春のような温かさがいつもある学校に… その瞬間から 全力疾走する誠実さと潔さに感動したよ 〜心の宝物203
🌷集団遊びのプロデューサー
コロナ機の学校
天高く、馬肥ゆる秋という言葉そのままの秋晴れが続くこの頃、過ごしやすさも手伝って、昼休みのグラウンドには、子供達の歓声がひときわ高く響いていました。
ドッジボール、鬼ごっこ、トンネル山にかくれんぼう。感染予防に配慮しながらも、その中で様々に工夫して楽しんでいます。子供は遊びの天才という言葉が真実であることを実感したのも、私にとってはコロナ機の学びの一つでした。
4年生の彼もそんな一人でした。男女を問わず楽しむことができるような遊びを提案し、仲間に声をかけて集団遊びを組織していました。
ただでさえ、帰宅後の、地域における集団遊びという、子供達にとっては学びの宝箱のような文化がほぼ根絶してしまった現代、しかもコロナ機にあって、集団遊びの貴重な機会を、積極的に生み出している彼には感心させられました。私も声をかけられたときには可能な限り共に楽しみました。
🌷その瞬間から全力疾走に移る誠実さと潔さに感動したよ
その頃は「いろいろぼうや」という、鬼ごっこと椅子取りゲームの融合のような遊びが、彼のお気に入りでした。
車座の体制から全員で「いろいろぼうや、いろぼうや、今度の色は何色だ」と唱和し、鬼役の児童が、例えば「黄色!」のように、色を指定します。鬼以外の児童は、一斉に、指定された色の遊具等の物に向かって逃げていき、タッチされる前に触れられればOK、タッチされてしまったら鬼役は交代という、単純ですがなかなかにスリリングでスピーディーな遊びです。
大変盛り上がりますが、そうであればあるほど、終わりを切りがたくなるのは人情です。
ある日の彼は昼休みの時間いっぱいのさらにいっぱいまで遊び、疲れたのか、他の子が一人もいなくなったグラウンドを、ゆっくり歩いて教室へ向かっていました。
「お疲れ様」
この日は少し打ち合わせがあって、昼休みにグラウンドへ出られず、校長室にいた私の前を、彼が通りかかったタイミングで窓越しに声をかけました。
すると、彼ははっとしたように顔を上げ、次の瞬間、脱兎のように全力疾走で教室へと駆け出しました。
決して歩いているのを咎めたわけではありませんし、彼も確信的に横着しているのを見とがめられ、叱られて慌てて走り始めたという気持ちの動きではなかったことは断言できます。
無意識にできていた心の隙に、声をかけられたことではっと気づき、その気づきをマイナス方向にもっていくのでなく、正そうと全力を尽くす方向に自分をコントロールした。そんなたくましさと潔さが伝わりました。
遊びのプロデューサーの彼には、ときに「やらかす」一面もありました。遊びのルールの決め方が一方的であったり、それに不満を言う仲間との折り合いの付け方がうまくいかなかったりで、トラブルになることもありました。しかし、そここそが集団遊びの醍醐味です。
そんなことよりもむしろ、今のこの時期に、あえて集団遊びを提案する積極性、掃除場所の鍵当番として、職員室に入退室するときの、鍵を借り出し、返却するときの敬語の美しさと折り目正しさから伝わる誠実さ。
そこにこそ君の本質がある。
そんな君を誇りに思う。
そんな自分を好きでいてほしい。
そんな思いでお伝えしました。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで
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