさを防ぐことはとても無理でしょう。きっと手を切られるように感じているでしょうに、そんな素振りは少しも見せません。
体を動かすことが大好き。やや勢いあまるところがあり、鬼ごっこなどで転んでけがをすることもありましたが、彼の元気さは、周囲に活気を広げていました。

もう一人の彼は、対照的に、物静かな人でした。
彼は、流し台の周辺の床を磨いていました。固く絞った雑巾で、膝をついて全力で。同じく手袋を着用してはいますが、手から、膝から、冷えが全身に伝わるでしょう。つらくないはずはありませんが、そのことよりも、床を拭き上げることに熱中しています。流し台の下に頭を入れて、さらに手を伸ばして。壁と床の際のピンポイントのような角まで。
声をかけても表情一つ変えません。彼の実直さが伝わりました。

早いもので君たちが入学して、1年がたとうとしている。はじめの2か月が欠けてはしまったけれど、それでもここまでの時間は、君たちが元々もっていたゆたかなものを、引き出し、磨きあげた。
掃除も、遊びも、授業も、無邪気な勢いで臨んでいた姿の中に、迷い、考え、決断し、実行する思いがにじむようになった。ほめられたくて、アピールするように頑張る姿から、そうすることの値打ちを自分で自分のおなかに落として、自分のペースで取り組む姿に変わってきた。
今日の君たちの姿が、正しくそれだ。
君は元気に、君は静かに、しかし二人とも、自分で決めたことに、全力で取り組んだ。

もうすぐ2年生。
君たちの笑顔が、活気が、新学期を、春を連れてくるよ。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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